日本看護科学会誌
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22 巻, 2 号
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  • 山西 緑
    2002 年 22 巻 2 号 p. 1-10
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 運動療法に取り組む心筋梗塞患者における不確かさの認知とアドヒアランス行動の関連について調査した. 研究デザインは横断的相関関係探索型であり, 測定用具には, アドヒアランス行動質問紙, The Mishel Uncertainty in Illness Scale, A型行動判別表, 簡易版支援ネットワーク尺度を用いた. 対象者は31~80歳 (平均年齢64.0歳) までの冠動脈形成術を受けた心筋梗塞患者93名であった.
    重回帰分析の結果, アドヒアランス行動は, 曖昧さ, 複雑さ, 有職者, 男性, 心筋梗塞の既往歴のある者, トレッドミル実施者, 運動習慣のある者という7つの変数によって43%が説明されることとなった. 運動療法に取り組む心筋梗塞患者は, 自分の置かれている状況に対する認知的評価を通して不確かさを認知している. 不確かさの認知が高い者ほど, 能動的な対処行動であるアドヒアランス行動が低くなるというような認知-対処の過程が示された.
  • 鈴木 学美, 宮田 さおり, 近森 栄子, 村嶋 幸代, 片山 京子, 岡本 玲子, 太田 勝正, 出羽澤 由美子, 水流 聡子, 中根 薫 ...
    2002 年 22 巻 2 号 p. 11-22
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    学術用語としての看護用語の体系化を目指し, 訪問看護師が自らの看護実践をどのように表現・記述しているのかを明らかにすることを目的とした.
    研究方法は, 訪問時に訪問看護利用者に行った看護実践項目の記述を依頼し, その後記述された看護実践行為の内容について面接による聞き取り調査を行った. 面接内容を,「行為ラベル」「行為の判断根拠」「行為のねらい」「行為内容」「同時行為ラベル」「同時行為のねらい」「同時行為内容」に分類し, 項目の性質及び項目間の関係について分析を行った.
    この結果, 在宅ケア領域では看護活動が日常生活の一部として存在するため, 看護実践を記述する用語は日常語に引き寄せられ, 口語的表現が多くなること, また, 限られた時間内で看護を提供する必要があることから, 一つの看護実践を記述する用語に対し, 複数の看護行為が含まれる傾向があることが明らかになった. 加えて, 医療・保健・福祉の分野にまたがり様々な専門職と協動し, 対象者を支援していくために, 他職種との情報の正確な交換と共通理解が得られるような看護実践用語の必要性が示唆された.
  • -死を意識した病者体験をもつ中高年者へのインタビューを通して-
    新木 真理子
    2002 年 22 巻 2 号 p. 23-33
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 生命感情の湧きあがりの理論枠組みを, 実証的に明らかにするために取り組まれた研究である. 研究方法としては, Grounded Theory approachを用いた. 調査対象は, 死を意識した病者体験をもつ中高年者20名である.
    データ収集は, 半構成的面接を用い, 継続的比較分析を行なった.
    分析の結果, 生命感情湧きあがりの様相として,「いつものからだの感じ」「生きているからだの感じ」「ここに在るというからだの感じ」という3つのカテゴリーが抽出された. また, 生物的感覚, 生活感覚, 自己の価値意識を核とした生命感情湧きあがりの構造が見い出された. 生命感情は, 生物的感覚, 生活感覚あるいは, 自己の価値意識と結びついた生物的・生活感覚が, 意識の潜在層から意識の顕在層に移行する過程において, 湧きあがる. また「生きているからだの感じ」と「ここに在るというからだの感じ」は, 意識化の体験を経て,「いつものからだの感じ」へと発展していくことが明らかとなった.「いつものからだの感じ」は, この理論構造の中核カテゴリーとして位置づけられる. この研究結果は, 看護者が自らを含めた人間の「いつものからだの感じ」に敏感になることの重要性を示唆している.
  • 藤田 あけみ, 佐藤 和佳子, 岡 美智代, 佐川 美枝子
    2002 年 22 巻 2 号 p. 34-43
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究は, 術後経過期間別に直腸癌低位前方切除 (以下, LAR) 患者の排便障害を評価し, 排便障害と自尊感情との関係を検討することを目的とした.
    対象は, LAR後5年以内の外来通院患者60人で, 方法は, 質問紙による面接調査を行った. 質問紙の内容は, 基本属性, 排便障害, 自尊感情などであり, データの分析はMann-WhitneyU検定とKruskal Wiallisの検定, Pearsonの積率相関係数を用いた.
    その結果, LAR後の排便障害は, 術後1年未満が1年以上2年未満と2年以上5年以下に比べ有意に高かった(P<0.05). しかし, 1年以上2年未満よりも2年以上5年以下の排便障害が高い傾向があり, 術後2年以降も排便障害を伴っていた. 排便障害と自尊感情との関係では, 術後2年以上5年以下において自尊感情が有意に低下していた(p<0.05).
    これらから, LAR患者は, 術後2年以降も排便障害を伴い, 術後2年以上5年以下においては排便障害が自尊感情に影響を及ぼす可能性が示された.
  • 船山 美和子
    2002 年 22 巻 2 号 p. 44-53
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 集中治療下で病者が自らの生命の脅威にどのように挑み乗り越えていくのかを明らかにすることである. 冠動脈バイパス術を受けた男性7名女性1名に対し, 参加観察法と半構成的面接法を用いてデータを収集し, 平行して継続的比較分析を行った. 結果, 冠動脈バイパス術を受けた病者のサバイバルプロセスは,《生を自分であやつることができる》に至るまでの, 術直後から4日ないし7日までのプロセスであることが見いだされた. さらにこのプロセスは,〈暗やみ〉,〈生の芽ばえ〉,〈ちぐはぐな生〉,〈自分から生をつかむ〉,そして〈生をあやつる〉の5段階から成り立っていることが判明した. これらの段階を構成する次元は,〈動きの度合い〉,〈生命維持機能を自分で管理する度合い〉,そして〈精気の度合い〉であった. 見いだされたサバイバルプロセスは, 生の回復をめざして, 病者自身が主体的に努力していることを示していた. これを受けて, クリテイカルケア領域における看護は, 病者の自立を促すアプローチが重要であることが示唆された.
  • 片田 範子
    2002 年 22 巻 2 号 p. 54-64
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • -遺伝子診断・治療における看護の役割-
    高田 早苗, 内布 敦子
    2002 年 22 巻 2 号 p. 65-75
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    遺伝子診断やそれに伴う医療に実際に現場で立ち会っている看護職は多いと思われるが, 倫理的な視点でディスカッションをするということになると慎重になるのか, 次々に意見が出るというわけにはいかなかった. 遺伝子診断の問題に対しては, 多くの看護職が漠とした危機感を感じているのではないかという空気を会場内に感じながら, 疑問が発せられ, 看護職が取り組む方向が議論され, しだいに意識の高まりを感じるディスカッションが行なわれた.
  • 野嶋 佐由美, 近澤 範子
    2002 年 22 巻 2 号 p. 76-83
    発行日: 2002/06/30
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
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