リーマン多様体上の非圧縮流体の流体力学の基礎付けについて、特に Arnol'd が築いた完全流体の基礎理論と、M. E. Taylor による Navier-Stokes 方程式の導出を中心に解説する。
「曲がった空間においては曲率の影響を考慮した局所的な空間の考察から物理現象を見直す必要がある」とは直ぐに想像がつくが、寧ろ、大域的な幾何学的洞察の重要性を説明する。従って最も重要かつ基礎的な土俵は、与えられたリーマン多様体の保積微分同相群という巨大な群と、発散のないベクトル場総てがなす無限次元リー環となる。
基礎方程式の背後に存在する幾何構造を見直すことにより、方程式からは直ぐには見えないかもしれない問題点を探る手がかりとしたい。
時間が許せば、大域解析的トポロジーの最先端の流体力学へ応用について触れる
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