日本創造学会論文誌
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  • 田村 新吾
    2021 年 24 巻 p. 1-14
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    COVID-19は、全世界の経済を凍結した。この災害は、見方を変えると、従来の経済のパラダイムを革新する契機であると考えることができる。従来の経済の反省点は、環境破壊、貧富の差の拡大、そして廃棄物の山積をもたらし、SDGs運動を世界規模で巻き起こした点である。その要因は、近代の欧米経済が、排他的競争ゲームを促進してきたからと考える。道徳なき金融偏重主義は、世界レベルで大きな問題を引き起こすことが証明されたと考える。本論文の目的は、日本の古来の求心的共創経済を欧米の経済理論に折衷して、進化、持続する健全な経済を実現する経営法の研究である。その一案として、戦わずして集客できる求心的商品開発と、その核となる感動仕様の実現、そして、金融偏重を予防する道徳を経営体系に組み込むことで可能であることを示した。
  • 石田 泰博, 前野 隆司, 井原 くみ子, 北村 勇気
    2021 年 24 巻 p. 15-38
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    感動のある人生は幸せであり、またビジネスにおいてもコモディティ化からの脱却、イノベーションによる成長が求められる中で、差別化要素として企業経営の中に感動を科学的かつ体系的にデザインすることが必要となっている。これまで筆者らは、感動の構成要素であるSTAR(Sense、Think、Act、Relate)フレームワークを用い、感動する製品やサービス設計の研究を行ってきた。一方で、個々の組織構成員レベルにて感動を発掘し共有することが、イノベーションや高パフォーマンスを促進する組織開発に有効であることの検証は行っていなかった。このため、筆者らは、感動ストーリーの発掘・共有ワークショップを開発した。本研究では、冷静な記述の場合と、感動ストーリーの共有・発掘ワークショップを用いた場合との評価比較を行い、本ワークショップがアイデア発想に有効であること、成果物における感動度が高くなること、そして組織開発に対して有効であることを明らかにした。
  • 三枝 省三, 樋口 健夫
    2021 年 24 巻 p. 39-58
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    約100名の初年次生向け発想法の科目にアイデアマラソン(IMS)を組み入れ、通常授業とIMSの階層型アクティブラーニング(HAL)授業を開発する。その目的は、IMSとの相乗作用を活用し、学生の思考力と創造性を向上させることである。本報告では、この方法論を開発し評価をする。学生たちの思考とその書き留めを習慣化するには、最低3か月間は必要とされる。この実践には、現場での内部講師(ISI)と外部講師(OSI)との連携を図る。IMSの継続支援システム(ECSS3)を開発し、内外講師が連携して行った。これをアクティブティーチング(AT)と称する。毎週の授業の課題はIMSの思考の一部となるように配慮し、IMSの継続と発想数の増加を図る。授業効果は、授業の前後で実施した創造性テストや社会人基礎力評価などで確認する。その結果、途中でIMSを止めた学生は皆無であり、ALとATの共創した階層構造型授業方法は創造性の向上に大きな効果をもたらすと考える。
  • 24回のプロトタイピングを実施した製品「Your Pleasure」の開発を事例として
    三冨 敬太, 小林 延至, 赤木 真由, 高野 研一
    2021 年 24 巻 p. 59-78
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    現状、アイデアの創造から市場投入までの開発プロセスにおいて、プロトタイピングが開発プロセスの進行に与える効果については先行研究も少なく、実際に実施したプロジェクトで調査したものも少ない。したがって、本研究の目的は、プロトタイピングが開発プロセスの進行に対してどのような効果を果たしているのかを、24回のプロトタイピングを実施した製品「Your Pleasure」の開発において、「開発プロセス」と「実施プロトタイピング」をマッピングし考察を行い、開発プロセスの進行を促す効果を提示することである。結果、「プロトタイピングは調整が必要な領域を理解させ、開発プロセスを進行させる」、「プロトタイピングは開発プロセスの停滞から抜け出させ、進行させる」具体的効果が認められた。この2点の効果については、これまでの先行研究で述べられていないことから、新規性があると考えられる。
  • 体験型宿泊施設における新規サービス開発のケーススタディ
    安松 健
    2021 年 24 巻 p. 79-96
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    KJ法を正しく実践するためには、要素還元主義や主客二元論を乗り超える理論的な理解が必要である。そこで本研究では、KJ法の理論的展開をドゥルーズのアジャンスマン概念を用いて行い、その例証として、体験型宿泊施設のサービス開発のために作成されたKJ法図解をアジャンスマン視座にて分析し、その創出コンセプトがサービス・デザインに貢献したことを確認する。その結果、KJ法をアジャンスマン概念にて発展的に理解することは、創造的統合の実践に有用であることを示す。
  • 三浦 幸太郎, 由井薗 隆也, 宗森 純
    2021 年 24 巻 p. 97-118
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、学校教育において主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)が注目され、そのような学びにおける創造技法の活用が期待されており、研究も活発になっている。本研究では、KJ法など既存の収束的創造技法を参考に、カード型インターフェイスのアイデアマップ作成機能を実装し、学習者の知的文章作成プロセスへ適用する。またアイデアマップの作成が、文章にどのような影響をもたらすかを評価するため実験を行う。具体的には大学院の学生を対象に、自身の研究テーマについて文章を作成し、アイデアマップ作成機能を用いて自身の考えをまとめた後に、再度文章を作成する実験を行った。その結果、アイデアマップを作成する前と後では、文章量、単語数ともに平均20%程度の増加が見られ、質的評価においても平均16%程度の評価の向上が見られ、アイデアマップ作成機能に一定の効果があることが分かった。
  • 日本の陶磁器及び刃物産業を実証フィールドとして
    大島 裕市, 保井 俊之, 谷口 尚子, 当麻 哲哉
    2021 年 24 巻 p. 119-136
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    地場産業地域の多くが経営環境や需要の変化などにより衰退傾向にある中で、新たな知識習得を起因とする地場産業製品のイノベーション実現が衰退防止の対応策として近年注目されている。製品イノベーションの実現には知識創造とその習得が必要であり、そのためには、知識及び情報を持つ行為者としての社会単位であるアクターとの連携並びにその媒介が重要である。本研究は、地場産業企業とアクターとの連携並びにその媒介が地場産業製品のイノベーションに与える影響について、食品等を除き日本の消費者に最も製品が需要される陶磁器及び刃物産業を実証フィールドとして、アンケート調査並びに共分散構造分析を行った。その結果、地場産業企業の製品イノベーションの実現には、アクターとの連携と情報収集活動が寄与することが示された。また、アクターとの連携には媒介の活用が大きく寄与していることを示した。
  • 松前 あかね, 張 雨濛
    2021 年 24 巻 p. 137-154
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    オンラインプラットフォーム(以下、OP)での多様なソーシャルメディア機能(以下、SMF)の発達は、ユーザーのOPへの共創的参画を技術的に可能にした。他方でユーザー流動性の高い環境下でユーザー集積が求められるOPにおいて、望ましいユーザー関係性(獲得・維持)を実現する場のデザインは、OPとしての競争力のみならずその存立をも左右する。そこで本研究では、国際的に主要な動画共有プラットフォーム(以下、vOP)YouTubeと中国の主要vOPであるBiliBiliとiQIYIを対象に、SMFが包含する社交特性がユーザー関係性に与える影響について定量調査及び定性調査を行った。その結果、一体的に実装されたSMF群により醸成される「場の雰囲気」やユーザーの創造性を発揮しうる「共創的参画環境の保障」がユーザー獲得能力を高めること、SMFの「他者の観点を得る」社交特性がユーザー維持能力を高めること示唆された。
  • 魚地 朋恵, 前野 隆司
    2021 年 24 巻 p. 155-169
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、共感的な集団活動を取り入れたレジリエンス向上プログラムを開発し、その効果を検証することを目的とする。まず、様々なレジリエンス要因が指摘されるなか、7つの要因に注目した。それらをもとに、日常の思考や行動を振り返りながら、レジリエンスの向上を目指すことのできるワークショップ型のプログラムを開発した。プログラムは4つのワークから構成され、それぞれ個人活動の後に集団活動を行った。プログラムの実施前後に行った調査の結果、プログラム実施後にレジリエンスに関する尺度の得点が有意に高かった。また、レジリエンスに関連するとされる自尊心、楽観性、自己効力感についても得点が高いことが示された。共感的な集団活動によって自己の新たな気づきと自信を得られることが示唆された。これらは開発したプログラムがレジリエンスの向上に寄与し得ることを示す。
  • 有賀 三夏, 下郡 啓夫, 國藤 進, 永井 由佳里
    2021 年 24 巻 p. 170-183
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、芸術思考の創造プロセスの具現化に着目したワークショップのプロトタイプの設計とその効果測定に関するものである。この芸術思考ワークショップの効果を測定するためにガードナーの多重知能と、情動知能や創造性に基づく探究力を評価指標としてその有効性を調査した。その結果、芸術思考ワークショップは多重知能や探究力の向上に寄与することがわかった。芸術思考ワークショップは、被験者の多重知能8つのモジュールのすべての項目で向上が認められ、特に、対人的知能、論理・数学的知能、空間的知能の変化が大きかった。芸術思考ワークショップは、探究力の4つの主因子のすべての項目で向上が認められた。特に、状況対応力、創造力の変化が顕著であった。
  • 大学におけるコミュニケーション教育のグループワークを対象として
    藤原 由美
    2021 年 24 巻 p. 184-195
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、高等教育の場である大学において、大衆化が進行すると共に学生の学習意欲の低下が問題視されるようになり、アクティブ・ラーニングが注目を浴びている。一方、グローバル化の進展に伴い、多様性の重要性が多方面で指摘されている。多様性適応力は社会と企業に必要とされる能力でもある。そこで本研究では、多様性適応力を成長させるために、大学におけるコミュニケーション教育においてアクティブ・ラーニングの一環としてグループワークを取り入れると共に、毎回グループ替えを実施して、その効果についてアンケート調査を行う。調査分析の結果、グループワーク及びグループ替えを実施することにより、多様性適応力が成長することを確認することができた。また、加えて、留学生の存在が効果的であることが示唆された。最後に今後の課題として、調査の拡大と継続の必要性を示すと共に、研究の結果を一般化するために多様性適応力の基準を確立させ、社会人にも適用するなど、継続して調査を行う必要を挙げた。
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