理論応用力学講演会 講演論文集
第59回理論応用力学講演会
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OS20 離散体の力学
  • 上田 高生, 松島 亘志, 山田 恭央
    セッションID: 3C11
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    大・小2種類の粒子の混合体である2粒度粒状体のせん断層厚についてDEMシミュレーションにより検討した.粒径比約10:1の2次元円形粒子を小粒子の重量混合割合(WS)が0, 5, 10, 15, 20, 30, 50, 100%になるように混合した密詰め混合体を作製し,せん断により生じるせん断層厚を計測した.WSが大きくなるに従って混合体の平均粒径は小さくなるのに対し,せん断層厚は,WS=0~10%の区間に一旦小さくなり,WS=10~20%の区間で大きくなって,WSが20%より大きい区間で再度徐々に小さくなることが分かった.この傾向は,せん断層厚が平均粒径に依存するという単粒度の特徴と異なっているため,2粒度特有の現象だと考えられる.各ケースでの大・小粒子のせん断中の回転を比較することで,WSに応じて大・小粒子の挙動が変化し,それがせん断層厚にも影響していることを示した.
  • 小松 信義, 木綿 隆弘, 木村 繁男
    セッションID: 3C12
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    親銀河による潮汐力などのため,球状星団から,星が蒸発していくことが知られている。このような蒸発過程の熱力学的特性を検討するため,自己重力N体系の数値シミュレーションを実施した。本検討では、反射壁を有する球殻内に球状星団を模擬した粒子を配置し,球状星団からの重力を振り切ることのできる粒子は,反射壁を透過させることで,蒸発過程を模擬した。その結果,ビリアル平衡状態では,エネルギーと温度に関する熱力学的特性が,恒星ポリトロープの特性と良く一致することが明らかになった。
  • 王 暁星, MATUTTIS Hans-Georg
    セッションID: 3C13
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    物理系における保存性を保証する時間可逆性は数値計算の精度検証のパラメーターとして扱う事ができる。それ故、数値計算において可逆性を理解する必要がある。 具体的には、我々は小松らの自己重力系に対してVerlet法を用いた分子動力学的な検証を行った。系の中では250の質点粒子が球面反射境界に閉じ込められ互いにPlummerポテンシャルを介した相互作用を有している。また、可逆可能なパラメーターとして、ある時刻において速度を反転させた後の速度における誤差を計算する。 本研究の目的は、なぜ大きな時間刻みがより小さい誤差、即ちより良い可逆性を与えるのかを明確にする事である。本研究において、我々は丸め誤差、計算手法における切り捨て誤差、そして境界条件の実現法に関して議論する。
  • 若生 潤一, 礒部 雅晴
    セッションID: 3C14
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    重力下で外部から駆動された粉体系は対流、山形成、表面波の形成などの多様な現象を示す。最近我々はこの系の重心運動を記述する新しいタイプの現象論を提案した。講演においては、系の重心運動についてエネルギー等分配則や揺動散逸関係が系の温度と共に系統的に破れていくというシミュレーション結果を提示し、その原因が系の密度反転現象にあることを明らかにする。また、それに伴う我々の理論の拡張を提案する。
  • 田中 敏嗣, 辻 拓也, 小方 康弘, 武藤 真一
    セッションID: 3C15
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    本研究では,建機作業時の最適作業条件を決定するための土砂挙動のDEM解析技術の向上を目的とし,建機作業時の土砂挙動のDEM解析の検証のためのモデル実験と数値解析を行った.  具体的な建機としては土砂平坦化作業を行うモータグレーダを取り上げ,球形ガラス粒子からなる粒子層表面を小規模なブレードにより平坦化するモデル実験と,これに対応したDEM解析を行った.本報告では,モデル実験のための装置と方法,実験により得られたブレード作用力を表現可能なDEMモデルに関する検討と数値解析の検証,および実験と数値解析結果に基づく各種作業パラメータがブレード作用力に及ぼす影響について述べる.さらに,ブレード作用力のモデル化と,数値解析結果に基づき,ブレード作用力のスケール依存性に関する検討を行う.
  • ウン シ ハン, マトゥッティス ハンスーゲオルグ
    セッションID: 3C16
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    粉体や多孔質媒体に関するさまざまな現象(例えば、砂漠にある風紋や山崩れなど)は粒子周囲の流れに深い関係を持っている。このような現象を解析するには、巨視的およびメゾスコピックな物理量が得られるシミュレーションを必要とする。我々の研究グループは粒子離散要素法と流体の有限要素法を組み合わせることによって、粒子のシミュレーションを行う。本研究では、修正デロネー三角形分割を用いて自動メッシュ生成プログラムを開発した。また、非構造三角形メッシュを正三角形に釣り合わせる緩和アルゴリズムを用いてメッシュの最適化を行った。
  • 陳 健, Matuttis Hans-Georg
    セッションID: 3C17
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    個別要素法(DEM法)は構成則を定式化せず粉体の複雑な振る舞いをシミュレートできる方法である。二次元では粉体の形状が計算と実験の両面から確立されているのに対して、三次元では普遍的なシミュレーションは行われていない。広く用いられている球状粒子を実際の媒体と比較した際には力学安定性が減弱してしまう。本稿では、まず始めに力学モデルとなる多面体の相互作用の数値計算実現法を提案する。 重複をしても構わないが変形を伴わない多面体を使い弾性力を計測する。弾性力の大きさは重複した多面体部分とヤング率に比例し、力の作用点は重複した多面体部分の重心とする。また、重複した多面体部分の重心と貫通した多面体の接触線からなる三角形の法線方向の和を力の方向とした。さらに相互作用ペアを決める近傍アルゴリズムを示す。このアルゴリズムでは、相互作用ペアを検出する時間は粒子の大きさと形状には依存せず、その個数に線形に比例する。このような近傍アルゴリズムと上記の力学モデルを結合することにより多くの多面体粒子のシミュレーションを提示する。
  • 浦川 文寛, 相川 明, 清水 惇
    セッションID: 3C18
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    鉄道軌道の多くを占めるバラスト軌道は,バラストと呼ばれる砕石の集合体によりまくらぎルを支持している。このバラスト軌道では,列車通過による動的な荷重が繰り返し軌道に作用することで砕石集合部に塑性沈下が生じ,この補修がしばしば問題となっている。 本論文では,砕石集合部の三次元の動的な不連続体解析に役立てるため,三次元デジタイザを用いて砕石の三次元形状を測定し,砕石形状を多面体として数値モデル化した。また,測定した砕石形状および砕石集合の特性を評価するため,多面体の数値モデルの粒径を数値計算から算出する手法を提案し,モデルと実砕石の粒径を比較した。さらに,三次元個別要素法を用いて,砕石集合体を締め固め,不連続体によりバラスト軌道をモデル化し,このモデルに対して載荷除荷のシミュレーションを実施した。
  • 片桐 淳, 福田 和彰, 松島 亘志, 山田 恭央
    セッションID: 3C19
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    砕石のように粒子形状がいびつで,構造スケールに対して粒子のサイズが相対的に大きい場合,高いせん断強度を示すことが知られており,鉄道のバラストやロックフィルダム等に古くから用いられている.
    これら粒子物性の効果を定量的に扱うためには材料パラメータを任意に変更する必要があるが,実際の試験でパラメータを変えるのは困難である.
    そこで,本研究では大きさの異なる2種類の砕石,1種類の川砂利を用いた 一面せん断試験を行った.また,砕石および川砂利の粒子形状を抽出し,モデル化した粒子を用いたDEMによる一面せん断シミュレーションを行い,実験との定量的な比較を行った.
    砕石ではせん断強度に違いが見られたが,残留強度およびダイレタンシー特性は 良好な一致を,川砂利の比較ではせん断強度の一致が確認できた.その上で全体のスケールを可変させた単純せん断挙動をシミュレートし,粒子サイズの及ぼす効果について検討した.
OS17 データ同化とその応用
  • 中村 和幸
    セッションID: 3D01
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    ある種の大変形現象や介入を伴う動的システムでは,イベントが時間発展する現象を生起する.当該現象の例として,地盤変形や生命体現象が挙げられる.本研究では,このようなシステムをイベント駆動型システムと名付け,データ同化適用の観点から特徴づけし,状態空間モデルによる定式化を行う.さらに,アンサンブル型データ同化手法の適用可能性について議論し,数値実験結果により有効性を示す.
  • 珠玖 隆行, 片岡 資晴, 村上 章, 西村 伸一, 藤澤 和謙, 中村 和幸
    セッションID: 3D02
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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  • 吉田 亮, 長尾 大道, 斎藤 正也, 樋口 知之
    セッションID: 3D03
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    Molecular biology is driving a need for state-of-art data science due to a rapid progress of experimental technology accompanying massive information in life science. Over the past decades, a wide variety of statistical technologies has been developed in bioinformatics and computational systems biology to uncover a complex world of cellular systems made of several types of biological circuits. LiSDAS provides a cutting-edge statistical toolbox targeting data-driven model building of in silico biological circuits---biochemical simulator---using high-performance computing.
  • 林 圭佐, 樋口 知之
    セッションID: 3D04
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    バイオロジカルパスウェイモデルのパラメータ推定プログラムを GPGPU向けに構成し、高速化した。
  • 吉田 郁政
    セッションID: 3D05
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    最近,PF(Particle filter)は非線形,非ガウスの問題にも適用できるフィルター手法として注目されている.非ガウスの問題を扱うことができるため様々な確率分布を導入してより安定なデータ同化を行うことができる.実態や経験と整合する様々な特性やルールを確率分布に導入することにより解の存在空間を絞り込み安定化を図ることができる.しかし,データとの整合性の高いモデルを推定することが目的であれば,その適合性を目的関数としたGA(遺伝的アルゴリズム)の方が効率がよい.PFもGAも多くの粒子を用いて適応的に計算を行うという意味では同じであるが,GAは最適化手法であり,その効率化のための工夫がされているからである.一方,PFは解の確率分布も粒子として表現でき,出力としてなんらかの確率的情報,信頼性評価が必要な場合には大変有望な方法である.上記観点からPFにおいて様々な工夫を導入した例とGAにおいて工夫を導入した例を紹介する.
  • 中野 慎也, Fok Mei-Ching, C:son Brandt Pontus, 樋口 知之
    セッションID: 3D06
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    Extreme ultra-violet (EUV) imaging data have provided a variety of insights about the structure of the plasmasphere. In order to offer a tool for understanding the dynamics of the plasmasphere by using EUV imaging data, we are developing a data assimilation method for estimating the temporal evolution of the plasmasphere. We will describe technical concepts of our method and demonstrate the current status.
  • 長尾 大道, 中野 慎也, 樋口 知之
    セッションID: 3D07
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震による微気圧変動が、震源域から400km以上離れたCTBT夷隅微気圧観測点で検出された。この音波波形は、適切な固体地球と大気の1次元結合モデルおよび断層モデルを設定することにより、30秒以上の長周期帯では十分に説明できることが分かっている(Nagao et al. [2008])。本研究では、データ同化の手法を用いてこれらのモデルパラメータの事後分布を精密に推定し、地震データとは異なる情報を持つと考えられる微気圧データが、固体地球科学にどのような貢献をもたらすことができるかを検討する。具体的には、地震と微気圧の観測波形および固体地球-大気モデルのノーマルモードから求めたシミュレーション波形とを、粒子フィルタ法およびMCMC法を組み合わせたハイブリッド法により比較し、モデルパラメータの事後分布を推定する。特に微気圧データを含めた場合と含めない場合とで比較し、微気圧データが震源パラメータの事後分布に与える影響を調べる。
  • 福田 淳一
    セッションID: 3D08
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    日本列島では,稠密なGPS連続観測網による地殻変動のモニタリングが行われている.これまで,この観測網から得られるGPSデータを用いて,日本列島周辺のプレート沈み込み境界面上の断層すべりの時空間変化の推定が,逆解析手法を用いて行われてきた.このような研究により,プレート沈み込み境界面上における固着域の分布,非地震性すべりの時空間変化,摩擦特性などが明らかにされてきた.一方,断層の摩擦構成則に基づく地震サイクルの数値シミュレーション研究により,地震や非地震性すべり等のプレート境界面における多様なすべり現象が,摩擦特性の違いによって説明できることが明らかになりつつある.本講演では,データ同化手法を用いてGPSデータと地震サイクルの数値シミュレーションを統合し,プレート境界面の摩擦パラメータを推定した研究を紹介する.また,データ同化手法のGPSデータへの他のいくつかの適用例についても紹介する.
  • 光井 能麻, 堀 高峰, 宮崎 真一, 加藤 尚之
    セッションID: 3D09
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    定量的な地震発生予測モデルを構築する上で必要なプレート境界面上の摩擦パラメタは、実験によって得られた速度状態依存摩擦則に基づくモデルを用い、粒子フィルタの一種であるsequential importance sampling (SIS)を行うことにより求めることができる。我々は無限弾性媒質中の2次元平面断層をプレート境界面のモデルとし、地震サイクル後半のデータを用いて、2つのパラメタ(定常状態の速度依存性と特徴的すべり量)を求める。地震発生域の縁近くのデータを用いる場合、これらは正確に求められるが、そうでない場合は特徴的すべり量の推定が難しくなる。したがって、観測データの取得位置は摩擦パラメタの推定において重要な要素となる。
  • 小山 宏史, 木村 暁
    セッションID: 3D10
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    細胞は、細胞分裂を繰り返すことで増殖する。細胞分裂において細胞の形状はダイナミックに変化する。細胞形状の変化は、細胞表層の細胞骨格と呼ばれる構造物の動態が力学的パラメータに翻訳されることによって引き起こされると考えられている。しかしながら、細胞表層の力学的パラメータが時空間的にどのように変化するか、あるいは背景にある力学的パラメータの制御構造は十分に理解されていない。本研究では、細胞形状の変化を精緻に観測し、その観測データと弾性の理論に基づいた数理モデルを組み合わせることで力学的パラメータの時空間的変化を予測することを試みた。その結果、力学的パラメータが細胞全体にわたってダイナミックに変化していることが予想された。さらにこの結果は、これまで細胞分裂の主要な力学的要素と考えられてきた収縮環と呼ばれる構造物に加えて、細胞全体にわたる力学の制御が重要な寄与を果たしていることを示唆している。
  • - デジタル/アナログ・ハイブリッド風洞 -
    口石 茂, 渡辺 重哉
    セッションID: 3D11
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、現状の風洞(「アナログ風洞」)に対してCFD(「デジタル風洞」)を強く連携させたEFD/CFD融合システム(デジタル/アナログ・ハイブリッド風洞)のシステム開発を開始した。  本システムでは、事前CFD解析による風試計画の最適化、風試/CFDデータの相補的利用による空力特性予測精度向上、準リアルタイムでの風試/CFDデータの比較検証、データベース化等を目指している。  本講演では、ハイブリッド風洞全体システムの概要について述べると共に、システム開発におけるデータ融合(EFD/CFD融合)技術に係る機能の詳細およびそれらの技術的実現性に関する検討内容について報告する。
OS8 高精度シミュレーションと応用逆問題の解の再構成
OS18 連成現象・複合現象のシミュレーション
OS14 構造物・地盤の減衰
  • 新宮 清志, 平塚 聖敏, 渡邊 ともえ, 石山 雄介
    セッションID: 3E06
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    我が国には多数の伝統的木造建築物が現存しているが、これらの耐震性・耐風性などの構造的解明は不十分である。 過去には、河合直人・内田昭人・前川秀幸らによって平城宮跡復元建物や法隆寺五重塔など、様々な伝統的木造建築物の振動特性に関する研究が行われている。しかし、重要文化財である銅御殿(旧磯野邸)の振動特性に関する研究はいまだ十分には行われていない。 本研究では、重要文化財である銅御殿(旧磯野邸)の土庇について速度計を用いて実測データを収集し、卓越振動数(固有振動数)・減衰定数を求めることが目的である。実測データは常時微動観測と錘落下実験により収集する。 
  • 塩尻 弘雄, 林 植恒, 浅谷 友之
    セッションID: 3E07
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    模型と実歩道橋について、自由振動,正弦波起振実験を行い、加速度計、レーザ変位計等により、加速度と変位を求め、非線形最小二乗法により固有振動数とモード減衰、モード形を求めた。自由振動による減衰と起振実験による減衰を比較し論じた。また、並進振動とねじれ振動の減衰についても比較し論じた。
  • 山田 耕司
    セッションID: 3E08
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    著者は過去に,3個の完全弾塑性要素に置き換えた減衰の振動数依存性が無く振幅依存性を有し,時刻歴解析が可能な減衰モデルを提案した3).しかし,この減衰モデルは弾塑性応答解析を必要とし,実解析時間の増大をもたらした.そこで本論では,この減衰モデルを剛性行列から荷重ベクトル側に移項させることにより計算速度の向上を目指す.
  • 中村 尚弘
    セッションID: 3E09
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    一般に材料の減衰は振動数にあまり依存しないことが知られているが,時間領域の解析でこのような振動数非依存の減衰特性を表すことは容易ではない.著者は,考慮する振動数域を限定することで,振動数非依存性を近似的に満たし,かつ因果的な減衰モデル(因果的履歴減衰モデル)を提案した.地盤の減衰においては,地盤の不均質性に起因し,高振動数成分ほど減衰の小さくなる散乱減衰の存在が知られている。本報では,歪振幅へ依存性を考慮した非線形化の因果的履歴減衰モデルを応用し,散乱減衰の効果を表す方法について検討する.
  • 加藤 直樹, 高野 真希子, 木田 哲量, 近藤 勉, 今野 誠, 須藤 誠, 加藤 清志
    セッションID: 3E10
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    滑走路や高速道路舗装に使用されているようなコンクリート平版が弾性基礎上にある場合、半無限ばりの解析では、従来はその変形および曲げモーメント分布は単純な逆ベル形であったが、本研究によれば減衰部に極性の交番する変形が発生することが明らかになった。この事実は設計にあたり、単純曲げではなく曲げ疲労強度を考慮すべきことを示唆してる。そこで本報告は、半無限舗装版に車輪型点荷重を受ける場合、コンクリート版に引張ひび割れが発生する実状にかんがみ、地盤反力係数(地盤安定処理の程度)と応力やたわみを2000~3000m超という長手方向版長Lに対し、幅員B=100m程度でB/L=1/20~1/30を考慮し、はりにモデル化して解析を進めた。なお、幅員方向応力分担能をはり状に仮定し、版厚の影響についても考察した。また、応力解析にあたり、とくに目地なし半無限版を想定し、たわみ、曲げモーメント、地盤係数等の相関関係を総合的に考察し、舗装版設計上の限界特性値や地盤安定処理についての指針を明らかにし、両振り曲げ疲労対策としての高強度筋使用と鉄筋法の提案を行ったものである。
  • 仲村 成貴, 鈴村 順一
    セッションID: 3E11
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    表層地盤の地震時挙動を把握することを目的として,鉛直アレー地震観測が各地で行われている.一般には,まず観測記録からアレー最深部を基準とする観測伝達関数が推定される.そして,1次元重複反射モデルと観測値による伝達関数を適合させるような地盤物性値を同定することで,S波伝搬速度や減衰定数などの表層地盤特性が検討される.つまり観測伝達関数の推定精度は地盤物性の同定結果を大きく左右する.一方,一般に観測記録には地盤挙動に関係しない雑音が混入しているため,伝達関数の推定結果は推定法によって異なる.本稿では,雑音の混入程度が伝達関数推定精度に及ぼす影響について検討することを目的として,数値解析に基づいて数種の推定法の特徴を整理する.
OS9 大気・海洋・惑星の流体力学
  • 宮本 佳明, 竹見 哲也
    セッションID: 3E12
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    近年得られた観測結果を基に感度実験を行い、強風時における海面交換係数の変化が熱帯低気圧に与える影響を調べた。感度実験の結果から、風速30ms-1以上で交換係数が減少傾向となる分布(Makin, 2005)を採用すると、各フラックスは減少し、熱帯低気圧の最大風速は増加する一方、中心気圧に変化は無いという結果が得られた。この結果は、 Emanuel (1986)の定常状態における熱帯低気圧の強度に関する理論を用いて解釈することができる。また、最大風速半径は増加、眼の壁雲での対流活動は減衰し、その位置が外側に傾く傾向にあった。その一方で、抵抗係数が変化したのにも関わらず、熱帯低気圧の活動を決める海面水平収束に顕著な違いが見られなかった。これらの結果は、海面摩擦の減少による吹き込み角度の減少する点と、渦全域で風速が増加する点を踏まえて解釈される。結果、今後数値予報モデルで採用されるであろう新しい交換係数の分布は、台風の強度に関して強い影響を与えることが示唆された。
  • 伊藤 純至, 新野 宏, 中西 幹郎
    セッションID: 3E13
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    ダストデビル(塵旋風)の鉛直渦度の生成メカニズムについて、物質面を構成し、循環を調べるという手法で定量的に明らかにした。また鉛直渦度の対流速度への依存性など、鉛直渦度の性質を調べた。
  • 山崎 哲, 伊藤 久徳
    セッションID: 3E14
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
     大気ブロッキングの持続メカニズムについて,これまで提案されたメカニズムと異なる新たなメカニズムを提案し,その有効性を検証した.そのメカニズムは以下の2つの考え方に基づいている.1つめは,ブロッキングがスケールの異なる移動高低気圧と相互作用することで,ブロッキングの持続性が強化されるというスケール間相互作用が働くこと.2つめは,その際にブロッキング高(低)気圧が移動性高(低)気圧を選択的に引き寄せ,吸収するという渦と渦の相互作用,もしくは藤原効果に基づいている.藤原効果は北半球での台風の北進を説明する考え方であり,Beta-gyreと呼ばれる考え方と本質的に同じである.我々はこれをブロッキングの持続メカニズムに適用し,選択的吸収メカニズム(SAM)と名付けた.SAMの有効性を事例解析,数値実験の両方から検証し,現実場において有効であることが示唆された.
  • 固有値ゼロのノーマルモードにエネルギーが溜まるわけ
    田中 博
    セッションID: 3E15
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    世界各地で発生した2009/2010年冬季の記録的な寒波は北極振動が原因と考えられる。北極振動は地球大気の固有解のひとつと考えられ、その固有値がゼロとなる特異なモードであることから特異固有解と呼んでいる(Tanaka and Matsueda 2005, JMSJ)。これは持続性が極めて高く、任意の定常外力に共鳴して励起される他、非定常擾乱によっても自律的に励起される最大振幅の内部変動である。今回の発表では、何故に固有値ゼロの固有解にエネルギーが溜まるかを考える。類似の現象を探すと、現実大気の東西波数0にエネルギーが溜まるが、これは確かに東西構造方程式の固有値0の解である。鉛直方向には順圧成分にエネルギーが溜まる。これも鉛直構造方程式の固有値0の解である。3次元大気の線形固有解の中で、固有値0の解が北極振動解なので、今回の発表では、AOが力学的モードであることを確信しつつ、なぜこの解にエネルギーが溜まるのかを考察した。
  • 竹広 真一
    セッションID: 3E16
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    地球内核内の流れの新たな駆動メカニズムとしてジュール熱の水平不均一を提案する. 内核外核境界(ICB)において与えられた磁場は拡散により内核に貫入し, ジュール熱を発生させる. ジュール熱が水平不均一を伴えば浮力によるトルクが発生し内核内に流れを駆動することになる. このメカニズムにより引き起こされるICBでの任意の磁場分布に対する内核内の流れの解析的な表現を求めた. 地球内核のパラメターを適用したところ, この流れ場に伴う応力の振幅は内核内部での地震波速度異方性を十分に生み出すことが期待される. また, ジュール熱による流れは外核との質量交換を生じさせるために, ICBでの潜熱の吸収・解放と軽成分の吸着・放出が発生し, 外核中の流れ場とダイナモ作用へと影響を及ぼし, 外核中の磁場分布を変化させる可能性がある. さらにこの磁場分布の変化は再びジュール熱分布を変化させ内核中の流れに影響すると考えられる.
  • 大橋 啓生, 野口 尚史, 永田 雅人
    セッションID: 3E17
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    温度差のある長い鉛直回転二重円筒の間隙に生ずる熱対流の強非線形段階の挙動を室内実験によって調べた。二重の円筒(間隙のアスペクト比~200)は鉛直軸まわりに等角速度で回転し、内外円筒は異なる温度に保たれている。回転が大きくなると、傾いたロール状の渦が生ずる。回転数が臨界点を大きく上まわるとロール状渦は孤立的なキンク(褶曲)を生じた。このキンクについて画像解析を行い、その時空間的挙動を調べた。回転速度がそれほど大きくないうちはキンクはランダムに散発的に生じた。キンクの発生密度は主に回転速度を増すとともに増加し、発生密度が飽和するとキンクが斜めに整列する現象を見出した。
  • 小平 翼, 早稲田 卓爾
    セッションID: 3E18
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    黒潮通過時の伊豆諸島を映した合成開口レーダ等の観測から、島々後方にカルマン渦列が確認された。このような自由表面を持つ海洋に生じるカルマン渦の特性を調べることを目的に、海洋モデルPOMを用いて順圧流の数値実験を行った。水平方向に一様な深さを持つ領域に円柱を表す陸地部分を設定し、一様流を流すというf平面上の数値実験である。レイノルズ数(40~400)、ロスビー数(0.025~∞)、フルード数(0.1-1.0)が独立なパラメータであるとし、現象の各パラメータ依存性を調べた。渦の放出については後流の線形不安定性解析を行い、レイノルズ数(80~)における不安定領域を確認した。また、地球流体の特徴である回転の効果に関しては、ロスビー数の低下に伴い、渦放出周期が低下し、明確な渦放出が確認されなくなることを確認した。今後は平均地衡流場による海面高度の勾配など自由表面が生じさせる効果に着目し、考察を行う。
  • 村上 真也, 岩山 隆寛
    セッションID: 3E20
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    2次元乱流は多数の渦の運動とみなせるため, 個々の渦の動力学を調べることが 2次元乱流のよりよい理解の助けになるだろう. そのような問題意識の下, Melander, et al.(1987)は 非一様な渦度分布を持つ楕円渦の軸対称化過程を研究した. 楕円渦はその軸対称化過程において, フィラメントを放出することが知られている. Melanderらはフィラメントが誘起する速度場が楕円形をした等渦度線を 軸対称化させるか否かについて, 定性的見積りを行った. 我々はこれを数値的に調べ, フィラメントが楕円渦の軸対称化に与える効果を議論した. その結果, フィラメントは初期には大きく軸対称化に寄与し, のちの時刻ではほとんど影響を与えないことが分かった. これはMelanderらの定性的議論と整合的である. 一方, コアによって誘起される速度場は軸対称化と 反軸対称化の両方に振動的に寄与することが分かった.
  • 野田 彰
    セッションID: 3E21
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/21
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    波と平均場の相互作用を取り扱う上で、Andrews and McIntyre (1976)によって定式化されたTransformed Eulerian mean (TEM)は、地球流体の基本的な解析ツールとして広く用いられている。TEMは、東西平均として得られた平均場と、それからの偏差として定義された波動に対して定式化されているために、空間的に2次元的であった。そのため、時間平均場のように、平均場が3次元的に変化する場合への拡張が、その後、多くの研究者によって行われてきた。最近、Miyahara(2006)は、初めて3次元非静力Boussinesq流体に拡張し、慣性重力波の分散関係を求め、3次元TEMを導いた。本講演では、MiyaharaのTEMを基本場の速度場が弱いシアーを持つ場合に拡張し、更に、これまでの研究では得られていない、鉛直方向の運動方程式を含む一般的なTEMを示し、データ解析への応用方法を示す。
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