対象とした鶏ふん発酵臭気は、強制発酵装置 (縦型密閉発酵装置) から発生するガスで、アンモニアが最大で3,000ppmにも達する高濃度臭気である。これまでにバーナー式の燃焼脱臭法を適用しその有効性を確認したが、燃料費が高くつき中小零細農家には普及し難い問題があった。
この欠点を解消するために、ディーゼルエンジンに発電機を搭載し、その吸気系統に鶏ふん発酵臭気を導入して燃焼脱臭させる方法について検討した。
実ガスによる繰り返し実証試験の結果、主要な悪臭成分の分解率は87~100%、臭気濃度に基づく脱臭効率も76~93%と良好な結果が得られ、特に、エンジン出力が8.6kW付近では、悪臭物質の分解率がほぼ100%、脱臭効率も94%以上に達することがわかった。また、30日間の長期運転でもほぼ同様の性能を持続することを確認した。さらに、発電した電力を有効利用すれば、燃料費を相殺できることも確認した。一方、ディーゼルエンジン排ガス中の窒素酸化物 (NOx) 濃度も大気汚染防止法基準の1/10~1/3と低く、畜産や食品コンポスト関係の発酵臭気、塗装関連臭気などの高濃度悪臭発生源対策等に期待できると考える。
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