におい・かおり環境学会誌
Online ISSN : 1349-7847
Print ISSN : 1348-2904
ISSN-L : 1348-2904
53 巻, 6 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
じんちょうげ
特集(身近な動物のにおい(part 1))
  • 小島 英順
    2022 年 53 巻 6 号 p. 326
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル 認証あり
  • 宮崎 雅雄
    2022 年 53 巻 6 号 p. 327-335
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル 認証あり

    近年のネコブームで,ネコの行動や生理に関する様々な情報が書籍やインターネット上にあふれている.しかしこれらのネコに関する情報は,すべてが根拠に基づかれて書かれているものばかりではない.他の動物の知見がそのままネコでの知見のように書かれているものや,ネコで推測されたことがいつの間にか事実のように書かれてしまっているものもある.ネコが生活環境に尿をマーキングして縄張りを作ることは,一般にも知られている.別のネコが他のネコのマーキング尿に出会うと,におい情報から縄張り主の種や性,個体情報を入手していると考えられてきた.しかし時々刻々と変化するにおい情報から本当にネコがこれらの情報を識別できているのか,その真偽はほとんど検証されていなかった.そこで筆者らは,ネコの排泄物の揮発成分をガスクロマトグラフ質量分析計などで分析し,ネコの尿や糞,肛門嚢分泌物の中にどのような揮発性物質が存在するか網羅的に調べ,種や性,年齢,個体に特有なにおい物質を見出すことで,ネコの縄張り行動の理解を深めてきた.本稿では,これまで筆者らが明らかにしてきたネコの排泄物のにおいを介した嗅覚コミュニケーションについて解説する.

  • 上野山 怜子, 西川 俊夫, 宮崎 雅雄
    2022 年 53 巻 6 号 p. 336-344
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル 認証あり

    ネコは,マタタビのにおいを嗅ぐと葉を舐める,噛む,葉に顔や体を擦り付ける,葉の上で転がるという4つの特徴的な行動を示す.これはマタタビ反応と言われ,ネコ科動物全般にみられる.この生物現象の意義は長年未解明のままであったが,筆者らは最近,一連のマタタビ反応が蚊の化学防除に有効な行動であることを明らかにした.本報では,ネコのマタタビ反応を誘起する新たな活性物質と発動メカニズム,反応の行動学的機能について,筆者らの研究成果を中心に解説する.

研究論文
  • 小山 玲音, 出村 幹英, 橋詰 賢一, 関根 あゆ美, 佐藤 克久, 上村 智子, 笹川 智史, 上野 大介
    2022 年 53 巻 6 号 p. 345-356
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

    本研究グループでは,微細藻類が発する“におい”を利用した新しい培養技術“においセンシング培養(Odor Sensing Cultivation:OSC)”の開発を進めている.本研究では国産の新しい農作物として期待されている緑藻イカダモ(Scenedesmus sp.)を対象として,嗅覚官能評価,におい物質同定,e-noseニオイセンサー分析を通じ,OSC実用化に向けた基礎的データの蓄積を目的とした.イカダモ培養液の嗅覚官能評価の結果,におい強度は2.1(何かわかる程度の強さ)であり,においの印象は“お茶,甘い,生臭い”というものであった.該当のにおい物質を化学分析に供試したところ,1-ノナナール,α-,β-イオノンが同定され,また2-ウンデセナールおよび酢酸が仮同定された.QCM型e-noseニオイセンサー分析に供試した結果を主成分分析で解析したところ,イカダモ培養液と対照区培養液のにおいは,寄与率の高い5種のQCM型検出素子によって判別が可能であった.

  • 笹川 智史, 古藤田 信博, 田中 義樹, 池田 繁成, 松元 篤史, 佐藤 克久, 上村 智子, 小山 玲音, 上野 大介
    2022 年 53 巻 6 号 p. 357-365
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

    ウンシュウミカンの“貯蔵臭”による品質低下が問題とされている.貯蔵臭とは“長期貯蔵”されたカンキツ類から感じる食品異臭(オフフレーバー)とされているが,その詳細は明らかとなっていない.本研究では貯蔵臭をもつウンシュウミカンの選別法開発に向け,嗅覚官能評価によって貯蔵臭を定義すること,貯蔵臭物質を同定することを目的とした.常温および低温で長期貯蔵されたウンシュウミカン可食部を対象として嗅覚官能評価に供試した結果,常温区(25°C)と比較して低温区(4°C)において“草のようなにおい”が強まったことから,その印象を貯蔵臭として定義した.倉庫内部の臭気を評価したところ“草のような”においは感知できず,外部からの臭気付着は無いと考えられた.続いて“草のようなにおい”を対象として“におい嗅ぎガスクロマトグラフィー(GC-O)”をもちいて物質同定に取り組んだところ,p-シメネンが貯蔵臭物質として同定された.

ノート
「におい」と私
研究室紹介
資料
協会ニュース・会告
協会ニュース
feedback
Top