におい・かおり環境学会誌
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43 巻 , 6 号
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特集(臭気測定に関わるアーカイブス)
  • 岩橋 尊嗣
    2012 年 43 巻 6 号 p. 387
    発行日: 2012/11/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    今年で,当協会は社団法人化されて25周年の節目を迎えた.また,2011年4月からは内閣府より公益社団法人としての認可を受け,法人としての公益性を重視した活動が益々重要になってきている.これまでの協会の活動は,屋外における臭気対策に関わる案件が圧倒的に多い.しかし,近年,私達の日常生活にまつわる“においトラブル”の事例が非常に多くなってきており,毎年梅雨時にはTV,雑誌などで一斉に居住空間内の臭気対策に関わる特集が組まれ注目されている.当協会でも臭気判定士や臭気対策アドバイザーを紹介しマスコミへの対応を図っている.本誌の特集記事でも,ここ数年日常生活に関連する臭気問題を取り上げる機会を多くしてきた.本年8月には,これらの特集内容を主としてまとめた「食とにおい」を発刊しており,興味のある方は是非ご一読いただきたい.
    臭気対策で最も重要なことは,問題が生起している場所での的確な状況把握である.すなわち,客観的かつ根拠を有する手段で臭気を測定し,そして判断しなければならない.これらの根拠になっているものが昭和46年に制定された悪臭防止法である.臭気を測定(判定)する場合,機器分析装置を使用する方法と,人の嗅覚による方法に分けられる.複合臭という概念が取り入れられてから,嗅覚測定法が重要な位置を占めるようになっている.
    本特集では,“臭気測定に関わるアーカイブス”と題して,4編の記事を掲載する.まず始めに,諸井氏(本誌編集委員会事務局)には,「悪臭防止法改正の経緯—臭気指数規制導入を中心に—」という題目で執筆していただいた.悪臭防止法に関わる事項が年を追って的確にまとめられている.日本で制定され世界でも類を見ない臭気に関する法律ができ,施行され,さらに見直され改訂されていった変遷が理解できる.
    第2編では,岩崎氏(本協会会長)に「三点比較式臭袋法はどのようにして作られたか」という題目で執筆していただいた.臭気関連の仕事に携わった人達であれば,だれもが認知しているのが三点比較式臭袋法である.臭袋法を確立するまでに持ち上がったさまざまな問題点を明確にし,解決していった歴史が述べられている.あらためて,著者の嗅覚測定法を根拠のある普遍的なものに仕上げるという信念・情熱には敬服するばかりである.
    第3編では,永田氏(元財団法人日本環境衛生センター)に「臭気物質の嗅覚閾値の測定について」という題目で情報をご提供していただいた.現在公表されている223物質の閾値(検知閾値)データは,臭気関連の仕事をしている者にとってはバイブル的存在になっている.これらのデータは三点比較式臭袋法によって求められたもので,12年間という長きにわたって測定され得られたものである.文面からは測定時の多くのご苦労が伝わってくる.今後は,これらのデータの精度管理という意味合いからも,さらなる複数機関で検証する必要性を強調されている.
    第4編では,藤倉氏(桜美林大)に「悪臭防止政策の変遷—臭気判定士制度制定に至る経緯—」という題目で執筆していただいた.当初は物質濃度規制であった悪臭防止法に,官能評価法である臭気指数規制を組み入れるという大きな仕事すすめられたのが藤倉氏で,臭気判定士という国家資格の制定にも大変なご尽力をされた.これらの経緯について解り易く述べられており,法律を変えていくときのご苦労も是非感じ取っていただきたい.
    最後になったが,本特集を企画するにあたり,ご多忙中にも関わらず多くの情報・データを取り揃えご執筆いただいた著者の方々に対し,本紙面を借り深く感謝申し上げます.
  • 諸井 澄人
    2012 年 43 巻 6 号 p. 388-394
    発行日: 2012/11/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,悪臭防止法改正に係る経緯について,悪臭防止法制定前の状況から平成12年改正において臭気測定業務従事者(臭気判定士)制度が創設されるまでの間の動き等を,既存資料等に基づいて整理した.
  • 岩崎 好陽
    2012 年 43 巻 6 号 p. 395-400
    発行日: 2012/11/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    日本において40年程前までは,臭気の測定は注射器法で行われていた.しかしこの注射器法には,容量の不足,臭気の吸着ロス,客観性の不足などのいくつかの欠点があった.そのため,信頼できるデータを得ることは難しかった.それらの欠点を改良する形で,三点比較式臭袋法を開発した.この著述においては,三点比較式臭袋法ができるまでの経緯,考え方,すなわち注射器から臭袋への変更,三点比較法の導入,袋の材質の選定等について記載している.特に嗅覚閾値の考え方,およびパネルの人数および選定にかかわる嗅力測定の状況についても記載した.
  • 永田 好男
    2012 年 43 巻 6 号 p. 401-407
    発行日: 2012/11/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    本協会ホームページで掲載している嗅覚閾値は,主に永田好男氏(元財団法人日本環境衛生センター,現株式会社アクアパルス)の測定によるものである.本稿は,永田好男氏に質問に答えていただく形で臭気物質の嗅覚閾値の測定に関してその背景をはじめ,測定の詳細について説明をいただいた.
    永田氏の嗅覚閾値データは,大変貴重なものであり,広く活用されている.今回説明いただいた内容は,今後の臭気測定の分野で広く活用できるのではないかと考える.
    なお,元となった「三点比較式臭袋法による臭気物質の閾値測定結果」(日環セ所報No.17.1990)は,一般財団法人日本環境衛生センターのホームページで閲覧することができるのでそちらを参考にされたい.
  • 藤倉 まなみ
    2012 年 43 巻 6 号 p. 408-414
    発行日: 2012/11/25
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    環境政策の進展に必要な要素にはa)社会の要請,b)他法令で未対応,c)原因と被害の因果関係の科学的な解明,d)対策の技術的・経済的実行可能性がある.悪臭防止法施行40年をふり返り,悪臭ではこれらの要素に関連してどのような判断や対応がとられてきたかを示した.
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