【背景】近年,国内の悪臭苦情は減少傾向にあるが,その内容は工場公害から,法律の対象外となる「都市・生活型」へ移行し,在宅時間の増加等に伴い住宅内の臭気問題が急増している.
【目的】25年間にわたり,においの問題の最前線に立つ立場から,近年の住宅内におけるにおいの問題の実態と背景を分析し,「におい・かおり環境アドバイザー」に求められる役割と今後の展望を事例紹介と共に明らかにすることを目的とする.
【方法】著者が実際に携わった「近隣住戸からの柔軟剤による香害トラブル(千葉県)」および「新築戸建て住宅における不定期な下水臭の施工不良問題(東京都内)」の2つの具体的な調査・解決事例を基に,そのアプローチ方法を検証した.
【結果】前者では行政等と連携した「法的・心理的アプローチ」により穏便な解決へ導き,後者では独自の浸入経路調査技術を用いて「見えないにおいの視覚化」を行い,原因特定と改善を達成した.
【考察】現代の多様化する生活臭問題の解決には,単なるにおいの測定や知識にとどまらず,民法などの法的知識,建築構造の知見,さらには関係者の心理を読み解く高い対人能力が必要とされる.
【結語】におい・かおり環境アドバイザーは,目に見えないにおいの問題を誰もが納得できるよう視覚化・証拠化し,解決まで先導する「においの専門職」として,今後さらに重要な役割を担うと想定される.
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