におい・かおり環境学会誌
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52 巻, 4 号
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特集(におい分析のサンプリング方法と信号解析方法)
研究論文
  • 小山 玲音, 出村 幹英, 野間 誠司, 林 信行, 原口 智和, 宮本 英揮, 笹川 智史, 龍田 典子, 上野 大介
    2021 年 52 巻 4 号 p. 226-232
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/11/14
    ジャーナル フリー

    気生藻類の一種であるスミレモTrentepohlia aurea (Linnaeus) Martiusは,スミレのような“におい”があることが知られている.スミレモのにおいの有無や強弱には生育地域や場所による多様性の存在が示唆されるが,これまでは定性的な観察が中心であった.本研究ではスミレモのにおい物質を同定することで,スミレモのにおいに関する基礎的な知見を提供することを目的とした.におい物質の同定には,におい嗅ぎガスクロマトグラフィー(GC-O)を含む“におい分析システム”を活用した.分析の結果,“良い香り”として特徴的なにおい物質であるα-テルピネンと2-ペンチルフランを同定した(2-メチル-6-ヘプテン-1-オールとβ-イオノンは仮同定).将来的にスミレモ類縁種のにおい物質をデータベース化することで,におい物質を利用した化学分類学の発展に貢献できると期待される.

技術論文
  • 松本 英顕, 江原 史雄, 小山 玲音, 笹川 智史, 原口 智和, 宮本 英揮, 龍田 典子, 上野 大介
    2021 年 52 巻 4 号 p. 233-239
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/11/14
    ジャーナル フリー

    和牛(黒毛和種・繁殖雌牛)のストレス数値化技術として,皮膚ガスをマーカーとして利用する手法に着目した.本研究では基礎的検討として,皮膚ガスのサンプリング手法および分析技術の高度化に取り組んだ.サンプリング手法として,牛に特化したサンプリングデバイスを作製し,固相吸着剤を腰部に近い背部に装着させる手法を開発した.本手法で捕集された皮膚ガスをGC-MS分析に供試したが,特徴的なピークを検出することはできなかった.そこでにおい嗅ぎガスクロマトグラフ(GC-O),ガスクロマトグラフ分取システム(GC-F),およびガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて分析したところ,黒毛和種の皮膚ガスに特徴的なにおい物質として(E)-3-Octen-2-oneを同定した.本研究は大型畜産動物の皮膚ガスを同定した初めての報告である.将来的に本技術を活用して皮膚ガスとストレスの関係を検証し,パッチテストや嗅覚センサーを用いた非侵襲的なストレス数値化技術の実用化につながることが期待される.

ノート
  • 遠藤 普克, 龍山 恭, 徳田 皓平, 田島 岳留
    2021 年 52 巻 4 号 p. 240-243
    発行日: 2021/07/25
    公開日: 2021/11/14
    ジャーナル フリー

    国内でペットとしてイヌを飼う環境は室内が主流のため,イヌの持つ動物的な臭気と接する機会は増加しているものの,成分に関する報告はほとんどない.特徴的な臭気を有する,コーギー種犬の飼育に使ったシートや抜け毛の入ったクリーナーパックなどに対して,ダイナミックヘッドスペース法による捕集と,におい嗅ぎ分析を含む臭気分析を行った.それらの結果,3-methylbutyric acidと2-acetyl-1-pyrrolineがこの特徴臭気の要因と推測され,さらにGC/MS法により確認された.

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