透析治療の開始は, 患者のそれまでの生活や自己概念を否応なしに変えてしまう. 特に青年期はアイデンティティの確立過程であることや, 種々の問題に対処していく能力も十分には育っていない時期であるため, 透析への適応が困難であると思われる. 本研究は, 青年期透析患者の自立を促す看護を明らかにする目的で行った.
自己管理面・社会復帰面の問題が容易に解決されない青年期の男性患者1名に対し, 相談・面接の方法を用いた援助を行い, 患者の持つ問題の特性と援助方法, ならびにその意義を検討した.
その結果, 患者-看護婦間の相互変容過程を経て, 患者の自立が促された. また, 青年期男性透析患者にとって, 透析前の身体的活動能力へのこだわりが, 透析患者としての自己概念の形成を妨げている大きな要因になっていることがわかった. その身体的活動能力へのこだわりを解決するためには, 患者が活発に活動していた過去の自分に対する気持ちを自由に語ることができ, 患者の自尊心が尊重される場を提供する援助が有効であった.
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