におい・かおり環境学会誌
Online ISSN : 1349-7847
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ISSN-L : 1348-2904
38 巻 , 2 号
MARCH
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特集(地方自治体のにおい対策新展開)
  • 北村 清明
    2007 年 38 巻 2 号 p. 77
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/22
    ジャーナル フリー
    ここ数年の悪臭苦情は,依然として年間約2万件という高い水準の件数で推移しているとともに,飲食店や個人住宅などを原因とするいわゆる都市型の苦情の割合が目立っている傾向にある.これに対し,悪臭苦情を住民から受け,事業者に指導を行う立場の地方自治体は,これまでとは異なる対応を求められてきている状況にある.規制地域を拡大すべきか,臭気指数規制を導入すべきか,悪臭苦情への対応はこれまで通りでいいのか,といったことに頭を悩ませている自治体の担当者も多いと思われる.そこで今回の特集では,こういった状況に対して新たな取り組みを実施しているいくつかの事例を紹介したい.
    埼玉県の山内剛宏氏と風間雄介氏には,県内市町村への悪臭防止法の臭気指数規制導入にあたっての,事業場における実態調査などをもとにした臭気指数規制の素案の作成,これに対して,市町村の意向,県民の意見,事業者の実情を勘案して規制基準を決定したという経緯を紹介していただいた.また,その規制の内容として,一部の市町については物質濃度規制を継続させたこと,臭気指数規制を導入した市町については地域の実情に合わせて基準値を設定したことを紹介していただいた.
    横浜市の高橋俊和氏と悪七由美子氏には,特に飲食店からの臭気に対する苦情に対応するために「横浜市生活環境保全等に関する条例」の規定による,「飲食店等がにおいに関して配慮すべき事項」を紹介していただいた.飲食店が実際に対応可能な内容となっているとともに,運用にあたってはパートナーシップによる問題解決のために行政が調整役を務めており,施行後の解決事例も紹介していただいた.
    川崎市の安藤仁氏と岩瀬義男氏には,臭気指数規制を「川崎市公害防止等生活環境の保全に関する条例」に盛り込んだこと,その特徴として,基本となる敷地境界基準をもとに,時問帯別敷地境界基準,地域別敷地境界基準,業種・規模別敷地境界基準を加算した規制基準の設定が挙げられることを紹介していただいた.
    東京都下水道局の横田義春氏には,悪臭の排出者(下水道管理者)としての自治体の取り組みとして,各施設でのマニュアルや行動計画に基づく臭気対策,自主的な臭気測定,迅速な苦情対応,新しい脱臭技術の開発を紹介していただくとともに,ビルピット所有事業者への指導を行っていることを紹介していただいた.
    以上の各原稿を読んでいただくと,各自治体とも対策を実施するにあたっては細かな検討を行っており,いかに悪臭苦情を低減して住民生活の質の向上に資するか,ということに真摯に取り組んでいるかがお分かりいただけることと思う.一方,事業者側にとっても負担が少ない対策で済むよう配慮している.このような,悪臭の発生源である事業者の取り組みを促し,苦情を申し立てる住民の理解を得るという,悪臭苦情を低減するための自治体担当者の努力や熱意は今後も欠かせないであろう.
    各執筆者には,通常業務でお忙しいところ,快く執筆を受諾していただいたことに大変感謝しており,この紙面を借りて厚く御礼申し上げたい.本特集が全国の自治体の臭気対策に携わる多くの担当者に読まれ,今後の臭気対策の参考としていただき,臭気苦情の低減へと結びついていくことを願ってやまない.
    なお,本誌にて臭気苦情の解決事例を継続して紹介していく新特集を企画している.その他にも,協会や本誌を通じた自治体間の情報交換がより活発になされるような企画を実施していく予定である.自治体の臭気施策担当者の方々には是非今後の協会の取り組みにも期待していただきたい.
  • 山内 剛宏, 風間 雄介
    2007 年 38 巻 2 号 p. 78-83
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/22
    ジャーナル フリー
    埼玉県における悪臭規制は,昭和49年から法律による物質濃度規制を条例による臭気濃度規制で補完する形で実施されてきた.
    しかし,悪臭に係る苦情件数が10年間で約3倍に増加し,物質濃度規制に基づく規制方法では苦情対応が困難になってきた.そこで,臭気指数規制導入の検討を始めた.まず,事業場における実態調査などをもとに臭気指数規制の素案を作成した.これに対し,市町村の意向,県民の意見,事業者の実情などを勘案し,平成18年10月から臭気指数規制を導入するに至った.
    この新しい臭気規制の特徴としては,従来の県下一律の規制から市町村単位で異なる規制とし,臭気指数規制を導入した市町については地域の実情に合わせて基準値を設定したこと,また,一部の市町については物質濃度規制を継続させていることが挙げられる.
  • 高橋 俊和, 悪七 由美子
    2007 年 38 巻 2 号 p. 84-91
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/22
    ジャーナル フリー
    横浜市では,数年前から悪臭苦情の中で「飲食店の排気からのにおい」が目立つようになった.そこで,「飲食店のにおい」という都市生活型の環境問題の解決に対して,規制だけではなく,行政と住民と事業者とのパートナーシップによる取り組みを重視した手法をとり,「横浜市生活環境の保全等に関する条例」の中に盛り込んだ.飲食店は小規模な店が多く,においの苦情に対し脱臭装置設置を考えても,費用および設置スペースの関係から困難であることが多い.悪臭苦情の解決は,技術的解決もさることながら,話し合いによる解決が効果を上げることが多い.上記条例が施行されてから,飲食店の排気からのにおいに関する継続した苦情は減少してきており,一定の成果が上がっている.
  • 安藤 仁, 岩瀬 義男
    2007 年 38 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/22
    ジャーナル フリー
    川崎市では近年,悪臭苦情が飲食店など都市生活に起因するものに変化してきたことにより,未規制の悪臭物質や複合臭への対応が求められるようになった.そこで日常生活における生活環境の保全を勘案し,規制基準を適正なものとするため,時間帯,用途地域および業種・規模を考慮した臭気指数規制を市条例に導入することとした.このように時間帯別など地域の実情を考慮した規制基準を定めたことは,当市の臭気指数規制導入の大きな特徴となっている.そのため,以前のような施設基準だけでなく,臭気指数を基準とする地域の実情を考慮した指導ができるようになった.
  • 横田 義春
    2007 年 38 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/22
    ジャーナル フリー
    下水道施設は都市活動における重要な役割を担っているが,事業特性から臭気の発生が避けられない.このため,臭気対策の基本である発生の抑止とともに,下水処理施設では臭気発生を前提とした把握,抑止,捕集,脱臭の4段階の対応が必要である.東京都区部においては,排水設備ではビルピット,下水道管では管清掃,ポンプ所と水再生センターでは臭気捕集と脱臭設備を中心に,各段階の特性に応じた臭気対策を実施している.また,自主的な臭気測定を行うとともに,新しい脱臭技術の開発も手がけている.さらに,お客さまからの苦情には迅速に対応し,ビルピット所有者に対する改善指導を行っている.臭気苦情の低減を目指し,これらのさまざまな臭気対策を今後も展開していく所存である.
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