日本創造学会論文誌
Online ISSN : 2433-4588
Print ISSN : 1349-2454
23 巻
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  • 21世紀型の創造性教育・研究の視点から
    奥 正廣
    2020 年 23 巻 p. 1-35
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、明治以来の日本における高等教育および教養教育政策の変遷を、信頼できる諸研究に基づき明らかにし、その知見や間題意識を創造性教育や教育改革に関心ある諸氏に提供し、そのうえで、諸氏が、自ら今後の創造性教育や教育改革の考察を深めるためのたたき台となるように、関連する個人的研究テーマ例を素描することである。具体的には、次のような内容になる。 (1)まず筆者の間題意識の原点を簡単に紹介する。 (2)次に、信頼できるエビデンスベーストの教育政策史関連の諸研究に基づき、明治期以来のキャッチアップ型近代化の特性を、高等教育における教養教育の変遷を中心に検討し、基本的間題点を明らかにする。結局、明治以降の国家教育政策の破綻していることが示される。 (3)その知見に基づき、今後の新たな教育政策の方向性を探索・構築するために、創造性教育や教育改革に関心のある諸氏が探究のたたき台にできるように、筆者自身の個人的間題意識(1)に従い、(2)の知見を踏まえ、今後の個人的研究テーマの素描を行う。そこでは、幅島原発事故の徹底解明、真実を直視する市民の科学的恩考スキルの醸成、江戸時代後半の多様な恩想状況の再検討、「道(生き方)」的な教育要素の重要性、SDGs(持続可能な発展目標)時代の教養教育や創造性教育の条件解明などが提案される。
  • 櫻井 敬三, 于 金
    2020 年 23 巻 p. 36-60
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー
    開発した製品が売れずに終わることがしばしばある。その理由は表層的な理由づけだけで処理していいのだろうか。箪者は製品価値とは何かを考えることとした。製品価値を見直す必要性に言及する。そのために日中の乗用車の価値把握アンケート調査からの実証データを基に新価値分析の方法をまとめた。その結果,価値観にまで遡った分析(価値分析)が重要であることがわかった。具体的には① 所有と利用・部分改善と全面改善・穀争有無の3判断を明確に行うこと,② 価値把握アンケート調査から判定者集団が新たな気づきを発見すること,③ 価値把握には機能的価値と意味的価値を抽出すること,④ 貴重価値は属性値が違っても同一評価結果であることを見抜くこと,⑤ 改善アイデア発想は機能変換発想法と目的展開法を使い分けること,⑥ 最終評価は期待顧客価値をライフサイクルで比較することの6項目を実施することが有効であることを明らかにしている。
  • 株式会社CRAZYの結婚式プロデュースビジネスを事例に
    石田 泰博, 前野 隆司
    2020 年 23 巻 p. 61-75
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー
    オーダーメイド・ウエディングをプロデュースする会社, 株式会社 CRAZY(以下、CRAZY)の幸福度が一般的な平均と比較して有意に裔いことを示すとともに,CRAZY が組織としていかに感動提供を可能としているのか,同社のユニークな取り組みを経営実践の研究として構造的に捉えた.また,感動創造につながる,感情の裔ぶり(Sense),知見拡大(Think),体験拡大(Act),関係性の拡大(Relate)を分析する「感動の STAR フレームワーク」を用いて, 結婚式プロデュースビジネスにおける感動・幸福の分析を行った.具体的には,結婚式 57 件において, 結婚式に携わった従業員 320 名の感動度とその背景を分析した.その結果,感動を軸とした感動創造経営の一つのあり方を明らかにした.
  • 魚地 朋恵, 前野 隆司, 越川 房子
    2020 年 23 巻 p. 76-91
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー
    本研究では、日本における一般用語としての楽観性の特徴を分析するとともに、楽観性の向上を目的としたワークショップ型のプログラムを開発し、その効果を実証した。まず、質間紙調査によって、楽観性に関する 5 つの因子(明るい見通し、不安のなさ、切り替え、自信、気楽志向)を抽出した。次に、これら5 因子の向上を目指すプログラムを開発し、実施した。その結果、明るい見通し、不安のなさ、切り替えの因子の得点が実施後に向上した。また自己効力感やコーピングの得点も向上した。これらの結果から、開発したプログラムが楽観性を向上しうることを示した。
  • クラウドファンディング・サービスを活用した日本の書籍出版企業の事例から
    今村 新, 永井 由佳里
    2020 年 23 巻 p. 92-110
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー
    本稿では、クラウドファンディング・サービス(以下、CFS と略す)を活用した新刊書籍出版企業の事例を通じて、末だ十分に解明されていないユーザーイノベーションの生成プロセスにおける新たな プロセス要因の解明を試みた。調査対象は、日本の書籍出版ベンチャー(サウザンブックス加)である。 同社が専門家コミュニティヘ関与することで、コミュニティ内の読者集団から実践コミュニティが生まれ、その中から自然発生するプロジェクトによって書籍出版のイノベーションが生成される事象である。はじ めに先行文献から Linux 開発プロセスのモデル化とそのプロセス要因を検討し、つぎに、第一著者自らの 参与型インタビューによる対象事例調査を行い、先行文献との比較分析を実施した。最後に考察の結果と して、企業関与によってユーザーイノベーションプロセス(以下、UIP と略す)が促進される新たな 5つの要因( A. 柔軟に役割を変えて活性化するリードユーザーの存在、B. 新製品創出にポジティブなコミュ ニティの雰囲気、C. 専門性を持つユーザーの継続的な参加と関与、D. ビジネス交渉力、E. 先行資金の調達 )を導出した。
  • 小國 美貴, 神田 陽治
    2020 年 23 巻 p. 111-128
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー
    地域づくりにおいて、「ヒト(地域内外の人財)」「モノ(地域の産物・資源)」「コト(文化、産業)」が、経済活動の持続・発展に重要な要因であるとして数多くの研究が行われてきた。しかしながら、それらの研究は、人口増加に伴う経済成長期に焦点が置かれ、近年の農村地域における、人口減少・少子化・高齢化を考慮した研究が欠落している。また、一部の地方都市における地域づくりを成功事例として取り上げる一方、独自の資源・課題を可視化することなく、その事例を模倣した持続性のない地域づくりが行われている。そこで本研究は、人口減少・少子化・高齢化において、持続的な地域づくりに取り組む農村地域を、アクション・リサーチを用いて、特に不足する「地域内外の人財」との関係性への補足を試みた。 その結果、農村での地域づくりは、地域内外の人財との知識・経験を合わせた「ダブル・ループ学習2.0」により、持続可能な仕組みを構築していた。
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