近年の科学は目覚ましい発展を遂げています.しかし,昔から存在するにも関わらず「漢方薬」も「かおり」もまだまだわからないことがたくさん存在します.研究の対象にならなかったために研究が進まなかったのか,あるいは解明が難しすぎて研究できなかったのか.今回,今後の漢方薬のかおりの効果の解明の糸口になることを期待して,漢方薬とかおりの背景をまとめてみました.
中医学は人間と自然界との一体性を重視し体の陰陽バランスこそ健康維持の基本だと考え個人の体の特徴を踏まえて病気の予防と治療を行うのである.中医学・漢方によく使われる各種の生薬は独特なかおり・においがするが,中医学では独自の理論に基づいてそのかおりを活かした幅広い応用方法が確立されている.
沈香は高貴な香りのする高級香木として古来より重宝されてきた.その稀少性故に高値で取引される香木であり,乱獲が相次いだため,そのもとになる植物の数は激減している.しかし,沈香を確実に栽培する方法は未だ開発されるに至っていない.沈香の香りは主として,2-(2-フェニルエチル)クロモン類(PECs)由来である.本稿では,つい最近,著者らが同定したその骨格を形成する鍵酵素の特徴とそれにより見えてきたPECsの生合成について概説する.
生薬のかおりはその生薬に特徴的なものも多いため,生薬の品質確保のための指標成分に設定され,定量するよう規定されているものもある.定量には一般にクロマトグラフィーが用いられるが,定量対象と同一かつ純度の明らかな定量用標品が必要である.しかし,香気成分を含む多くの天然由来成分では,そのような試薬の市販がないことが多く,正確な定量が出来ないことが課題となっている.本稿では,この課題に対する解決策のひとつとして注目されている,相対モル感度(RMS)を用いた定量法について紹介する.
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