入院による児の情緒的混乱を軽減するために様々な対策が施されたが, 2歳児にはあまりり効果がなかったと報告されている. そこで, 本研究では, 入院による2歳児の情緒的混乱と面会時における親の児への支援との関係を, 親の面会, 児のシグナルに対する親の気づき, 親の行動の3点について分析した. 本研究の理論的根拠は, 危機理論とEriksonの発達理論である.
対象の17事例のうち, 情緒的混乱が認められたのは7事例 (I群), 他の10事例 (II群) には情緒的混乱は認められなかった. I群とII群の対象の属性, 親の面会回数, 親の児のシグナルに気づく回数, 親の言語・行動回数には有意差はなかった. しかし, 各事例毎に有意差のある親と児の行動等を分析した結果, 児の情緒的混乱を軽減させると思われている親の行動 (視覚的, 触覚的行動など) が必ずしも情緒的混乱を軽減させなかった. その反面, 親の微笑がなかったり, 否定・指示命令の言語が多いことは, 児の情緒的混乱に影響を及ぼす可能性があった.
この結果から, 親の適切な支援とは, 画一化されたものではなく, 緊張の高まりによって異なる児のシグナルに親が気づき, それらを暖かく受容し, 児が独自の方法で対処していけるように励ますことだと考えられる.
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