【目的】本研究の目的は,9要素で構成した「MCEM」中国版の信頼性と妥当性を検証することである.
【方法】研究対象は,中国における2回以上入院の経験がある要介護高齢者の主介護者249名であり,留置法または郵送法により,データを収集した.分析には,相関係数の算出,Cronbach α係数の算出や因子分析などを用いて,信頼性や妥当性を検証した.
【結果】「MCEM」中国版は,内的整合性や因子分析によって64項目が51項目まで精錬された.51項目の信頼性や妥当性を検討した結果,信頼性に関しては,「社会的望ましさ尺度」とは有意な相関がみられず,反応性バイアスを受けていなかった.また,Cronbach α係数が0.88と高く,内的整合性が示された.さらに,テスト-再テストによる一致度指数は,0.08~0.18であり,いずれの項目にもAbs関数は,絶対値1を超えず,安定性係数0.82であり,安定性も支持された.妥当性に関しては,「介護者自己効力感スケール」と相関がみられ(r=0.33, p<0.01),基準関連妥当性が支持された.また,因子分析によって,9因子が抽出され,51項目の累積寄与率は54.8%であり,構成概念妥当性が支持された.
【結論】検証の結果には,いくつかの課題が残されているが,この尺度は,中国の主介護者エンパワーメントをアセスメントするために有用である.
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