本研究は, 術後経過期間別に直腸癌低位前方切除 (以下, LAR) 患者の排便障害を評価し, 排便障害と自尊感情との関係を検討することを目的とした.
対象は, LAR後5年以内の外来通院患者60人で, 方法は, 質問紙による面接調査を行った. 質問紙の内容は, 基本属性, 排便障害, 自尊感情などであり, データの分析はMann-WhitneyU検定とKruskal Wiallisの検定, Pearsonの積率相関係数を用いた.
その結果, LAR後の排便障害は, 術後1年未満が1年以上2年未満と2年以上5年以下に比べ有意に高かった(P<0.05). しかし, 1年以上2年未満よりも2年以上5年以下の排便障害が高い傾向があり, 術後2年以降も排便障害を伴っていた. 排便障害と自尊感情との関係では, 術後2年以上5年以下において自尊感情が有意に低下していた(p<0.05).
これらから, LAR患者は, 術後2年以降も排便障害を伴い, 術後2年以上5年以下においては排便障害が自尊感情に影響を及ぼす可能性が示された.
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