日本看護科学会誌
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30 巻, 1 号
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原著
  • 蛎崎 奈津子
    原稿種別: 原著
    2010 年30 巻1 号 p. 1_3-1_13
    発行日: 2010/03/23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    中国・吉林省長春市において出産後の女性が家族に期待する支援内容を明らかにすることを目的に,中国人女性11名に面接し,継続的比較分析を行った.その結果,出産後の女性たちは,〔冷え予防〕や〔安静の保持〕,〔特別な食事〕に関する【順調な健康回復に向けた支援】,衣食住全般にわたる〔身の回りの世話〕とともに,特別な教育を受けた〔産後の健康・育児に関する専門知識や技術〕,この産後の時期に特有である女性の揺れ動く〔情緒の安定〕に向けた支援といった【育児生活全般にわたる心身両面に対する支援】を望んでいた.これらの支援の具体的な方法について,女性たちは【西洋的慣習と伝統的な慣習が共存した支援】と【自分なりに理由づけし納得して受ける支援】を求めていた.そして,これらの支援の前提として,産後の女性たちは,産後は〔女性の健康において非常に重要な時期〕であるため〔褥婦は大切に扱われる存在〕と考え,この時期に家族から受ける支援を【受けて当然の支援】と捉えていた.以上のことから,日本で妊娠・出産を経験する中国人女性と日本人家族との関係構築に向けた看護支援への示唆を得た.
  • 今戸 美奈子, 池田 由紀, 松尾 ミヨ子
    原稿種別: 原著
    2010 年30 巻1 号 p. 1_14-1_24
    発行日: 2010/03/23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    目的:慢性呼吸器疾患患者における呼吸困難のマネジメント方略の実行状況とその特徴,ADLとの関連について検討することを目的とした.
    方法:医療機関に外来通院中の慢性呼吸器疾患患者64名を対象に,個人特性,呼吸困難のマネジメント方略,ADLに関する横断調査を実施した.
    結果:最も多くの対象者が行っていた呼吸困難のマネジメント方略は,「自分のペースで動く」,次いで「動作をゆっくり行う」であった.呼吸困難のマネジメント方略の実行内容に基づく分類では,マイペース型,動作調整型,呼吸調整型,呼吸・動作調整型の4類型を認めた.最も多くのマネジメント方略を行い,呼吸困難が強い特徴をもつ呼吸・動作調整型の対象者は,他の類型の対象者に比べ,疾患特異的なADLは低値であったが,下肢筋力に有意差は認めず,自立した生活を行っていた.また,呼吸困難が軽度の群においては,動作をゆっくり行う群はそれを行わない群に比べ,ADLが有意に低かった.
    結論:呼吸困難が強い対象者では,呼吸困難のマネジメント方略を駆使することでADLを維持できる可能性があるが,一方,呼吸困難が軽度で呼吸機能が著しく低下していない段階で,動作を抑制するようなマネジメント方略の使用は,ADLを自らで制限していくことにもなると考えられた.
研究報告
  • 谷本 真理子, 黒田 久美子, 田所 良之, 高橋 良幸, 島田 広美, 正木 治恵
    原稿種別: 研究報告
    2010 年30 巻1 号 p. 1_25-1_33
    発行日: 2010/03/23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    目的:高齢者ケアにおける日常倫理に基づく援助技術を明らかにする.
    方法:老人看護を専門とする5名の看護師の,日常の看護実践の参加観察とインタビューにより収集したデータを,質的統合法(KJ法)を用いて質的に分析した.
    結果:高齢者ケアにおける日常倫理に基づく援助技術は,高齢者ならびに高齢者ケアにおける信念と前提を基盤に,看護師の内省を中核として高齢者をとりまく全体からケアを導く技術である.その性質には,【人格ある人/当たり前の生活】【尊厳ある最後の時に関わる】【高齢者の能力は見方次第】【高齢者一人ひとりの個別性の理解と尊重】【ケアする側される側のもちつもたれつの充足関係】【状況における最善のケア】が取り出された.
    結論:本研究結果は,高齢者の日常ケアにおける看護の専門性を明示し,専門技術としての習熟と洗練に向けて活用することができる.
  • ──思考と行動の特徴
    高橋 美砂子
    原稿種別: 研究報告
    2010 年30 巻1 号 p. 1_34-1_41
    発行日: 2010/03/23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,熟練保健師が家庭訪問において,何を見て,何を考えながら支援行為を行っているのか,その思考と行動の特徴を明らかにすることである.対象はA県内の自治体に勤務している熟練保健師13名で,家庭訪問による支援事例を1~2例挙げてもらい,半構成的インタビューにより聞き取りを行った.その中で,保健師の思考と行動の部分を抽出し,得られた内容をKJ法で分析した.その結果,【まず,現場に行って見る】【信頼関係を構築する】【状況をよく観察する】【支援者と実権者を見極める】【本人や家族の力量を見積もる】【連携の可能性を探る】【優先順位を考える】【地域住民との相互関係を蓄積する】の8つの概念が抽出された.熟練保健師は信頼関係・相互関係の構築を基盤とし,家庭訪問における現地性を重んじ,地域住民の通常の生活状況を踏まえた上での観察から,問題の本質を把握し,本人や家族の力を引きだしながら,周りの人々と協力して支援行為を行っていた.
  • 三木 佳子
    原稿種別: 研究報告
    2010 年30 巻1 号 p. 1_42-1_51
    発行日: 2010/03/23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,ストーマをもつ既婚女性たちが,日常生活の困難をどのように捉え,どのように対処したかを記述し,看護支援の示唆を得ることを目的とした.
    方法:消化管ストーマ造設後5年以上経過し,日常生活を行っている既婚女性5名に,半構成的面接でデータを収集し,質的帰納的に分析した.
    結果:ストーマをもつ既婚女性は《ストーマをもって生きる上での困難に苦悩する》と捉えて,《ストーマをもつ自分を意味づける》《ストーマをもって普通に生活するための方略を用いる》《ストーマをもつ新たな安定した自己を形成する》対処を行っていることが明らかになった.
    結論:看護の支援として,世間の目への対処や夫の存在を重要視した支援,個々の価値観に応じた支援,長期にわたる支援の重要性が示唆された.
  • ──1年目と5年目の比較
    渡邊 里香, 荒木田 美香子, 鈴木 純恵
    原稿種別: 研究報告
    2010 年30 巻1 号 p. 1_52-1_61
    発行日: 2010/03/23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    【目的】経験1年目と5年目の看護師の離職意向に影響する要因を検討し,若手看護師の職業継続のための職場環境づくりについて示唆を得ることを目的とした.
    【方法】2007年9~10月に近畿・東海・関東圏の13病院に勤務する経験5年未満の若手看護師2,443名を対象に質問紙調査を実施した.今回の分析対象は,1年目347名と5年目240名,合計587名とした.
    【結果】1年目,5年目に共通して離職意向と関連があった組織要因は,話しやすい雰囲気,学習意欲,休憩空間,夜勤回数,給料であり,個人要因は研修活用度であった.1年目のみ関連があった要因は助け合いと自尊感情であり,5年目のみは,話し合う場,役割達成意識,ケア物品,ケア設備,勤務の融通のよさ,年休取得率であった.
    【結論】職業継続のための職場環境づくりのためには,話しやすい環境づくり,業務に見合った報酬の提供,休息の確保,個人的要因に配慮した学習環境の整備が重要である.さらに1年目では,教育体制の整備,5年目では話し合える場,ライフスタイルに合わせられる勤務体制の整備が重要であると考えられた.
  • 中村 幸代
    原稿種別: 研究報告
    2010 年30 巻1 号 p. 1_62-1_71
    発行日: 2010/03/23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    目的:「冷え症」の概念分析を行い,冷え症の定義を明確にすることを目的とする.
    方法:Rodgersの概念分析のアプローチ法を用いた.データの収集方法は5つのデータベース,CINHAL Plus with Full Text(1982–2008),MEDLINE(1966–2008),Web of Science(1999–2008),医中誌Web(1983–2008),J-stage(1966–2008)を使用し,検索用語は,「chilliness」「chilly」「Hiesho」「poor circulation」「sensitivity to cold」とした.日本語では「冷え症」のみとした.その結果41文献全部を対象に概念分析を行った.
    結果:3つの属性,①「冷えている」という自覚がある,②温度較差が大きい,③寒冷刺激暴露後の皮膚温の回復が遅いと,2つの先行要件,①生体的要因(内的因子),②環境的要因(外的因子)が抽出された.さらに4つの帰結,①マイナートラブル,②苦痛,③対処行動,④病気の誘因が導き出された.分析の結果,本概念を「中枢温と末梢温の温度較差がみられ,暖かい環境下でも末梢体温の回復が遅い病態であり,多くの場合,冷えの自覚を有している状態」と定義した.
    結論:冷え症は先行要件から,生活環境の乱れなどが誘引となるため,予防医療の視点からも,生活環境の見直しへのケアに有用であるといえる.しかし,研究対象に民族的な偏りがあったため,今後は民族的側面からの研究が必要である.
  • 松下 年子, 佐藤 亜希
    原稿種別: 研究報告
    2010 年30 巻1 号 p. 1_72-1_79
    発行日: 2010/03/23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    急性期病棟に入院中の精神疾患患者におけるSOC(sense of coherence),喫煙・飲酒習慣,ニコチン・アルコール依存度,さらにこれら変数間等の関連を明らかにすることを目的に,SOC,FTND,CAGEといった尺度を含む質問紙調査を実施した.その結果,統合失調症が7割強を占めた入院患者の平均得点は52.8±11.7点であった.喫煙率は47.0%で,ニコチン依存症(FTND 6点以上)とアルコール依存症が疑われた者(CAGE 2点以上)は21.5%と7.0%であった.変数間の関連では,喫煙者のCAGE得点が非喫煙者のそれよりも有意に高く(p<.01),SOCとFTND得点(p<.01),SOC得点と発症年齢(p<.05)間に負と正の有意な相関が認められた.精神疾患患者のSOCが個人の嗜癖性と,精神症状や精神病理と部分的に関係している可能性を示唆しており,今後の更なる検証が望まれる.
  • 深田 順子, 北池 正, 石垣 和子
    原稿種別: 研究報告
    2010 年30 巻1 号 p. 1_80-1_90
    発行日: 2010/03/23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    【目的】訪問看護における摂食・嚥下障害看護の質評価指標改訂版の妥当性と信頼性を検討することを目的とした.
    【方法】文献検討とエキスパート5名による評価をもとに作成された質評価指標39項目を改訂し,52項目とした.訪問看護ステーションに勤務する看護師228名に対して,質評価指標改訂版についての質問紙調査を郵送法にて実施した.
    【結果】177名の有効回答から平均値,実施率を求め,その結果から49項目が選定された.構成概念妥当性を確認するために因子分析を行った結果,「リスク管理のアセスメントと介入」,「摂食・嚥下機能のアセスメント」,「摂食・嚥下リハビリテーション」,「評価とコーディネート」の4因子が抽出された.内的整合性を示すCronbach's α係数は,項目全体では0.95であった.
    【結論】訪問看護における摂食・嚥下障害看護の質評価指標改訂版は,構成概念妥当性が確認され,信頼性が高い指標であることが示唆された.
  • 大津 美香, 森山 美知子, 中谷 隆
    原稿種別: 研究報告
    2010 年30 巻1 号 p. 1_91-1_99
    発行日: 2010/03/23
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    わが国においては心不全に特異的なQOL尺度が存在しないため,海外で多用されている心不全特異的QOL尺度の日本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討した.
    日本語版作成のプロセスは原著者の指示に従い,翻訳は医療者と非医療者によるチームによって行われ,A県内の3医療機関の外来に通院する慢性心不全患者204人を対象に,調査を行った.結果は,理論的関連があると考えられるSF-36およびHospital Anxiety and Depression Scaleのすべての下位尺度間において有意な相関を示し,基準関連妥当性が確認された.また,因子分析により原版と同じ3因子構造が確認され,心機能の分類(NYHA)によるMacNew平均得点の比較から,重症者では軽度・中等度の患者よりもQOL得点が5%水準で有意に低くなることが明らかとなり,構成概念妥当性が確認された.さらに,すべてのCronbach α係数は0.7以上であり,十分な内的整合性をもつことが確認された.よって,19項目のMacNew日本語版「MacNew心疾患健康関連QOL尺度(日本語版)」の信頼性および妥当性が確認された.
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