臨床アロマセラピーは,精油の心理的作用,薬理作用,またアロマセラピーマッサージによるタッチの生理的作用によって症状緩和やQOLの向上をもたらし,患者の自己治癒力向上や安楽を目的として行われる.アロマセラピーマッサージは,がんを含む慢性疾患,あるいは高齢者ケア,心療内科,精神科,リハビリテーション科,産婦人科,皮膚科,ICUなどで実践が始まっており,その効果を検証する研究も進められている.今後は安楽のケアとして看護領域に導入されることにより,患者ケアの質の向上が期待される.
女子大学生を対象として, 身体・精神的疲労回復を目的とした膝下のフットアロマトリートメント(キャリアーオイルのみと精油を含む)を行い, 体表面温度の上昇をサーモグラフィーで観察した.その結果,ブラックペッパーを用いた場合に,温度上昇の相加性と持続性が確認され,血流の改善効果が期待された.特に,脹脛において,トリートメント20分後では精油なしのトリートメントに比べて,体表面温度が有意に高いことがわかった.また, アロマトリートメント後のアンケート結果により,精油なしに比べて,足のむくみが取れ,気分,体調面においても高い評価が得られた.
医療・介護の現場では通常医療や医薬品のみでは対応が難しい問題に遭遇することがある.
これらの問題への対応としてアロマセラピーを活用したケアを行うことにより患者の生活の質の向上をはかることができ得ると考える.補完代替医療のなかでは,医療従事者が,効果的でかつ科学的にアロマセラピーに取り組むことが求められるており,チーム医療の現場で安全に精油を活用するためには薬剤師が精油の管理・運用に適正に関わることで医療の質の向上に貢献できる可能性がある.
本稿では,実際に医療現場でみられる高齢者におきる様々な問題,緩和ケアや終末期医療の現場でおきる問題・患者を支える家族やスタッフがかかえる問題などへの精油の活用事例について紹介する.
パネル選定試験に用いる基準臭は非揮発性溶媒を用いて希釈され濃度が調整されたものが市販されている.固相マイクロ抽出を用いるにおい嗅ぎガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS-O)の性能として検出能力の安定性をチェックするために,パネル選定用基準臭を使用することを考え検討した.実験の結果,さらに基準臭の濃度と再現性の検討が必要だが,4基準臭の混合物を利用してGC-MS-Oの性能チェックが可能であると考えた.