産業現場等における実習(以下、「現場実習」)では、生徒一人一人の実態や進路に関するニーズ等を把握し、持っている力を発揮できる事業所を選定するなど、適切な就労に向けての方向性を十分検討することが求められる。就労移行支援のアセスメントの一つとして、TTAP(TEACCH Transition Assessment Profile:以下、「TTAP」)の活用が有効であることが報告されている(梅永,2010)(清水ら,2012)。TTAP インフォーマルアセスメントの一つである地域でのスキルチェックリスト(Community Skills Checklist、以下「CSC」)は、自閉症者を生産的な雇用に導く5 つの主要な職業領域(事務、家事、倉庫/在庫管理、図書、造園/園芸)において獲得しているスキルを把握することが可能であり、生徒の持つスキルと各職業領域で求められるスキルとの整合性を図ることができるなど、現場実習先を決定する際の資料として活用されている。しかし、特別支援学校高等部卒業生は、上記の5 つ以外にも、製造業、清掃業、調理補助等、他の職業領域に就労をする生徒も多くみられるのが現状であり、実際の就労現場では地域差があることや、時代によっても産業構成が異なることなど、それぞれの地域産業との関連から支援方法をみつけていくことが求められている。
以上のことから、特別支援学校から実際に就労している職業領域や現場実習で求められる作業内容及び地域産業の実情等を分析し、地域に合ったTTAP インフォーマルアセスメント(CSC)地域版を開発した。
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