におい・かおり環境学会誌
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39 巻 , 6 号
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特集(待ったなしのVOC規制と最新の対策技術)
  • 中津山 憲
    2008 年 39 巻 6 号 p. 363
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    工場等からのVOCの排出抑制を目的とした大気汚染防止法の一部が改正され,平成18年4月1日,VOCの排出の規制等に係る規定として施行された.固定発生源に関しては,法と自主的取組のベストミックスで,平成22年までに平成12年度比で3割削減することを目標として進められてきた.しかし,排出事業者側の抑制対策技術の具体的検討および用地や資金問題などを考慮するとかなりの期間を要することを配慮し,排出基準の適用については平成22年3月31日までの猶予期間が設けられることとなった.このようにVOCの排出抑制対策は,まさに「待ったなし」の状況にある.
    これまで,法規制の対象となる事業者の工程の改善や低VOC原材料への代替などのいわゆる工程内対策(インプラント)と排出を防止する対策技術(エンドオブパイプ)を実施する努力でVOCの削減が確実に進んでいる.大部分のVOCは臭気問題として発生することが多く,有効なVOC抑制対策が臭気問題の解決になっていることも多い.
    環境省水・大気環境局大気環境課 勝亦政幸氏には,このように大気汚染防止法に基づくVOCの排出抑制対策が導入された経緯や法制度の解説,VOC排出インベントリー(目録)の見直しによる最新の排出量や推移の調査結果,広報活動や実証試験および表彰制度等に関して分かりやすく解説いただいた.
    独立行政法人国立環境研究所大気圏環境研究領域 今村隆史氏には,光化学オキシダントや粒子状物質の生成とVOCがどのように係わっているか,最新の理論やメカニズムを詳しく解説いただいた.
    近年,VOCの排出抑制対策が進んでいるにもかかわらず,光化学オキシダントの注意報発令数が増加している傾向が発表され,多くの研究機関による大圏レベルでの観測データやシミュレーション結果から,光化学オキシダントの発生メカニズムに大陸からの越境汚染も影響しているのではないかと議論されている.
    また,地球規模でのCO2削減対策が叫ばれている現在,VOCを削減のためCO2の発生を増大できないという矛盾を解決しなければならないという,非常に難しい現実に直面しているのも事実である.今回の特集における対策技術は,このような現状を踏まえて,いかに消費エネルギーを抑制し高い効率でVOCを削減するか,最新技術を紹介する.
    中外炉株式会社大気浄化グループ技術課 渡辺球夫氏には,高効率蓄熱燃焼装置を用いたVOC処理の導入事例と蓄熱燃焼装置の解決された問題点や事例および省エネ効果に関して紹介いただいた.
    株式会社西部技研 田中康弘氏には,ゼオライト濃縮ローターによるシステムで蓄積される高沸点成分など,脱離(賦活)が難しい成分をさまざまな技術で改良された実例や,パッケージ型の標準装置における有効性や省エネ効果を紹介いただいた.
    北炭化成工業株式会社 環境技術本部 直田真一氏には,活性炭吸着によるVOC処理装置は燃焼によるCO2の排出が基本的に発生しない長所があるが,活性炭の交換にかかわるさまざまな問題点がある.本稿では,活性炭の充填法や再生し再利用するシステムの事例を交えて紹介いただいた.
    VOC排出抑制対策技術は,今回執筆いただいた技術の他にもさまざま発表されているが,本特集がVOC排出抑制に係わるさまざまな解決の一助となれば幸いである.
  • 勝亦 政幸
    2008 年 39 巻 6 号 p. 364-369
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    光化学オキシダントの原因物質の一つである揮発性有機化合物に対して,法規制と排出事業者による自主的取組の双方の政策手法を適切に組み合わせる(ベスト・ミックス)排出抑制対策を行っている.工場等からのVOC排出総量を平成22年までに平成12年比で3割削減することを目標としている.
    揮発性有機化合物の排出インベントリを毎年推計しており,平成18年度は,平成12年度比で約20%の排出量削減となった.
  • 今村 隆史
    2008 年 39 巻 6 号 p. 370-376
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    大気中での揮発性有機化合物の酸化反応は光化学オゾンならびに二次有機エアロゾルの生成において不可欠なプロセスである.オゾン生成では,揮発性有機化合物の酸化過程における過酸化ラジカル(RO2)の生成が酸素分子の結合エネルギーを低下させる役割を果たし,後続のNO→NO2の酸化反応を介して,酸素分子からの酸素原子の供給(オゾン生成)を可能にする.有機エアロゾル生成では,揮発性有機化合物の酸化過程での生成物分布がエアロゾルの質量濃度や組成に影響を及ぼすため,酸化反応の種類ならびにそのメカニズムの解明が必要である.
  • 渡辺 球夫
    2008 年 39 巻 6 号 p. 377-385
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    高効率蓄熱燃焼装置は,近年その高い省エネルギー性および性能から急速に排ガス浄化処理に採用されている.特に燃焼熱の高いVOCの処理には最も適し,塗装乾燥設備等から発生する濃度の高いガスを処理することによりその余剰熱を有効利用出来,工場全体の生産設備と併せた計画により更なる省エネルギー化が可能となりCO2の削減にもつながる.低濃度ガスや,塩素含有ガス等も他の装置とシステム化することにより省エネルギー性の高い処理が可能となる.
  • 田中 康弘
    2008 年 39 巻 6 号 p. 386-391
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    VOC排出を抑制するエンドオブパイプ技術としては燃焼装置や回収装置が一般的であるが,大風量・低濃度のVOCを含む排ガス処理では,非常に大規模な設備となるばかりでなく膨大なランニングコストが掛かるという問題がある.これに対してその前段設備としてVOC濃縮装置を使用することにより,大風量・低濃度排ガスを小風量・高濃度排ガスに濃縮することができ,設備費およびランニングコストを低減し,効率の良いVOC処理を実現することができる.
  • 直田 信一
    2008 年 39 巻 6 号 p. 392-398
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    活性炭吸着装置は,有機溶剤の臭気対策や回収装置として,多くの分野での実績がある.しかし,活性炭の吸着できる量は有限であるため,頻繁に交換しなければならないという問題がある.これらの問題を解決するため,活性炭の交換が容易にできる方法や活性炭を再生—再利用(リサイクル)するシステムを構築することで,極めて簡便でCO2を殆ど発生しないVOCの処理装置を実現することができる.
研究論文
  • 斉藤 幸子, 綾部 早穂, 小早川 達
    2008 年 39 巻 6 号 p. 399-407
    発行日: 2008/11/25
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    従来,持続提示される臭気のニオイの感覚強度の時間依存性は,指数関数的に低下すると報告され嗅覚順応と説明されてきた.しかし,最近,我々は,トリエチルアミンを用いた実験で,この感覚的強度の時間依存性が多様であり,大きく5つの型(指数関数型,指数関数&矩形型,変動型,不変型,上昇型)に分けられると報告した.最も多かったのは一度減じてまた上下に変化する変動型で約50%を占め,従来から言われていた指数関数型や指数関数&矩形型は併せても全観測データ数の約30%にすぎないことが明らかにされた.本研究では,このような個人差が起きる原因を検討するため,これら強度の時間依存性の型と知覚内容との関係を検討した.その結果,トリエチルアミンに対する13名の女性被験者のデータから,変動型あるいは不変型を示した被験者群は,指数関数型及び指数関数&矩形型を示した被験者群よりも,総合的な強度,ニオイの質「糞便臭」の知覚,不快度をより強く感じていることが示された.このことは,今後,他の臭気や男性被験者も含むより多くの被験者について確認する必要があるが,持続臭気に対する臭気強度の時間依存性の違いは,被験者がそのニオイに対して持った知覚的内容の違いと関係していることを示唆した.
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