理論応用力学講演会 講演論文集
第61回理論応用力学講演会
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  • システムノイズのセルフチューニングに関する一考察
    秋田 剛, 高木 亮治, 嶋 英志
    セッションID: OS04-07
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    宇宙機の軌道上の温度は,熱数学モデルにより予測される.宇宙機の熱設計や運用の効率化のためには,熱数学モデルを精度よく構築することが重要である.著者等はこれまで,データ同化法を熱数学モデル推定に適用し,パラメータ推定や温度予測において,その有効性を検証してきた.数値実験の結果,モデル推定の精度や効率にシステムノイズの適切な設定が重要であることがわかったが,その設定は任意性の高いものである.本研究では,古典的なカルマンフィルタで用いられているイノベーションを目的関数としたシステムノイズのセルフチューニング法を,熱数学モデルのデータ同化に適用し,その有効性を検証する.
  • 今川 健太郎, 保江 かな子, 口石 茂
    セッションID: OS04-08
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    宇宙開発研究開発機構(JAXA)では、風洞を用いた空力実験(EFD;Experimental Fluid Dynamics)と数値流体シミュレーション(CFD; Computational Fluid Dynamics)との融合に関する研究開発を現在進めている。主な目的の一つはEFD/CFD両者の有用性の向上であり、著者らはデータ同化手法を用いることでその目的が達成されると考えた。本研究では、JAXAで開発中の高速CFDソルバFaSTARと東北大学で開発中の計測融合シミュレーションを組み合わせたEFD/CFD融合システムを構築し、一例として、2次元翼周り流れ場を対象として、異なる境界条件を与えた場合の双子実験を行なう。
  • 須藤 敦史, 佐藤 京, 西 弘明
    セッションID: OS04-09
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    計画的な維持管理を行うライフサイクルマネージメントや社会資本を資産と見なすストックマネジメントの検討などが行われているが,これらは対象となる構造物における現状の劣化度評価,また将来的な劣化予測が重要であるにも係わらず,それらの劣化過程が定量化されていないのが現状である. そこで本研究は,寒冷地トンネルの覆工における劣化過程の定量化(マルコフの推移確率)を実際に北海道内120カ所のトンネルで実施された覆工の点検データから試みている.
  • 珠玖 隆行, 西村 伸一, 藤澤 和謙, 村上 章
    セッションID: OS04-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    構造物の設計法は、従来の許容応力度法に基づいた仕様規定型設計体系から信頼性設計に基づいた性能規定型設計体系に移行している。しかしながら、構造物の中でも地盤構造物への性能設計/信頼性設計の導入は、他のコンクリート構造物や鋼構造物と比較して遅れているのが現状である。これは、地盤材料が持つ本来的な不確定性および設計手法・解析手法の予測精度の低さに起因するものと考えられる。信頼性設計を実現することは、より安全で経済的な構造物を提供することに繋がるため、上記の問題に対処し、地盤構造物の性能設計/信頼性設計手法を開発することは喫緊の課題となっている。本研究では、データ同化手法の中でも非線形問題に容易に適用可能な粒子フィルタに着目し、その土構造物の信頼性設計への適用性について検証する。はじめに、粒子フィルタを用いた地盤構造物の信頼性設計手法を提案し、その概要を示す。その後、土構造物の建設を模擬した数値シミュレーションを対象に、提案手法の適用性について議論する。
  • 藤澤 和謙, 村上 章, 西村 伸一, 珠玖 隆行
    セッションID: OS05-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    これまで浸透流による土粒子移動に関連する研究では,土粒子の移動が始まる動水勾配や浸透流速を決定/予測することに焦点が当てられてきた.しかし,土粒子の移動開始のみを把握するだけでは,土粒子の移動開始後にどのように土粒子が流出してパイピングや空洞化に発展していくかを予測することは不可能である.そこで,本研究では限界動水勾配以上の水頭差を与えた際の浸透力による土粒子の移動/輸送速度を定量的に把握することを目的として,実験的研究に取り組んだ.本論では,その結果と理論的な考察を報告する.
  • 酒井  崇之, 野田 利弘, 浅岡 顕
    セッションID: OS05-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    近年,日本の重要な社会資本の多くは埋立地盤上に建設されている。また,埋立地盤や軟弱な自然堆積地盤では長期沈下や地震による被害が懸念されている。本報告では,軟弱地盤上の空港滑走路を想定した大型人工地盤を,埋立履歴を考慮してモデル化し,自然堆積地震の施工時の変形を調べた。さらに,完成した人工地盤に対し,地震波を入力し変形を調べた。以下に本報告の結論を述べる。1)埋立により自然堆積地盤は沈下する.特に軟弱層では大圧縮し,大きいせん断ひずみが発生した。2)SCP改良部は沈下するものの,SD改良部に比べ,かなり沈下量が抑えられているため,SCP工法は地盤の沈下を抑制するのに大きい効果が得られる。3)地震により地盤に側方変位や沈下が発生し,その後長期にわたり護岸の変位や地盤の沈下が発生する。特にSCP改良を行っていない部分が顕著である。なお,今回行った一連の解析は水土連成動的/静的有限変形解析プログラムGEOASIAを用いている。
  • 清水 亮太, 野田 利弘, 山田 正太郎, 浅岡 顕
    セッションID: OS05-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    本稿では,地盤の初期値・境界値問題に対して固有振動解析を行う方法について示すとともに,土構造物を有する地盤の地震応答解析を水~土骨格連成有限変形解析コードGEOASIAによって行った.具体的には,土構造物・地盤系に対して初期の固有振動数を算定し,系の各固有振動数と地震動の卓越周期に着目しながら,系の地震応答の特徴について調べた.また,土構造物・地盤系の固有振動数の経時的変化に着目して,土構造物の耐震性や土構造物と地盤の相互作用について考察した.なお,本稿の解析で対象にしたような有限変形の弾塑性問題では,幾何学的および材料的非線形性を有するため固有振動数は時々刻々変化するが,それでも土構造物・地盤系の初期の固有振動数および固有モードが,その系の相互的な振動特性を把握する上で重要な諸量となっていることを示した.
  • 熊 勇林, 西村 友宏, 栗本 悠平, 張 鋒
    セッションID: OS05-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    高レベル放射性廃棄物の地層処分において、大部分が堆積岩や花崗岩から構成される母岩(天然バリア)の水・土・温度に関する挙動を研究する事は重要なことである。この論文では、有限要素法と有限差分法を用いたSOFTと呼ばれる三次元プログラムを、地層処分の水・土・温度に関する挙動に対してシミュレーションを行うことで発展させている。熱による体積変化は過圧密比に依存することが多くの論文に書かれていることから、プログラムの有用性を確認するために異なる過圧密比に対し排水条件下で熱を与える試験を提案するプログラムを用いて行った。シミュレーションの結果、室内試験において発現する水・土・温度に関する挙動は提案する数値計算により精度良く表現できた。
  • Hossain M.Shahin, 中井 照夫, 菊本 統, 山崎 光
    セッションID: OS05-06
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    Settlement of clayey soil is one of the most important factors to be considered in the field of geotechnical engineering. Sometimes delayed consolidation and creep settlement are observed in the ground of clayey soil. In this research, settlement analyses of clay are performed using a constitutive model which can consider the effects of density, bonding, time and temperature. The model can explain the strain rate effect, stress relaxation characteristics and creep characteristics of soils comprehensively without fitting the model for a particular phenomenon. The model can also describe other characteristics of soils such as secondary compression, delayed consolidation and consolidation characteristics of naturally deposited soils. Here, settlement of clays has been investigated varying the density of the soil having different states of bonding in soil-water coupled condition.
  • 木村 恵二, 竹広 真一, 山田 道夫
    セッションID: OS06-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    内外球の半径比が 0.4,プランドル数が 1,テイラー数が 522 から 5002の範囲で,両側球の3軸回転を許容する回転球殻内の Boussinesq 熱対流の数値計算を行った.このパラメタ領域では臨界点から方位角方向の基本波数が 4 である定常進行波が分岐し,臨界レイリー数の1.2倍から2倍程度の範囲で安定であった.この分岐した解の性質及び安定領域は,両側球が同じ回転角速度で回転する場合とほとんど変化がなかった.またテイラー数を 5002 に固定してレイリー数を増加させたところ,臨界レイリー数の5倍程度までは外側球と内側球の回転軸は一致しているが,6倍以上になると回転軸が有意な角度を持つ状態になることが見出された.
  • 下川 信也, 松浦 知徳, 橋本 絃典
    セッションID: OS06-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    1.5層準地衡流モデルを用いて、一定外力の元での海洋ダブルジャイヤにおける流れの場とその不安定の様相のReynolds数(Re)への依存性を調べた。Reの増加に伴って間欠性が現れた。Re=209の場合、ジェットのバンプ数が2から3に変化するときに強流続流域の東端から強い渦の生成が見られた。Re=314の場合、強流続流域そのものの崩壊が見られた。両者の不安定の起き方は異なり、観測と同化データとの比較からは、現実は後者に近いと考えられる。また、後者は黒潮とその続流域のような亜熱帯循環の強流域の10年変動と関係していると考えられる。
  • 前島 康光, 榎本 剛, 吉田 聡, 榊原 篤史, 坪木 和久
    セッションID: OS06-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    大気の流れは大局的には静力学近似が成り立っているが、対流が活発な領域は鉛直流の効果が無視できなくなる。そこで局地的に高解像度な全球市見ゅレーションを行うことを目的に、全球モデルAFESと領域モデルCReSSを結合した新しい数値モデルを開発した。 本発表では結合モデルの実装内容、実行の流れを紹介し、結合モデルを用いた台風や冬季日本海のメソ擾乱の事例を紹介する。 AFESがT213(水平55km程度)であっても、CReSSを結合することによって、台風やメソ擾乱に伴う降水や対流現象を再現することが出来ることがわかった。
  • 杉本 憲彦, 高木 征弘, 松田 佳久
    セッションID: OS06-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    金星大気の高解像度数値実験を行うために、AFES(地球シミュレータのための大気大循環モデル:Atmospheric general circulation model For the Earth Simulator)を改良した。スーパーローテーションの速度分布を初期に与え、この流れを温度傾度の緩和強制によって維持した。この流れの時間発展により、安定度の小さな雲層付近で、傾圧不安定波が観測された。成長するモードの空間構造は、過去の線形解析で得られた結果と整合的である。発表では、これらの傾圧モードが運動量や熱フラックスにを通して、子午面循環に与える効果を議論したい。
  • 山口 敦
    セッションID: OS07-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    日本における複雑地形に適用可能な非線形風況予測モデルを開発し,従来の線形モデルと比較し,複雑地形中の予測精度を大幅に向上させた.また,力学統計的局所化手法を提案し,現地観測データを用いずに風況予測を行う手法を実現した.この結果,従来最低1年間の現地観測が必要であった風況予測を現地観測を行わずに数週間で完了させることが可能となった.さらに,風力発電出力のリアルタイム予測に,風況予測手法を適用し,複雑地形中での高精度な発電出力予測を実現するとともに,マルチタイムスケールモデルを提案し,風車の運転状況を考慮した発電出力予測手法を実現した.この結果,従来の発電出力予測手法と比較し,予測誤差を大幅に低減させることを可能にした.
  • 竹見 哲也
    セッションID: OS07-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に伴い発生した福島第1原子力発電所からの放射性物質の大気中への拡散は福島県東部地域を中心に環境汚染をもたらしている.このような大気拡散の問題を考える上で,原発立地域で見られる複雑地形の影響を受けた局地規模での風系の把握が必要不可欠である.本研究では,福島県東部地域における2011年3月の期間を対象として,メソスケール気象モデルを用いた高解像度数値シミュレーションを行うことにより,複雑地形上での局地規模の風系を解析した.対象地域を400 m格子で解像し,複雑地形と大気境界層中の風系との関係について調べた.複雑地形の影響は地上高200 mまでは認められることを示し,さらに乱流粘性係数の分布についても調べた.
  • 白土 博通, 奥田 慧, 倉田 直哉, 姜 詠, 野口 恭平
    セッションID: OS07-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    飛来塩分が構造物に付着し,腐食や塩害の原因となるため,構造物の維持管理のうえで,構造物の部位ごとの付着塩分量を定量的に推定することが必要となる.本研究では飛来塩分濃度の測定法に新たな提案を試みるとともに,CFDおよび風洞実験を通じて構造物表面近傍の流れを推定し,塩分粒子の付着機構と,降雨による表面付着塩分の洗浄効果も考慮し,1ヶ月間の気象データをもとに付着塩分の堆積量を推定する.現地観測と比較し,推定法の精度について考察する.
  • 近藤 典夫
    セッションID: OS07-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    本論文では、直列配置した2円柱の渦励振結果を示す。この計算では、2円柱の中心間距離Sが静止2円柱の臨界間隔比以下のS=2D(Dは円柱直径)で与え、スクルートン数Sc=0.99という小さい値に設定する。2円柱は剛体とし、各々がインラインとクロスフローの両方向にダンパーとバネで支持されたモデルを採用する。よって、2円柱はそれぞれが1質点2自由度モデルとなるので、インライン振動とクロスフロー振動を同時に捉えることができる。結果では、インライン振動とクロスフロー振動に分け、それぞれの振動性状を単一円柱の場合と比較することにより、直列配置の場合に現れる振動特性を明らかにする。
  • 島田 邦雄, 高橋 大樹
    セッションID: OS07-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    再生可能エネルギーとしての風力発電は,地球温暖化やエネルギー問題により脚光を浴びてきており,小型風車が一般家庭や企業に設置されるようになってきている.しかしながら,広く使われている風車は一般的なプロペラ型であり,その翼を作るのが容易ではない.本研究では,これらのことから,次世代型の風車として翼の製作が容易な新しい風車を提案する.カエデ型風車の電力や回転数は,これまでのプロペラ型風車より大きく,翼の取り付け位置や枚数,形により最適性が存在する.
  • 瀬川 武彦, Jukes Timothy, 前田 哲彦, 小方 聡, 武川 信也
    セッションID: OS07-06
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    小型風車への能動流体制御システムの搭載による空力性能向上に向けて、プラズマアクチュエータ(DBD-PA)とファイバーブラッググレーティングセンサ(FBG-FS)を用いた能動剥離制御システムを構築した。NACA0024翼型を200mm×200mm×600mmの試験部に装着し、低Reynolds(1.25×104 < Re < 5.0×104)下で層流剥離を人工的に生成し、FBG-FSを用いた剥離検出信号の検出とDBD-PAを用いた層流剥離の抑制をリアルタイムで実施した。
  • 片峯 英次, 松井 康剛
    セッションID: OS08-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    一様粘性流中に置かれた孤立物体に生じる揚力を最大化,抗力を最小化する多目的形状最適化問題の解析法を提案する.はじめに,孤立物体に生じる抗力を目標値に設定し揚力を最大化する形状最適化問題,あるいは,揚力を目標値に設定して抗力を最小化する問題の定式化する.それぞれの問題に対して,形状最適化のための形状修正の感度となる形状勾配関数を導出する.最後に,導出した形状勾配関数に基づいて力法を適用した簡単な二次元問題の数値解析例を紹介する.
  • 岡田 和佳, 天谷 賢治, 大西 有希
    セッションID: OS08-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    結像光学系の性能評価指標として波面収差が重要である.効率的かつ簡便な収差計測手法として,スポット像を逆解析することにより収差を同定する手法が提案されている.スポット像からの収差解析手法では,近軸Helmholtz方程式が仮定され,瞳関数と焦点面上の複素振幅分布との間の関係がFourier変換であらわされることを用いる.しかしこれらの近似は,レンズの開口数が大きい場合や軸外結像を対象とする場合に精度の低下を招く.そこで本研究では,これらの問題点を解決するために,射出瞳面上での近軸近似による制約を排除した新しいスポット像の数理モデルを導出した.新しく提案するモデルは射出瞳面上での座標変換とFourier変換であらわされる.提案モデルの有効性を検証するために,数値実験を実施した.
  • 今井 仁司, 坂口 秀雄
    セッションID: OS08-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    無限精度数値計算法を用いて,偏微分方程式の局所解の数値計算を行った. この数値計算結果は解の存在・非存在の証明に役立つものと考える.
  • 代田 健二
    セッションID: OS08-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では,波動方程式族の逆問題に対する高精度数値的再構成法開発の基礎研究として,スカラー波動方程式の初期値境界値問題に対する高精度数値解法について考察する.空間方向の離散化法としては,メッシュレス高精度解法である任意多点差分法を採用し,それを用いて2階連立常微分方程式の初期値問題を導出する.さらに,従来の数値積分法と同様にして,導出された方程式を1階連立常微分方程式へと帰着させる.得られた1階連立常微分方程式に対してスペクトル選点法を適用し,求められた連立一次方程式を多倍長計算環境下で解くことにより,高精度数値解を導出する.幾つかの例題について,多倍長計算ライブラリ exflib を用いた数値実験を実施し,本手法の有効性について検証する.
  • 藤原 宏志
    セッションID: OS08-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    非適切問題の数値計算においては、種々の誤差の増大が計算結果に深刻な影響 を与えることが知られている。本研究では特に、浮動小数点演算に起因する丸 め誤差の増大について考察する。丸め誤差はユーザ・プログラムの記述や計算 の環境、プログラムの実行の状態などに依存するため、計算結果におけるその 大きさを数学解析的に評価することは困難である。これに対して区間演算によ る定量評価が提案されている。区間演算は丸め誤差に対して厳密な評価が得ら れるものの、その結果は精密ではない。本研究では多倍長計算環境下において 複数の精度で算出される指標をもちいることで、丸め誤差の増大についての影 響について詳細に論じる。
  • 鷲尾 巧, 岡田 純一, 杉浦 清了, 久田 俊明
    セッションID: OS09-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    心臓の収縮力の源は心筋細胞筋原線維内のサルコメアにおけるアクチン-ミオシンフィラメント間の架橋運動であり、これは心筋の収縮率および収縮速度などマクロ的因子の影響も受けて変化する。本講演では、ミクロの現象である架橋運動とマクロな拍動運動を連成させて同時に解くマルチスケールモデリングおよびその効率的な求解法について述べる。
  • 矢野 猛
    セッションID: OS09-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    気液界面における蒸発・凝縮現象は本質的に非平衡現象であるが、流れの代表長さが蒸気分子の平均自由行程に比べて十分に大きければ、気液界面のごく近傍を除いて、局所平衡状態を基礎とする流体力学によって記述されうる。しかしながら、蒸気の流れの大域的ふるまいを決定するための境界条件は、蒸発・凝縮過程に支配されるため、気液界面の非平衡過程を正しく考慮しなければならない。この事実は、気体の流れの代表長さが平均自由行程に比べて大きくなるにつれて非平衡の効果が小さくなる固体境界の場合と著しい差異である。このような非平衡蒸発・凝縮の境界値問題に対して、分子動力学と気体分子運動論に基づいた議論を行う。
  • 松本 充弘, 弥永 健太
    セッションID: OS09-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    インクジェット技術の要素過程の1つである,固体壁面上の微小液滴の蒸発・乾燥過程について,液滴の粗視化分子動力学計算と蒸気拡散の数値計算を組み合わせたハイブリッドシミュレーションによる数値解析を試みている。水および溶質分子10,000個程度を1つのLennard-Jones粒子として取り扱う粗視化によって,10~100nm程度に相当する液滴が扱える。液滴表面の蒸気密度に依存した蒸発速度を仮定し,Lennard-Jones粒子のサイズを小さくすることで蒸発を表現する。蒸気相については単純な拡散方程式を仮定している。こうしたハイブリッド法により,蒸発・乾燥による液滴の変形や内部流動を解析することができることを示す。
  • 金谷 健太郎
    セッションID: OS09-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    本講演では、二成分混合蒸気系における凝縮液膜の安定性に関する研究を行う。ある種の二成分混合蒸気を基板上で冷却した際に生じる凝縮液膜は、濃度マランゴニ効果により滴状等の不均一な形態をとる。我々は、凝縮液膜に長波近似を適用し、液膜の厚さの時空間発展を記述する非線形偏微分方程式を導出する。ここで、従来の研究では考慮されていなかった液膜の質量の増減の効果や気相中の濃度拡散および凝縮流による移流の効果を取り入れた気液界面での境界条件を用いる。本モデルに基づき、界面が平らな解の周りの線形安定性解析を行う。その結果、ある臨界厚さが存在し、液膜の厚さがそれ以下では安定であり、それ以上では不安定になることがわかった。この臨界厚さの値を実際の水-エタノール系に対して求め、系のパラメーター(過冷度、混合蒸気濃度、濃度境界層厚さ)に対するその依存性を議論する。また、既存の実験結果との比較についても行う予定である。
  • 高田 滋, 青木 一生, 初鳥 匡成, ハジコンスタンティノウ ニコラス
    セッションID: OS09-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    希薄気体の温度は一般に物体表面で物体の温度とは異なる(温度の跳び).軽度に希薄な弱希薄気体の場合,定常系については一般すべり流理論によって温度の跳びの機構の全容が分かっている.また,この機構が非定常系でも変わらないことがクヌッセン数の1次のレベルまで確かめられている.本研究では,時間的にゆっくりと温度が上昇する平行二平板間の弱希薄気体を考え,その振舞をクヌッセン数についての系統的な漸近解析によって調べる.この問題では,平板間の中央部に放物型の温度分布が形成されるが,それによる温度の跳びは定常系の理論から予想されるものと異なることを示す.これは,クヌッセン数の2次のレベルでは,非定常系には定常系には見られない温度の跳びがあることを意味する.この新しい温度の跳びについて,跳び係数と付随するクヌッセン層補正をBGK モデル,剛体球分子モデルの場合について具体的に求めた結果も報告する.
  • 村島 隆浩, 谷口 貴志
    セッションID: OS09-06
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    我々は数値流体力学法に高分子シミュレーションを組み込むマルチスケール手法を開発した。 高分子溶融体はミクロな高分子の運動とマクロな流動の相互の競合により、特異な流動挙動を示す。通常そのような複雑な流動挙動を表すモデルとして粘弾性構成式を仮定し、流体力学方程式の中に組み込むことで、粘弾性流体の流体シミュレーションが行われる。しかし、粘弾性構成式は分子情報を組み込むことに困難がある。一方、高分子シミュレーションの開発が活発に行われており、粘弾性構成式では取扱いが困難な分子情報を直接取り扱うことが可能である。しかし、高分子シミュレーションは流動スケールの巨視的な問題を扱うには計算コストが莫大になり非現実的である。マクロな方法とミクロな方法それぞれに困難があるために、それぞれに限界がある。本研究ではマクロな方法とミクロな方法をつなげることで両者の困難を解決した。
  • 塩崎 聖治, 高木 周
    セッションID: OS09-07
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
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    本研究では血栓形成の初期段階である血小板凝集についてのマルチスケールシミュレーションに向けて,血小板の血管壁への吸着の解析を行っている.血小板の吸着は,血小板表面に存在する糖タンパク質GPIbαと血管内壁の損傷部に存在するvon Willebrand Factor (vWF)との結合によって引き起こされる.そのタンパク質間の結合の寿命は短く,結合の形成と切断を繰返し,血小板と血管壁間の吸着面では平均数10個程度の結合が存在していると考えられており,本研究では動的モンテカルロ法を用いて統計的にGPIbα-vWF結合の本数及び血小板-血管壁間吸着力の評価を行っている.その際,1対のGPIbα-vWF結合の形成と切断のrateをモデル化する必要がある.ここでは膜糖タンパクの結合モデルとして広く使われている線形バネモデルとエントロピー弾性を考慮して構築したモデルの比較について報告する.
  • 高木 周, 伊井 仁志, 塩崎 聖治, 島本 憲夫, 杉山 和靖, 松本 洋一郎
    セッションID: OS09-08
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    血栓症は,心筋梗塞・脳梗塞を引き起こす重要な循環器系疾患である.血栓の成長過程には,血小板表面の受容体である糖タンパクと,血管壁や血流中に存在する種々のタンパク質との相互作用による血小板の凝集から始まり,血流からの流体力学的影響まで様々なスケールの現象が関わってくる.本講演では,次世代スパコン「京」向けに開発が進んでいるマルチスケール血栓シミュレータについて紹介する.本研究では,リガンド・レセプターの分子間相互作用をモンテカルロ法で計算しながら,有限差分法に基づく流体構造計算手法と連成させる手法を開発している.
  • 渡村 友昭, 田坂 裕司, 村井 祐一
    セッションID: OS09-09
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    無数に存在する微細な気泡,マイクロバブルと流れとの相互干渉を調査することを目的とし,同軸回転二重円筒間に形成されるテイラー・クエット流れに微細気泡を添加した実験を行った.直径10マイクロメートルオーダの微細気泡は電気分解により発生させ,流体層下部から周方向に均一に添加した.流体層r - z断面の画像から液相速度,気泡速度ならびに気泡分布を同時に可視化した.その結果として,微細気泡が波動渦の峰周辺において高濃度分布を形成し,渦管同士を繋ぐ軸流中を浮上する様子を観察した.同時に,微細気泡の添加により渦が有する主な波動モードの振幅が増幅され,また変調波動成分の成長を妨げられた.これらより,周方向波動により生じた非一様な気泡濃度分布が液相流動モードの遷移を抑制する一連の双方向相互作用を示した.
  • 杉山 和靖, 伊井 仁志, 高木 周, 松本 洋一郎
    セッションID: OS09-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    生体力学を対象とする超大規模流体・構造連成解析のため,オイラー型手法の開発を行なっている.オイラー法は,複雑な境界形状/多数の分散体を含む系の解析を得意とするとともに,並列化に際して,領域分割の均一性の確保が容易である.さらに,実効性能・線形拡張性の高い並列計算を実現するため,動的パラメータを持つ擬似圧縮性法の開発を進めている.本講演では,方法論とその有効性について説明する.
  • 離散要素法と有限要素法を組み合わせ
    ウン シ ハン, マトゥティス ハンス・ゲオルグ
    セッションID: OS09-11
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    流体における多角形粉体のシミュレーションを行うために我々は流体領域においては適合格子細分を実装し、全システムに対しては自動時間刻みを使用した。このことは異なる方法より得られる格子の精度に関しての比較が可能であることを意味する。同じ初期条件及び境界条件において、良い格子生成法は高い精度を有するためにより大きな時間刻みを使い、計算が早く終了する。また我々は異なる格子生成法より得た平均時間刻みの大きさを比べることにより帰納的な誤差解析を得ることができた。
  • 大谷 英之, 秋永 剛, 関 眞佐子
    セッションID: OS09-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    微小血管壁表面の糖鎖層に対する構造解析結果をもとに、表面電荷をもつ溶質が六角形状に配置された円柱群を通過する場合の理論モデルを作成した。溶質周りの流れ場および電場を解析することで、糖鎖層の両側に圧力差と溶質濃度差がある場合の拡散と移流による溶質の流束を数値解析により評価した。特に糖鎖層と溶質が同符号で帯電している場合について、血管壁糖鎖層の溶質輸送特性に及ぼす電気的な影響を調べた。
  • 梁 夫友, 前田 郁, 大島 まり, 劉 浩, 高木 周
    セッションID: OS09-13
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    As computational models are applied to answer questions raised in clinical treatment of cardiovascular diseases, problems often emerge as to how to incorporate patient-specific information and how to reasonably predict post-operative hemodynamic changes. In the present study, we develop a heterogeneous model of the entire cardiovascular system by means of geometrical multi-scale modeling. The model describes local flows on the basis of a global description of the systemic hemodynamics, thus allowing us to study the effects of variations in physiological/pathological conditions on the hemodynamic phenomena of interest. Moreover, we propose some mathematical methods to incorporate clinical data into the theoretical models. As an example of model application, the model is used to predict pre-and post-operative hemodynamics in the carotid and cerebral arteries in a patient who underwent a carotid surgery to remove a severe carotid stenosis.
  • 田中 真人, 藤川 正毅, 儀間 麻衣
    セッションID: OS10-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では,丸め誤差のない新たな数値微分近似手法として複素数階微分法を提示する.本手法を大変形材料構成則の応力および整合接線剛性の導出に応用した事例を紹介する.ここでは,陰的解法の代表的な汎用FEMソフトウェアであるAbaqus/Standardの材料構成則のユーザサブルーチンUMATを例にとり,その実装方法について示す.また,いくつかの数値計算例を通して,本手法の有効性を示す.
  • 仲村 岳, 渡邊 育夢, 弓削 康平
    セッションID: OS10-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    マクロ力学特性を与えることで幾何学的非線形性と材料非線形性を考慮した構造材料のミクロ材料組織分布を逆解析するアルゴリズムを示し,数値例によりその有用性や問題点について指摘する.ここでは,ミクロ組織を二相からなる弾塑性材料などと仮定し,その材料分布を密度法により表現した.さらに,各相の体積分率を制約条件としてミクロ組織が蓄えるひずみエネルギーの最大化問題を定式化した.解析アルゴリズムでは,最適性基準法により微視組織を表現する代表体積要素の密度分布を繰り返し更新し,均質化法により特定のひずみ履歴によるミクロ周期領域の応答を平均化した.解析例題として,単軸引張においてひずみエネルギーが最大となる多孔質材や二相材の最適化例を示し,数値解の収束性や材料境界の明度について検討する.
  • 只野 裕一, 鎗水 陽平, 萩原 世也
    セッションID: OS10-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    有限要素メッシュが破綻するほどの大変形問題において,メッシュフリー法や粒子法に基づく高精度な大変形固体解析の開発が望まれている.固体解析における粒子法としては,従来からSPH法を用いた研究が多数行われている.一方で主に流体解析で利用されている粒子法の一つであるMPS法は,固体解析への適用が限定的である.MPS法は,影響半径内にある粒子との相互作用を平易な方法でモデル化し勾配および発散を定義するため,SPH法と比較して定式化がシンプルであるという特徴を有する.弾粘塑性モデルは,大変形問題において有用性の高いモデルであるが,その定式化には速度形の支配方程式を用いることが多い.MPS法は速度形の定式化も容易であるため,速度依存形構成式である弾粘塑性モデルへの適用性が高いと考えられる.そこで本研究では,MPS法をベースにした大変形弾粘塑性解析手法を構築し,その妥当性について検証・考察を行う.
  • 貞本 将太, 田中 智行, 岡澤 重信
    セッションID: OS10-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    自動車・船舶・航空機などの輸送機器には,辺長に対して板厚の薄い板によって構成される薄板構造物が数多く存在し,それらの力学的評価を高精度に行う必要がある.本研究では,大変形や破壊力学においても柔軟に対応できることで知られるメッシュフリー法の一つである粒子法を用いて,面内変形と面外変形の連成を考慮した薄板の非線形解析についての基礎的検討を行ってきた.粒子法による数値解析では,幾何学的境界条件の規定方法としてその簡便さからペナルティ法がしばしば用いられ,本研究でも同様にこれを用いてきた.本研究は薄板の座屈解析を高精度に行うことを当面の目標としているが,現状のままではある境界の直線保持を行う場合や周期境界条件の設定などが困難であり,現在この解決法としてMPC(多点拘束) 法の導入を検討している.本講演では板曲げ問題の幾何学的非線形解析についてMPC 法を適用した結果と今後の課題について述べる.
  • 西口 浩司, 前田 和久, 岡澤 重信
    セッションID: OS10-06
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    粘着剤は、様々な分野で用いられている産業上必要不可欠な構成部材である。一般に粘着剤はゴム弾性・粘性・温度依存性を持ち、ヤング率は一般の固体材料と比べて極めて低い。そのため、複雑な大変形挙動を示すことが知られている。粘着剤に関する実験的研究は古くから行われているが、近年では数値解析に基づく研究も求められている。従来、粘着剤の数値解析にはLagrange型有限要素法が用いられてきた。しかし、メッシュが破綻するために大変形挙動の解析を行うことができなかった。
    そこで本研究では、Euler型有限要素法による粘着剤の大変形解析手法を提案する。Euler型有限要素法では、空間に固定されたメッシュを超えて物質が変形するため、任意の大変形解析が可能である。粘着剤の構成関係は粘性-超弾性モデルと代表的な時間-温度換算則であるWLF則により表現する。本手法の妥当性は、実験結果と数値解の比較により確認する。
  • 大西 有希, 天谷 賢治
    セッションID: OS10-07
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    数値固体力学分野において有限要素法は事実上の標準手法であり,幅広い解析に用いられている.大変形解析においても有限要素法は広く用いられているが,大きな歪みを伴う場合には解析の途中でメッシュが潰れてしまうことに起因する精度低下や収束不能に陥ることが知られている.アダプティブ法はこの問題を解決する手法として時折用いられるが,現行法ではメッシュ変更前後で節点内力が時間的に不連続に変化することが問題となり,メッシュ変更に失敗するケースが頻繁に発生する.昨年,我々はメッシュフリー法において増分形釣合方程式を用いる手法を提唱し,大変形解析においてその有効性を示した.本研究では増分形釣合方程式を有限要素法に適用した新たな有限要素定式化を提唱する.幾つかの解析例を示し,この定式化により現行のアダプティブ法が抱える問題を解決できる可能性があることを示す.
  • 山田 貴博, 宮島 亮
    セッションID: OS10-08
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    非圧縮性材料の大変形解析において,圧力を自由度とする混合型有限要素法が用いられる.このとき,圧力と変位の組み合わせに対してLBBK条件(inf-sup条件)を満足する必要があるが,大変形解析においてロバストな要素は少ない.LBBK条件を満足しない圧力と変位の組み合わせを用いる場合には,圧力のラプラシアンに対応する安定化項を付加する方法が流体の問題では用いられている.しかしながら,従来の圧力安定化手法では,連続な圧力場を用いられることが多く,非圧縮条件が領域全体で課されるものとなり,大変形解析に対してはあまり適切と考えられない.これに対して,近年,圧力安定化の手法として,要素間境界の圧力ジャンプを用いる手法がHansbo等によって提案されている.本研究はこの手法を非圧縮超弾性体の大変形解析に適用し,その有効性を検証するものである.
  • 特に2D平面応力の調和関数によるShear Locking-less解法に関する
    今村 純也
    セッションID: OS10-09
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    既報で接触問題スキームのコンセプトを提案した。先ずは接触を考えずに界面を移動させ、次いで重なる部分の体積を保存するよう修正するスキームである。本稿ではその修正技法の進展を報告する。体積保存には非圧縮スキームが重要な役割を果たす。そこでHelmholtz分解に基づく方法を提案する。特に2Dでは調和関数で表され、流れ関数は完全な非圧縮を表す。これはshear locking-lessスキームでもある。
  • 橋口 公一, 山川 優樹
    セッションID: OS11-01
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
  • 山川 優樹, 千田 大, 池田 清宏, 橋口 公一
    セッションID: OS11-02
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    塑性変形勾配テンソルの乗算分解により非線形移動硬化則を導入した有限変形弾塑性構成モデルを提案する.有限変形弾塑性構成モデルにおいて一般的に用いられる変形勾配テンソルの弾性部分・塑性部分への乗算分解に加え,塑性部分をさらにエネルギー貯留部分とエネルギー散逸部分に乗算分解し,前者により移動硬化に関する背応力がもたらされるものとして,非線形移動硬化則を導入する.具体例としてvon Misesモデルを取り上げ,リターンマッピングによる応力計算法を開発するとともに,有限要素解析コードに実装した.幾つかの数値解析例を通じて,モデルの基本特性および応力計算法の妥当性を示す.
  • 橘 伸也, 桑野 二郎
    セッションID: OS11-03
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    比較的密な砂を平均有効応力および中間主応力係数一定の下で排水せん断すると、せん断初期には体積収縮を示し、その後、膨張に転ずる。圧縮から膨張に転ずる瞬間においては体積ひずみ速度がゼロとなることから、この条件を弾塑性構成関係に課すことにより、変遷点における応力比と主応力角との関係が理論的に得られる。本稿では、下負荷面を導入した拡張関口・太田モデル(ECモデル)についてこの関係を導出する。さらに中空円筒ねじり試験より得られた実験結果と比較することにより、ダイレイタンシー特性に関する構成モデルパラメータの推定を行っている。
  • 吉田 総仁, 濱崎 洋, 上森 武
    セッションID: OS11-04
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    板材成形シミュレーションでは材料の異方性を高精度に表現する降伏関数の使用が重要である.本論文では,6次多項式型の3次元異方性降伏関数の提案を行う.この降伏関数には16個の材料パラメータが含まれるが,それらは材料試験結果から系統的に同定できる.この降伏関数を使うことにより,降伏曲面,r値の面内異方性,流動応力の板方向依存性が的確に表現できることを,高張力鋼板やアルミニウム板材の実験結果と比較しながら示す.さらに,降伏曲面の凸面性を保証する理論の枠組みについて示す.
  • 渡邊 育夢, 瀬戸山 大吾, 長廻 尚之, 岩田 徳利
    セッションID: OS11-05
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    会議録・要旨集 フリー
    数学的均質化法に基づくミクロ-マクロ有限要素解析では材料組織の情報からマクロ特性を数値解析の結果として予測できる。このアプローチを利用するためには,材料組織を数値モデルとして定義する必要があるが,一般的な鉄鋼組織はさまざまな材料組織を含み,その材料挙動は複雑であることから,ミクロ組織のモデリングは現状も課題である。 そこで,複合組織を含む一般的な鉄鋼組織の材料組織をミクロ-マクロ有限要素解析で扱うための,材料組織のモデリング手法の開発を進めている。本発表では,炭化物が層状に析出するパーライト組織の力学挙動を第一原理計算と有限要素解析を用いて評価し,その情報を基にパーライト組織の異方力学特性を表現するための弾塑性構成モデルを開発する。そして,開発した弾塑性構成モデルを用いて,フェライト-パーライト複合組織鋼の数値解析を実施する。
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