本研究の目的は, 気管内吸引に伴って行われる看護ケアを観察し, 特に気管内吸引後に行われた看護ケアに対する早産児の生理学的および行動状態における反応を明らかにすることである.
対象は,呼吸管理を受けている4名の早産児であり, 観察時点の受胎後週齢は26週から35週,平均体重は792.5gであった.
気管内吸引に伴って行われた看護ケア, 心拍数, 酸素飽和度, ストレスサイン, 睡眠覚醒状態を, 気管内吸引開始5分前から吸引終了後20分まで, 2分毎に構成的に観察した.
気管内吸引後には, 腹臥位, 屈曲姿勢の支持, 触覚刺激の提供など, 複数のケアが認められた. 様式の異なる複数のケアが行われていた45場面を複数ケア群, 腹臥位または側臥位の70場面を単一ケア群として反応を分析した.
複数ケア群は単一ケア群に比べて, ストレスサインが速やかに減少し, 静的睡眠が増大し, 静的睡眠に入るまでの時間が有意に短かった.
結果から, 気管内吸引という侵襲的な刺激の後に行われた複数のケアは, 早産児の運動や状態の組織化に有効な看護方法であることが示唆された.
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