自閉症スペクトラム研究
Online ISSN : 2434-477X
Print ISSN : 1347-5932
13 巻, 2 号
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巻頭言
特別講演
実践研究
  • 専門家のスーパーバイズを通して
    横江 一志
    原稿種別: 実践研究
    2016 年 13 巻 2 号 p. 25-35
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/04/25
    ジャーナル フリー

    本実践は、専門家のスーパーバイズを通して、施設B 内での自閉症児A に対する施設内支援の方法について検討したものである。問題行動のあるA に対して、計画Ⅰでは適切な行動のレパートリーを増やしていくことを行動目標に置いた。結果、A は自分の洗濯物を自分で干すという行動を獲得し、同時に問題行動の減少も見られた。計画Ⅱでは、自分で選択し自分で決定することを行動目標に置いた。この中で、A はお手伝いをするかしないかを自分で選択しながら、適切な行動を増やしていくことができた。この取り組みを通して、施設B ではスタッフ間での支援の統一を図り、問題行動を捉える際のポイントを共有し、施設内での利用者の権利に対して再考する機会となった。

  • 今本 繁, 稲垣 暁, 野口 幸弘
    原稿種別: 実践研究
    2016 年 13 巻 2 号 p. 37-46
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/04/25
    ジャーナル フリー

    本研究では、宿泊訓練施設において社会的逸脱行動(就寝後起きて活動し就寝している他の人に迷惑をかける、勝手に他の人の持ち物を見る、人の物を飲食するなど)を繰り返す1 人の自閉症スペクトラムの青年に対して、社会的ルールの遵守行動を獲得してもらうために、トークン・エコノミー法を組み込んだ行動契約を実施した。その結果、対象者は複数の社会的ルールの遵守行動を獲得した。社会的ルールの中でも、日常生活ルーチンに関するルールは、ルールに関する弁別刺激の提示だけで遵守行動が獲得された。それに比して、対象者のこだわり行動を抑制するルールや新たな行動レパートリーを作るルールは、結果操作が必要で遵守行動の獲得に時間がかかった。施設内で社会的ルールの遵守行動が獲得された後、施設で企画された利用者のための外出レジャー活動においても上記の遵守行動獲得の方法を実施した。結果、対象者は同じように社会的ルールの遵守行動を獲得し、レジャー活動を楽しむことができるようになった。本研究の結果について、ルール従事行動形成の条件や社会的文脈に応じた結果操作の重要性について考察を行った。

  • 青木 康彦
    原稿種別: 実践研究
    2016 年 13 巻 2 号 p. 47-53
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/04/25
    ジャーナル フリー

    本研究は、発達障害児4 名で構成された集団に対して、長縄跳び指導を応用行動分析学的な観点から行い、長縄跳びを飛んだ回数、自発的参加頻度への指導効果を検証した。[方法]基準変更デザインを用いて、児童らの長縄跳びを飛んだ回数の達成状況に合わせて、強化基準を決定し、行動遂行が強化基準に達したら、強化した。また、長縄跳びを飛んだ回数の達成状況を折れ線グラフで児童らに提示した。[結果]長縄跳びを飛んだ回数について、ベースライン期では、平均0.5 回であったが、介入期においては、強化基準の変更に伴い、徐々に長縄跳びを飛んだ回数が上昇していった。プローブ期においても、長縄跳びを飛んだ回数は平均11.7 回であり、ベースライン期よりも高い回数を維持していた。自発的参加頻度については、4 人中3 人の児童において、介入期より自発的参加頻度が増加し、プローブ期においても自発的参加頻度は維持していた。また、大学生、福祉職員による指導前、指導後における対象児の長縄跳び遂行の印象も肯定的に変化していた。[考察]発達障害児の集団に対する長縄跳び指導において、基準変更デザイン、パフォーマンス・フィードバックの有効性が示唆された。しかし、本研究では、児童同士の個人攻撃などの負の副次的効果が観察された。今後、長縄跳び指導における負の副次的効果の防止を検討する必要がある。

実践報告
編集後記
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