ユーザー・イノベーションが注目されデジタルファブリケーション機器を活用できる創造的なデジタル人材の育成が急務である。教育分野においてデジタル人材を育成する3DCAD教育が数多く行われている。しかし、そのほとんどが3DCADのソフトウェア操作に重点が置かれており、創造性を向上させる取り組みは少ない。本研究はプロダクトデザインとエンシジニアリングデザインの境目のないデザイン教育での、3DCADにおける手描きドローイングの創造性教育に焦点を当てる。具体的には「3Dデータ形状の実現力」と「3Dデータ形状の表現力」について調査をする。実験方法は授業課題を二つの課題(手描きで三面図を描いた場合と自由に手描きドローイングを描いた場合)に分けて、次にそれぞれ3DCADで作成させた課題の3Dデータを比較する。調査の結果、手描き三面図を描くことで3Dデータの実現力は向上するが、表現力は一部を除き平均的であることが分かった。また、自由に手描きのドローイングを描くことで3Dデータ形状の実現力は一部を除き平均的であるが3Dデータ表現力は向上する傾向がみられた。これらの結果から、手描き三面図を描く場合は自由にドローイングを描いた場合よりも創造性は向上しないことが示された。考察を踏まえ、より創造力を向上する3DCAD教育の検討をおこなった。
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