植物は環境ストレスによって特定の香気成分(テルペン類,フェニルプロパノイドなど)を生産・放出する.これら香気成分の生産・放出に及ぼす二酸化炭素(CO
2)濃度の影響を調べるため,グロース・チャンバー内に5種類のハーブを設置し,通常CO
2濃度およびその2倍濃度(約700ppm)の条件下で,葉から放出または葉に含有される香気成分をガスクロマトグラフ/質量分析計により測定した.その結果,CO
2濃度の増加に伴い,光合成速度の速い草本植物(バジル,オレガノおよびレモンバーム)では香気成分の放出量,含有量および成分組成に有意な変化が見られ,比較的揮発性が低い香気成分の生合成が促進された.一方,木本植物(パイナップルセージおよびレモンユーカリ)では1週間の曝露間では香気成分に明瞭な変化は見られなかった.少なくとも草本植物について,CO
2濃度の変化は,他感作用を有する香気成分の生産・放出に影響する可能性が示唆された.
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