におい・かおり環境学会誌
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42 巻 , 3 号
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特集(下排水関連施設の臭気対策)
  • 樋口 能士
    2011 年 42 巻 3 号 p. 177
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    下水・排水は生物分解可能な有機物を多量に含むため,そうした水が未処理のまま嫌気分解により腐敗すると硫化水素に代表される劣悪な臭気を発生する.かつての高度成長期には,製紙工場などの大規模事業場の排水がしばしば巨大な悪臭公害を引き起こした.一方近年では,都市型悪臭苦情の増加に伴いビルピットのような小規模な汚水滞留が悪臭苦情の原因として顕著化している.都市型の下排水起因の臭気問題はかねてから指摘されてきたものの,その対策についての系統的な議論は不足しがちであった.特に,悪臭防止法における排出水の規制(いわゆる3号規制)に基づいた行政による排出事業者への規制・指導に関しては,その具体的手法が自治体に対して充分浸透しているとは言い難いのが現状である.
    こうした状況に鑑み本特集では,特にビルピット臭気問題を中心にその事象の概説と先進事例を,第一線で対策に当たられている方々よりご紹介いただいた.
    最初に佐野勝実氏より,下水処理における臭気対策を概説していただいた.臭気の発生メカニズム等の基礎事項に加え,下水処理関連での臭気対策の歴史,苦情件数の推移や研究開発の現況など,下排水関連施設臭気について広く総括していただいた.また主要な脱臭対策について,その特徴と維持管理に当たっての留意点が詳説されている.
    深谷渉氏には,行政によるビルピット臭気問題への対処を支援する目的で,臭気発生源の特定方法や発生源を有する事業者への指導方法について概説いただいた.特に,悪臭防止法やその他関連法に基づく法令遵守を促す指導や,悪臭防止を指導するに至るまでの行政内部の部局間での連携事例が示されており,自治体の担当者の方々にはこの内容を大いに参考にしていただきたい.
    松木靖氏他,中道直明氏には,それぞれ神戸市,名古屋市での長年のビルピット臭気対策についてご紹介いただいた.両市とも,実態解明のために長期にわたる実態調査が実施されており,調査を通じて得られた貴重なデータも掲載されている.これらの内容は,今後同様の調査や対策に取り組もうとする自治体関係者にとって心強い先進事例となるであろう.
    最後に(社)日本産業機械工業会には,ビルピット臭気対策として安価で有効な設備を考案し,実際に導入した事例をご紹介いただいた.特にこの新規設備は,対策実施上の諸々の制約を克服することを目的に考案されており,今後はさらなる装置改善や設備の普及が期待される.
    都市型の下排水臭気問題に対しては,発生源の特定が極めて難しいこと,高濃度有機汚濁水が多く腐敗の防止がある程度避けられないこと,そして小規模発生源が多く予算が限定的であるが故に安価で容易な対策手法が強く要望されていること,などが特徴として指摘される.筆者を含め読者は今回の特集記事を読むにつれて,臭気対策において現場を知ることの大切さ,また個々の現場の実状に併せた丁寧な対策の必要性を,改めて痛感させられる.この特集が,下排水関連施設の臭気対策,とりわけビルピット臭気対策のさらなる進展の一助になれば幸いである.
    最後に本特集の執筆者各位には,記事執筆へのご協力,そして数々の貴重な情報提供に対しまして衷心より御礼申し上げる次第である.
  • 佐野 勝実
    2011 年 42 巻 3 号 p. 178-187
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    下水道の果たす役割が大きいにも関わらず,下水道施設が嫌われる理由の一つが悪臭である.下水道施設は,汚水を収集し処理するという性格から,必然的に臭気が発生する.
    下水処理場での臭気対策は,環境を保全し,地域と調和・共存するために必須である.悪臭防止法等の法令を遵守し,維持管理に携わる職員の安全確保や施設の腐食・劣化の防止の側面からも適切かつ有効な実施が必要である.
    よりコンパクト,効果的で,維持管理費等を含め総合的に安価な脱臭方法の実現への取り組み,臭気の原因物質を抑制する水処理・汚泥処理プロセスの構築や,構造物設計上の詳細な創意工夫の積み重ねが重要である.
  • 深谷 渉
    2011 年 42 巻 3 号 p. 188-194
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    ビルピット排水は,ピットの構造や維持管理等の問題により,高濃度の硫化水素を含む場合がある.硫化水素は,下水道施設排出後,空気中に放散され悪臭の元となり,生活環境悪化や都市イメージ低下,下水道施設の劣化を引き起こすため,下水道管理上の大きな問題となっている.ここでは,下水道管理担当者が効率的かつ効果的に悪臭対策を実施するための手法として,下水道施設である汚水桝に硫化水素計を設置し悪臭防止法による規制基準値超過を判定するとともにビル管理者に指導する手法と,ビルピットからのポンプ排水時に汚水桝内の気圧および湿度が急激に変化する現象を活用し悪臭発生源を特定する手法を紹介する.
  • 松木 靖, 前仲 良明, 三好 善人
    2011 年 42 巻 3 号 p. 195-201
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    神戸市において実施されたいくつかの地下排水槽の悪臭対策を紹介し,その各々の効果検証結果について議論した.神戸市は9つの行政区を有し,東水環境センター(東灘・灘・中央区),中央水環境センター(兵庫・長田・須磨・北区),西水環境センター(垂水・西区)が,それぞれの行政区の管渠の維持とともに,排水設備の所有者・管理者に対する設備の適正管理についての指導を実施している.中央区については神戸市の中心地であり多くの高層ビルや,繁華街が立地している.そのため地下排水槽も多く神戸市全体の50%が集中していることから悪臭苦情が他よりも多くなっている.当地域は,また,神戸市の「顔」ともいえる場所であり地下排水槽による悪臭対策が早急に求められている.
  • 中道 直明
    2011 年 42 巻 3 号 p. 202-208
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    地下排水槽に起因する硫化水素ガス等による悪臭(以下,ビルピット臭気)が都心部・繁華街を中心に発生しており,その解消を目指して名古屋市上下水道局では,平成18年度より「予防型臭気対策」を進めている.予防型臭気対策の一環として実施した面的な臭気調査では,約6割の地下排水槽を臭気発生源として特定し改善働きかけを行ったが,一方で大半の地下排水槽では直ちに根本的な臭気対策を行うのが困難であることも分かってきた.今後は,粘り強く改善を働きかけるとともに,PR活動の継続や行政指導に向けた検討によりビルピット臭気の解消を目指している.
  • (社)日本産業機械工業会 風水力機械部会 排水用水中ポンプシステム委員会
    2011 年 42 巻 3 号 p. 209-213
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    ビルピットとは建物の地下にある排水槽のことであり,そこから発生する臭気はビルピット臭気と一般的に呼ばれている.ビルピット臭気の主たる発生要因が,ビルピット内における汚水および汚泥の長時間滞留であることは以前から分かっていた.その対策方法の一つとして即時排水が有効であることも既に明らかであったが,設計手法が確立されていなかった.そこで本報では,即時排水の有効性を検証し,設備の設計手法をまとめた結果を紹介する.
総説
  • 岩下 剛
    2011 年 42 巻 3 号 p. 214-230
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    Since Sick House/Building Syndrome was reported during 1990’s in Japan, the building code was modified and large impact was occurred onto building society. The action programs for formaldehyde control, compulsory installation of mechanical ventilation system in buildings and so on seem to be successful to decrease the indoor chemical pollution level. However occupants and residents still often showed their complaint and dissatisfaction for indoor air quality. Although the concentrations of designated chemicals are below at the permissible level, significant adverse effects are sometimes observed in terms of the odor level or perceived air quality. Since the studies on perceived air quality had been started in building service field by Yaglou in the U.S., many research results in this field have been reported mainly in Europe and North America. These researches are still continuing in forms of “Sensory Assessment of Building Materials”, “Influence of Perceived Air Quality on Human Performance in Offices/Schools”, and so forth.
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