におい・かおり環境学会誌
Online ISSN : 1349-7847
Print ISSN : 1348-2904
ISSN-L : 1348-2904
50 巻, 6 号
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特集(The International Symposium on Olfaction and Electronic Nose)
Research paper
  • 中村 友香, 物部 勇馬, 岩本 仁志, 岸本 昇, 土井 正光
    2019 年 50 巻 6 号 p. 416-422
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2021/11/14
    ジャーナル フリー

    ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)のおがくずとモノテルペン類であるリモネン,α-ピネンそしてβ-ピネンはトリメチルアミンに対し消臭効果を示した.トリメチルアミン濃度は,おがくずの増量に伴い減少することがわかり,製材所で生じるおがくずが魚臭の除去に有効であることを示した.ヒノキの精油成分をGC-MSで分析したところ,リモネン,α-ピネンそしてβ-ピネンなどの揮発性のモノテルペン類が検出された.また,それらはトリメチルアミンに対し消臭効果を有し,中でもβ-ピネンが最も効果的であった.モノテルペンの消臭メカニズムの解析をNMRと電荷計算の実験により行った.NMRの実験から,どのモノテルペンにおいてもトリメチルアミンと弱いながらも相互作用していることが示唆された.また,モノテルペン分子の中で,最も低磁場シフトしたプロトンは二重結合のプロトンであった.モノテルペンの電荷計算から,二重結合のプロトンは他のプロトンに比べより大きな正電荷を持つ事がわかった.これらのことから,モノテルペンの正電荷がトリメチルアミンの持つ負電荷を攻撃し,その結果モノテルペンの電荷の変化や小さな構造変化を引き起こしていることが考えられた.これが,モノテルペン類のトリメチルアミンに対する消臭メカニズムの一因である可能性が示された.

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