におい・かおり環境学会誌
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55 巻, 2 号
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じんちょうげ
研究論文
  • 萬羽 郁子, 光田 恵
    2024 年 55 巻 2 号 p. 90-97
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル フリー

    本研究では,においの認知度およびにおいに対する意識の性・年齢差の解明と,においの認知がにおい意識に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,Webアンケート調査を実施した.においの認知度は,多くのにおいで男性よりも女性が高く,年齢が高いグループほど平均値が高かった.特に,ばら,メントール,ひのきは若年男性の認知度が低く,樟脳(防虫剤)は男女ともに若年者の認知度が低かった.においの好き嫌いについても多くのにおいで性別・年齢による有意差がみられた.臭気対策の必要性について,においを嫌いな人ほど対策の必要性を感じていることが分かった.また,においをよく認知している人ほど好き側の評価をする傾向にあるにおい,嫌い側の評価をする傾向にあるにおい,認知が好き/嫌いに影響しにくいにおいがあることが分かった.

  • 松原 英隆, 今村 弥生, 原 かす美, 浦野 紘平
    2024 年 55 巻 2 号 p. 98-106
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル フリー

    芋焼酎,泡盛,ブランデー,およびウイスキーの酢酸エチル抽出後の濃縮液をGPC分画し,得られた画分毎にGC-MS full scan分析と官能試験を行った.その結果,4種類の蒸留酒にはほぼ同じ香気成分が含まれていた.検出した香気成分について香気強度(定量値を溶液閾値で除した値)を求め,香気強度5以上の香気成分で評価したところ,Isoamyl alcoholは芋焼酎,泡盛,ブランデーの香りに,β-Phenethyl alcoholは芋焼酎と泡盛の香りに,Ethyl caprylateは4種全ての蒸留酒の香りに,β-Damascenoneはブランデーの香りに, Vanillinは泡盛,ブランデー,ウイスキーの香りに,Isovaleric acidは,芋焼酎,泡盛,ブランデーの香りに,それぞれ強く寄与していることが示された.さらに,蒸留酒に含まれている6種類の主要香気成分を定量値の濃度で混合することにより,各蒸留酒の香りを再現できることが判明した.

  • 笹川 智史, 野間 誠司, 出村 幹英, 上野 大介
    2024 年 55 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル フリー
    電子付録

    ユーグレナ(Euglena glacilis)は豊富な栄養素や機能性成分を含むことから,新しい食品としての展開が期待されている微細藻類であるが,その独特なにおいが食品利用の妨げとなっている.本研究ではユーグレナの脱臭技術開発に向け,脱臭効果の定量評価に必要となる“指標におい物質”の特定を目的とした.嗅覚官能評価の結果,ユーグレナ粉末の発する特徴的なにおいの印象を“磯,ワカメ”と定義した.におい嗅ぎガスクロマトグラフ(GC-O)およびガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いた化学分析によって,アルデヒド類13種,ケトン類6種,含硫黄化合物1種,計20種のにおい物質をアノテーション(仮同定)した.試料をGC-O分析に供試することで22か所のにおい活性(OA)を感知するとともに,FDファクター値の高い6か所のOAを特定した.それら結果を統合し,FDファクターの高い“指標におい物質”として,1-octen-3-one, (Z)-1,5-octadien-3-one, (E,Z)-3,5-octadien-2-one, 1-decanal, (E,E)-2,4-nonadienal, (E,E)-2,6-nonadienal, (E,E)-2,4-decadienal, 4,5-epoxy-(E)-2-decenalをアノテーションした.

  • 松原 英隆, 今村 弥生, 原 かす美, 浦野 絋平
    2024 年 55 巻 2 号 p. 116-125
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル フリー

    焙煎コーヒーの水抽出液に含まれる香気成分解明のため,高揮発性成分と低揮発性成分に分けて分析した.高揮発性成分はHeadspace-GC-MSで同定・定量した.低揮発性成分は水抽出液を酢酸エチル抽出し,その濃縮液をGPC分画し,画分ごとにGC-MSで同定・定量した.高揮発性成分はHeadspace閾値を,低揮発性成分は溶液閾値を求め,それぞれ,定量値を閾値で除した香気強度によりコーヒーの香りに寄与している香気成分について考察した.その結果,香気に強く寄与している成分として,高揮発性成分では,Acetaldehyde,2-Methylbutanal,3-Methylbutanal,2,3-Butanedione,2,3-Pentanedioneを確認した.低揮発性成分ではIsovaleric acid,2-Methoxy-4-vinylphenol,2-Methoxyphenol,Furaneol,Phenylacetic acidを確認した.また,3-Hydroxy-β-damasconeの存在も推定された.

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