住宅の臭気成分を測定することは生活環境の改善に有益であり,室内の臭気の調査では,におい嗅ぎGCMSや官能試験を実施した.本報では室内臭気の調査時の留意事項について述べ,洗濯機の臭気と浴室内の臭気の測定事例について報告する.
近年,建築環境におけるにおいの苦情が多く寄せられる.室内のにおいの要因としては,化学物質を利用した建材の利用や換気量の低下が挙げられるが,さらには居住者の室内空気質に対する関心の高まりがあると思われる.建築環境で問題となる臭気は,建材や家具からのにおい,生活に起因するにおい,周辺施設からのにおいに大別できる.本報では,建築環境において対応した臭気クレームの事例を紹介する.
室内環境の臭気対策は,臭気発生状況の調査(臭気発生源の特定,臭気寄与成分の推定,臭気発生量の測定),臭気発生の抑制,伝達経路の遮断,不快度の低減という手順で進められる.この一連の作業を円滑に進めるために重要と思われる事項を解説した.不快度の低減では,脱臭方法の選定作業を容易にするために換気法,吸着法,吸収法,感覚的消臭法,酸化法(オゾン式,プラズマ式,光触媒式)の脱臭原理と一般的な特徴を解説した.また,設計段階において脱臭機能付き空気清浄機(脱臭装置)の導入効果を大まかに予測できる式の導き方と活用法を紹介した.
居住空間内には,多くの不快臭が存在している.本稿では,近年なぜこれ程までに不快臭が問題視されるようになってきたのかを,整理しまとめた.また,臭気の発生の最大要因は細菌(バクテリア)の働きであること.細菌によってタンパク質,脂質等が分解されにおい物質が作られること.このことを理解すれば,必然的に対策はみえてくる.ヒトの生活があれば,必ずにおいは発生する.体臭も含め,生活臭を受け入れるという姿勢が,今後重要なこととなってくる.