理論応用力学講演会 講演論文集
第63回理論応用力学講演会
選択された号の論文の197件中51~100を表示しています
OS06/OS14 合同 メンテナンスのための力学問題と逆解析/逆問題解析とデータ同化の新展開
  • 斎藤 正也, 井元 清哉, 山口 類, 宮野 悟, 樋口 知之
    セッションID: OS06-OS14-05-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    インフルエンザに対する効果的な介入や注意喚起を行うためには、数理モデルを活用した流行予測が欠かせない。感染伝播ダイナミクスを考慮した日本全国の流行モデルを構成する場合、都市間相互の影響を取り入れるのは自然と考えられるが、定点動向調査結果に見られる複数地域での同期した感染者急増はそのことを支持している。そこで、本研究では都市間相互の影響を考慮したモデルの候補として、確率的に要素(地域)間の結合を取り入れた、連結SIRモデルを候補モデルとし、47都道府県での週毎の定点当感染者数を同化することで連結の強さを決めるパラメータを推定する。パラメータ推定にはMCMCを用い、各パラメータ設定での尤度評価を軽量に保つために、カルマンフィルタを適用可能にする近似を行った。また、地域毎の感染者数時系列は、連結強度の推定に十分な情報を持たないと考えられるため、地域間の人の移動件数の統計である都道府県間流動表を推定の事前分布の設計に用いた。
  • 藤原 宏志
    セッションID: OS06-OS14-06-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    逆問題に表れる非適切問題の数値計算をするうえでの困難点のひとつは,計算過程における数値誤差の累積が急激に増大し,数値計算が破綻することである.数値誤差としては丸め誤差や離散化誤差が代表的であるが,本研究はこのうちの離散化誤差に注目し,球面上の高精度数値積分則を与えるものである.提案する数値積分則は,指定した次数以下の球面調和函数で厳密な積分値をとり,かつ,正二十面体回転群によって積分点が不変であるものである.高精度積分則としては累次積分であらわしてGauss-Legendre則および台形則を組み合わせることが簡便であるが,幾つかの数値計算においては提案する積分則のほうが精度が高い.講演では,本積分則の逆問題への応用についても論じる.
  • 渡邉 祥, 代田 健二
    セッションID: OS06-OS14-06-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    位相最適化手法により導出される最適化問題は,非適切問題であることが知られている.そのため最急降下法を適用すると,数値不安定現象が発生する.畔上は,数値不安定現象の原因を設計空間と勾配の属する関数空間の違いと考え,H1勾配法を提唱した.一方,数値不安定現象を起こす原因としては,離散化誤差,丸め誤差,測定誤差がある.測定誤差がない場合は,高精度数値解法と多倍長計算を用いることにより,非適切問題の近似解を高精度に得られることが示されている.位相最適化問題において測定誤差は存在しないため,高精度数値解法・多倍長計算が有効であることが期待できる.本研究では,高精度数値解法とH1勾配法を組み合わせた高精度最適設計手法の開発を行う.高精度数値解法として任意多点差分法,多倍長環境として exflibを採用する.ポアソン方程式・静弾性方程式による位相最適化問題に対する数値実験を実施し,開発手法の有効性を検討する.
  • 中村 和幸, 清水 脩輔
    セッションID: OS06-OS14-06-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    粒子法が対象とする種類の流体現象における誤差の生成構造は、通常データ同化が扱う問題の構造と異なるため,これらの現象にデータ同化を適用するには新たな誤差モデリングとアルゴリズム構築が必要になる.
    本講演では,粒子法の中でも非圧縮流体に対する解析法であるMPS法による数値解析とアルゴリズム解析を通じて,データ同化のための誤差構造解析とアルゴリズム構築について議論する.
  • 才田 聡子, 藤田 茂, 門倉 昭, 田中 高史, 行松 彰, 田中 良昌, 大谷 晋一, 村田 健史, 樋口 知之
    セッションID: OS06-OS14-06-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    磁気圏-電離圏相互作用過程は現在も十分に解明されていないために、グローバル電磁流体力学的シミュレーションモデル(Tanaka et al., 2010)における磁気圏と電離圏の境界における関係式にはいくつか任意に決定されている係数がある。本研究の最終的な目的はデータ同化手法を用いて最適な組み合わせの係数を推定することである。本発表では衛星ACEによって観測された太陽風パラメータを入力してシミュレーションを実行して得た電離圏のプラズマ対流速度SuperDARNレーダーで観測されたプラズマ対流速度の比較を行う。また、シシミュレーションから再現できなかったプラズマ対流構造を紹介し、太陽風中の磁場が南を向いて磁気圏・電離圏対流が活発な状態における磁気圏-電離圏結合過程におけるシミュレーションモデルの関係式の改良とモデルパラメータの最適値推定について考察する。
  • 山本 真哉, 本多 眞, 櫻井 英行
    セッションID: OS06-OS14-07-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    気象分野等で応用が進むデータ同化技術により、地下水のモニタリングデータに基づいて地下水流動モデルを同定する方法について検討した。本研究では、アンサンブルカルマンフィルタを用いて、実存の地下構造物のモデルに対して水位や湧水量等の観測データを同化し、透水パラメータの同定性能について検証した。 人工的に作成した観測データを同化させたケースでは、地質区分ごとに設定された真の透水係数を精度良く同定できることが示された。また、感度解析により、モデル同定の際の各観測データの寄与度を定量的に示した。 さらに、実際の観測データを用いたケースにおいても、アンサンブルカルマンフィルタによって観測結果を再現する地下水流動モデルを同定できることが確認された。同定されたモデルはサイトの水理地質構造を評価する上で有用な情報になりうると考えられる。
  • 珠玖 隆行, 西村 伸一, 柴田 俊文
    セッションID: OS06-OS14-07-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,地盤解析に必要なインプットパラメータがどの程度解析結果に寄与しているかを定量的に評価するために,感度解析の理論に基づき数値実験を実施した。効率的な感度解析を行うため,実験計画法の分野で発達してきた直交表にしたがって数値実験を構成した。得られた結果を統計解析し,各パラメータの感度を定量的に評価した。その結果,パラメータの感度は経時的に変化し,最初は感度が小さいパラメータであっても,時間経過とともに感度が上昇することを示した。
  • 長尾 大道, 水迫 覚信, 加納 将行, 堀 宗朗, 廣瀬 慧
    セッションID: OS06-OS14-07-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    都市部において直下型地震が発生した際、建物や橋梁等の構造物が受けた被害の空間分布を即座に推定することは、減災や一早い復旧の観点からも重要である。そのためには、地震動に対する各構造物の応答を、数値シミュレーションによって再現することが強力な手段となるが、空間密度が圧倒的に疎な地震観測データから各構造物への入力地震動を与える必要がある。そのためのアプローチとして、我々は波動場データ同化に基づくシミュレーション駆動型モデリング手法と、スパースモデリングに基づくデータ駆動型モデリング手法の融合を目指している。その第一歩として、L1正則化モデリング手法であるlassoにより、地震計データから高空間分解能地震動分布を推定するためのアルゴリズムを開発した。首都圏地震観測網MeSO-netのデータを統計的手法によって校正した上で、2011年東北地方太平洋沖地震発生時のデータに適用したところ、2Hz以下の帯域において格段に良い推定を得られることが示された。
  • 堀 高峰, 兵藤 守, 中田 令子, 日吉 善久, 有吉 慶介, 宮崎 真一, 金田 義行
    セッションID: OS06-OS14-07-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    沈み込み帯におけるプレート境界地震を予測するための手法を提案する。地震の予測は一般に、発生時・規模など地震そのものの情報だけが出力となるが、この手法では、プレート境界面でのすべりの時空間変化で地震をモデル化し、地震に至るまでの準備過程全体を予測の対象とする。とはいえ、地震発生の数理モデルはあるものの不完全であり、また観測データも非常に限られていると同時に過去にさかのぼるほど誤差も大きくなる。こうした予測の困難さに対処する1つの手段として、逐次データ同化手法を取り入れる。データとしては、プレート境界でのすべりの時空間変化を表す地殻変動を用いる。我々は、この予測手法を適用したプロトタイプを南海トラフにおける海溝型巨大地震を対象として構築し、毎週更新される地殻変動データとの同化実験を行っている。
OS07 波動現象の数理とその応用
  • Zou Rong, 福本 康秀
    セッションID: OS07-01-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    トロイダル磁場が作用する電気伝導性流体の軸対称流れの局所線形安定性をWKB法を用いて解析する。非軸対称の波も扱う。非軸対称撹乱は軸対称撹乱とは不安定性特性がと大きく異なる。軸対称背景磁場の強さとその動径方向への対数微分(=磁気ロスビー数)が安定/不安定を左右する。回転角速度の対数微分をロスビー数と呼ぶことにする。弱い磁場の場合、臨界ロスビー数は0に近く、最大増幅率は軸対称波と同じ値(Oort A-値)をとる。磁場が十分に強くなると、すべてのロスビー数で流れは不安定になり、最大成長率はほ磁場の強さに比例して大きくなる。
  • 水田 洋
    セッションID: OS07-01-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    磁性流体界面で,水平から規則的パターンへ界面形状遷移を起こす臨界磁場強度近くで,界面形状・界面応力波数スペクトルの振る舞いを調べる.遷移は,不安定領域近くにある波数成分の成長から始まり,その後,非線形相互作用のため,更に多くの波数成分が成長してくるものと考えられる.しかし,外部から供給されるエネルギーは有限なので,成長は有限時間内に停止し,最終的に界面形状はある規則的パターンへ落ち着くはずである.この過程を,本研究で開発してきた,界面形状や印加磁場分布に制限されない流体解析と磁場解析を用いて調べる.時間と共に成長する波数成分は,その減衰定数の符号が正になり,多くの成分の中から,著しく成長する成分が選び出される.成長した成分の間では3波共鳴が予想されるが,磁性流体界面波動の線形分散関係に基づいてその可能性を検討する.また,界面エネルギーの時間変化を調べ,その保存状態を調べる.
  • 大縄 将史
    セッションID: OS07-01-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    輻射を含む気体の簡易モデルであるHamerモデルを扱います.この系は双曲型と楕円型の二つ方程式の連立系であり,移流項とラプラシアンより弱い拡散効果を持っています.この性質より衝撃波はそのショックの強さがあるしきい値をこえると不連続になるという特徴が相平面解析によって知られていますが,それに対して安定性の観点から考察を加えることが目的です.まずショックがしきい値未満(劣臨界)の場合には,拡散によって衝撃波に加えられた微小摂動が一様に0に収束すること,ショックがしきい値に等しい(臨界)場合にはいかに小さい摂動でも爆発(ここでは解の一階微分が-∞に発散するという意味)に至る場合があることを述べます.ショックがしきい値より大きくなる(優臨界)と劣臨界の場合のような拡散による安定化では不十分になるものの,衝撃波に不連続が存在することが移流項により有益に働き,微小摂動が加わってもそれが一様に0に収束することを示します.
  • 丸山 真一, 浅香 紀貴, 永井 健一, 山口 誉夫
    セッションID: OS07-01-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    軸方向及び横方向励振を同時に受ける,軸方向ばねで拘束された座屈後はりについての非線形振動実験,及び数値解析を行った.解析では,拘束ばねを介した軸方向変位加振による係数励振項を含む基礎式に対し,ガラーキン法を適用し,多自由度系の非線形連立常微分方程式を導いた.線形固有振動モードに基づく規準形の方程式に変換し,それを一階連立常微分方程式に変換して,ルンゲ・クッタ・ギル法により数値的に直接積分し動的応答を求めた.また,実験では,はり端部に取り付けた磁石に作用する磁気反発力を周期的に変動させることで,はりに軸方向周期荷重を加え,軸方向周期荷重と横方向加振力との位相差を変えて,カオス振動や周期応答に及ぼす影響を分析した.得られた理論計算結果と実験結果を比較し,検討を行った.これより,横方向加振力と軸方向加振力の位相差がカオス振動の発生領域に及ぼす影響を明らかにした.
  • 平光 亜衣, 船越 満明
    セッションID: OS07-02-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    流体の入った直方体容器が共鳴的に往復または楕円運動する際に発生する水面波の分岐現象やカオス、回転方向などを、弱非線形理論により導出したモデル方程式に基づいて調べる。
  • 林 紘幸, 澤村 陽一, 石井 克哉, 北川 峻, 安達 静子
    セッションID: OS07-02-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
     管径に対して管長が十分に長い管の軸方向に温度勾配を与えると、管内流体が自励振動し、音波が発生する現象がある。この現象はタコ二ス振動と呼ばれている。本発表では、軸対称を仮定した閉円管内に生じるタコ二ス振動を数値計算し、解析した結果について報告する。
     本研究では、両端が閉じた円管(管長:L=0.28m、管の半径r0=0.756mm)を計算対象とした。管内流体は、初期温度300Kの気体ヘリウムを仮定し、初期圧力を1.2×105 Paとした。また、両端部が300K、中央部が20Kになるような温度分布を管壁に与えた。
     高温部と低温部の長さ比を変化させると、基本モード、衝撃波モード、2ndモードの3種類を観測できる。それぞれの振動モードにおける管内の圧力分布、温度分布、速度分布、渦度分布をもとに音響エネルギー流束と熱エネルギー流束について解析し、それらの間のエネルギー変換について議論を行う。
  • 川面 洋平, 吉田 善章, 福本 康秀
    セッションID: OS07-02-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    ヘリシティの保存は流体要素のリラベリング対称性からNoetherの定理を用いて導出されることが知られている.本研究では近年発見された相対論的ヘリシティが非相対論のとき同様にNoetherの定理から導出されることを示した.この証明過程において,ヘリシティの保存はLagrange座標においては保存流(Noether current)の形で書かれるが,Euler座標に変換すると保存流としては書かれないことが分かった.これは相対論においてLagrange座標における空間積分がEuler座標では時空間の入り混じった3次元積分に変換されるためである.また相対論的MHDのLagrange表現を定式化し,相対論的クロスヘリシティが同様にNoetherの定理から導出されることを示した.
  • 白井 秀和, 細田 尚, 金澤 直矢
    セッションID: OS07-02-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,転波列の平衡状態での特性を明らかにするために,有限体積法に基づく数値解析と非線形解析を行った.数値解析では,一定周期の擾乱を与えることで,擾乱周期に応じて形成される転波列の特性について検討し,擾乱周期が十分に長くなると,十分に発達した転波列が一意の波長にならず様々な波長をもつ動的な平衡状態になることを示した.非線形解析においては,基本波数を1次モードから3次モードまで考慮した擾乱の表示式を基礎式である浅水流方程式に代入することで振幅に関する連立常微分方程式を導出し,それらを数値解析的に解いた.その結果,1次モードのみを考慮した場合,擾乱は,増幅するか,減衰するかのみだが,2次モード以上を考慮した場合,波形を維持するような波数の安定領域が現れることを示した.また,数値解析結果とこの非線形解析結果を比較するとこの波形を維持する安定領域での傾向がよく対応することが明らかになった.
  • 下田 瑞斗, 斎藤 隆泰, 古川 陽, 廣瀬 壮一
    セッションID: OS07-03-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    境界要素法は波動解析に有効な数値解析手法として広く利用されてきた。しかしながら、境界要素法を利用するためには、解析対象となる場に対する基本解(グリーン関数)を求める必要がある。そのため、異方性弾性波動問題のような閉じた基本解を得ることができない問題への応用はさほど行われていない。事実、例えば高速多重極法等の利用はこれまでほとんど行われていないのが現状である。そこで、本研究では、異方性材料中の時間調和面外波動問題を対象とした境界要素法の高速化を目指す。高速化のために、並列化手法の適用、積分核に依存しない高速多重極法の適用を検討する。数値解析例として、簡単な散乱問題を解くことで計算精度の確認や、計算効率について確認することを行い、本手法の有効性や発展性等について検討する。
  • 古川 陽, 斎藤 隆泰, 廣瀬 壮一
    セッションID: OS07-03-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は,異方性を有する線形弾性体中のき裂による波動散乱解析に対して,演算子積分時間領域境界要素法の開発を行う.演算子積分時間領域境界要素法は,積分方程式に含まれる畳み込み積分を演算子積分法を用いて処理する解析手法である.この解析手法は,演算子積分法の適用により時間領域基本解ではなくLaplace像空間における基本解が必要となる点が特徴である.これにより,従来の時間領域境界要素法と比較して,数値的な取り扱いが容易となる.境界要素法によるき裂の動的問題の解析では,き裂開口変位を未知量とする表面力境界積分方程式を用いた定式化が有効である.しかしながら,この定式化では,境界積分方程式の積分核が超特異性を有することが知られており,その取扱いには注意が必要となる.本研究では,この積分方程式を正則化し,積分核に超特異性を含まない表面力境界積分方程式を用いて,定式化を行う.
  • 田沼 一実, Man Chi-Sing, Chen Yue, 中村 玄
    セッションID: OS07-03-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    弾性テンソルが自由境界面から深さ方向に変化する不均質弾性体は,自由境界面近傍を伝播する弾性表面波(Rayleigh波)の位相速度が周波数に依存する分散現象を有する.本講演では,Rayleigh波の位相速度に対して,高周波での波数展開式(分散公式)を与える手続きを提示した後,分散公式の各項に対する弾性テンソルの寄与の仕方を中心に,分散公式の構造を吟味する.そこでは,境界面での変位と表面力との線形関係をあらわす行列surface impedance matrixの考察が基礎となる.得られた順問題解析の結果を,個々の代表的な非等方弾性体に適用し,分散現象の観測から弾性テンソルの不均質を同定する逆問題に対する数学解析も目標とする.
  • 岡村 理一郎, 吉川 仁, 高橋 徹, 樫山 和男
    セッションID: OS07-03-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,複雑な幾何形状を有する問題への適用のため,波動音響理論に基づく数値シミュレーション手法の構築を行う.数値シミュレーション手法としては,外部問題に適している境界要素法を用いる.境界要素法は境界上の離散化のみで近似解を得る手法であるが,時間域の境界要素法ではある時刻の解は以前の時刻の解からの影響を受けるため,大規模問題を解く場合には計算量・記憶容量が膨大化する.そこで,時間域の境界要素法による大規模3次元非定常音場解析を可能とするため,メモリ削減手法の導入及び,並列化手法の導入を行う.メモリ削減手法としては、影響係数行列の疎行列化とcast forwardの導入を行った.
  • 中畑 和之, 斎藤 隆泰, 木本 和志
    セッションID: OS07-03-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    非均質材料やウエーブガイドを有する材料など,波線理論で伝搬経路が推定できない対象について,時間反転法を利用した欠陥イメージング手法について検討する.欠陥からの散乱波をアレイ探触子等の多点で受信し,これを時間反転してシミュレーション上で再発振し,逆伝搬させる.このとき,入射波と逆伝搬波との空間的な相関関数を考える.相関値が最大となるところが散乱源(欠陥)を表すことを利用し,欠陥再構成を行う.
  • 三澤 亮太, 西村 直志, 童 美松
    セッションID: OS07-04-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    Maxwell方程式の二重周期境界値問題に対する,
    周期高速多重極法を用いた体積積分方程式法を考える.
    高速多重極法を用いた積分方程式法では,
    離散化方程式を線形方程式の反復解法を用いて解く方法が一般的である.
    このような解法では,反復解法において数値解に収束するまでに要する反復回数を減少させることが,
    計算効率を改善するために重要である.
    本研究では,Maxwell方程式に対する体積積分作用素のスペクトルの性質を考慮することにより,
    SWG基底関数を用いて離散化された体積積分方程式に対する2種類の右前処理法を提案する.
    いくつかの数値計算例により,開発した数値解法により精度良く数値解が得られることと,
    提案した前処理法が反復解法における収束性を改善していることを確認する.
    また,提案手法は周期問題におけるWoodのアノマリにおいても,
    収束性の改善に効果があることを数値的に示す.
  • 新納 和樹, 西村 直志
    セッションID: OS07-04-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本発表ではMaxwell方程式に対する境界積分方程式法が低周波領域において精度が悪化する問題、いわゆる低周波問題を解決する積分方程式の離散化手法について発表を行う。低周波領域において積分方程式では解のsolenoidalな部分が精度よく計算できないために、精度が悪化するという問題がある。この問題に対処し、低周波領域においても精度良く解が求まる積分方程式法は、これまでにいくつか提案されているが、いずれの方法も大幅な計算時間の増加を伴っていた。本手法で提案する離散化法はH_divにおいて自然に定義される内積を離散化に用いる。これによって解のirrotationalな部分についても精度良く計算でき、これによって計算時間をそれほど増やすことなく、解の精度が大幅に向上する。本発表ではH_div内積を用いた離散化法によって少ない計算時間で低周波問題を解決できることを数式を用いた考察と数値計算例を示すことによって行う。
  • 東平 光生, 深井 優樹
    セッションID: OS07-04-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    半無限弾性波動場中に局在する媒質の揺らぎの再構成の解析をヒルベルト空間の直交分解定理に着目して行う.まず,半無限弾性波動場に設置した観測領域と振源領域を用いて,観測散乱波と振源情報を結びつける散乱テンソルを定義する.そして観測領域での波動場をヒルベルト空間と見なし,観測散乱波の集合をそのヒルベルト空間の
    部分空間と考える,定義したヒルベルト空間は散乱テンソルの値域と散乱テンソルの共役演算子の核空間で直交分解されることを利用して,前述のヒルベルト空間から散乱テンソルの値域への射影演算子を定義する.媒質の揺らぎの再構成は,プロービングポイントからのグリーンと射影演算子の積のノルムに着目して行う.
  • 東平 光生, 武富 亮太
    セッションID: OS07-04-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    著者らは,これまで演算子のスペクトル理論に基づく半無限弾性波動場の散乱解析のための高速領域
    積分方程式法を開発してきた.この方法は演算子のスペクトル理論に基づいて定義される積分変換を領域積分方程式の求解の反復過程に用いるものであり,係数行列の導出を不要とする.このため,計算に必要な係数行列の導出を不要とする利点がある一方で,係数行列の情報が得られないことで収束特性を改善するための前処理技法の展開が困難である.本研究は求解の反復過程にArnoldi原理を用い,反復過程で生成されるHessenberg行列に着目する.そして,積分方程式の逆演算子を近似的に構成する,前処理手法を展開する.そして,いくつか数値計算を通して,その効果を検証している.
OS08 連成現象・複合現象のシミュレーション
  • 山田 知典, 吉村 忍
    セッションID: OS08-01-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    計算機技術の発展に伴い大規模な有限要素法解析が可能となってきているが、大規模有限要素法解析の主要技術である自動要素生成については四面体要素生成がほぼ唯一のアプローチとなっている。現在では原子力プラント全体のような大規模アセンブリ構造物の解析が注目されており、その部品間の接触解析の重要性も増してきている。しかし、四面体二次要素を用いた接触解析では接触界面における節点の離脱/すべり/固着を判定するための反力計算が適切に行われないという問題があり、市販コード等では界面において四面体二次要素を六面体に細分割するなどの工夫が施されている。本稿では、通常の四面体二次要素を用いた接触解析での新しい反力計算法を提案し、その有効性を数値例とともに示す。
  • 倉前 宏行, 楠本 陸, 二保 知也, 堀江 知義
    セッションID: OS08-01-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本研究においては,抵抗スポット溶接シミュレーションの高精度化のため,巨視的な抵抗スポット溶接解析に対して,微視的な板材の表面粗さを考慮した弾塑性接触と電流解析による接触電気抵抗評価を導入する2スケールのマルチスケール有限要素解析手法を提案する.双方のスケールの解析とも,熱,弾塑性変形,電流の計3つの物理現象を考慮した連成解析を行う.微視有限要素モデルは板材の表面粗さ計測に基づいて構築し,マクロ解析によって得られた加圧力と温度により剛体板のミクロ弾塑性接触解析を行い,変形形状に対する電流解析により接触電気抵抗を求める.マルチスケール解析の結果,従来のBabuらのモデルにより接触電気抵抗を評価した解析と比べて,温度と加圧力の負荷経路の依存性,ならびに表面粗さ形態の効果が確認された.
  • 上田 英明, 岡 正徳, 都井 裕
    セッションID: OS08-01-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    鉄鋼部材に高周波焼入れを施した際に生じる相変態を解析し、実測対比することで相変態解析における課題を抽出した。解析精度向上のため、ベイナイト変態における自己触媒核生成を考慮する独自の発展式を有限要素モデルに対し適用した。その結果、相分率を精度よく予測することが可能となり、この発展式が有用であると確認された。
  • 近藤 典夫
    セッションID: OS08-01-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では、流体流れの中におかれた2円柱の中心間距離を直径の4倍に設定する。この間隔比に場合、臨界間隔比より大きいので、静止した2円柱背後でカルマン渦列が生じる。本研究では、直列2円柱の渦励振に焦点を当て、低スクルートン数を対象にした2円柱の振動性状を数値シミュレーションによって捉える。この計算では、2円柱の運動方程式を剛体運動と仮定したバネーマス系に置き換える。また流体運動はナビエ・ストークス方程式を用いて、流体と2円柱の連成解析には、ALE法と弱連成解析を取り入れて計算する。ナビエ・ストークス方程式の空間離散化にはFEMを適用する。
  • 三目 直登, 吉村 忍, 室谷 浩平, 山田 知典
    セッションID: OS08-01-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    MPS-FE法は、粒子法の一種であるMPS法を用いた流体解析と有限要素法構造解析を連成させた解析手法であり、津波等の自由表面を含む流体と機器・構造物との連成問題を解くのに適した手法である。近年、MPS法流体解析の境界として、従来用いられてきた壁粒子ではなく、任意の平面を用いるMPSポリゴン壁境界モデルを適用し、両手法の境界面を適合させる拡張がなされたが、この際、流体解析の各種境界条件が満たされず、壁面近くでの粒子挙動が不安定となる問題がある。
    そこで本報では、壁面における非斉次の圧力Neumann条件や滑り・非滑り条件を考慮したMPS法壁境界モデルの定式化を行い、有限要素法とのより精緻な物理量の受け渡しを実現する。また、これまでもMPS-FE法の検証に用いられてきたベンチマーク問題で比較を行い、解析精度や計算コスト、モデルの汎用性に関して議論を行う。
  • 塚原 慎也, 山田 知典, 片岡 俊二, 吉村 忍
    セッションID: OS08-02-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    近年,小型人工飛翔体(Micro Air Vehicle: MAV)と呼ばれる小型の飛行ロボットの研究・開発が進められている.MAVは数mm~十数cm程度の飛行ロボットであり,災害現場やプラント配管内等での調査や観測における活躍が期待されているが,このような小さいスケールにおいては従来の固定翼や回転翼の飛行方法では十分な飛行性能を得られない.一方,昆虫や鳥類を模した羽ばたき型のMAVは,同スケールでもホバリングや垂直離着陸能力,省エネルギー性といった点で高い飛行性能を発揮するため,大きな期待が寄せられているが,複雑な非定常現象であるため羽ばたき飛行のメカニズムは未だ十分に明かされていない.本稿では,複数の材料からなる弾性翼の羽ばたき運動を分離反復法による並列流体構造連成解析を用いてシミュレーションを行い,単一材料弾性翼や剛体翼との比較により飛行性能の評価について報告する.
  • 石原 大輔, 堀江 知義, 二保 知也
    セッションID: OS08-02-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    流体と構造が強く連成する現象に対する信頼性の高い解析手法が求められている.相似模型実験は,鍵となる無次元数の増加に伴い,それらの条件を同時に満たすことが難しくなる.一方,計算は,近年,急速に発展しているが,現象の複雑化に伴い,一層,結果の妥当性を検討することが求められる.そこで本研究においては,計算と相似模型実験の相補完による流体構造連成シミュレーションを提案し,具体的な流体構造連成現象として,昆虫羽ばたき飛行を取り上げて,その有効性を検討する.
  • 嶋田 愛子, 渕脇 正樹, 田中 和博
    セッションID: OS08-02-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    物体壁面近傍の境界層は,後流構造および流体力に大きく影響を与えるため,静止物体のみならず非定常運動を行う物体周りの境界層についての研究も活発に行われている.本研究では,数値解析により得られた流れ場に対して,定常状態での境界層理論を用いてヒービング運動を行う剛体薄翼および弾性薄翼の壁面近傍の一周期における境界層の運動量厚さを調べた.弾性薄翼の面上に発達する運動量厚さは剛体薄翼の運動量厚さと基本的な特性は同様であるが,その大きさは異なる.また,運動量厚さの傾向は各翼毎に翼弦方向に対して同様に増大する.さらには,弾性薄翼の運動量厚さは弾性薄翼に働く推進力とその傾向が一致した.
  • 乙黒 雄斗, 滝沢 研二, TEZDUYAR E. Tayfun, BUSCHER Austin
    セッションID: OS08-02-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    Micro Aerial Vehicle (MAV) における羽の形状はその柔軟な構造と空気力学的な影響により変形し、またその変形は回りの流れ場に影響を与える。この問題は流体構造連成問題と呼ばれている。本研究では、上下に配置された二枚羽を互いに接触させることで推進力を得る機構を対象とする。このようなトポロジーの変化に対応する流体計算手法はSpace–Time法の拡張として提案され、既に流れ場の計算を実現している。
    流体構造連成解析では、このトポロジー変化が構造解析の結果に依存することとなるが、本研究では、その前に構造解析に、計算された流れ場を用いて、羽根の接触計算手法を開発し、報告する。
  • 岡田 尚也, 滝沢 研二, 服部 均, Tezduyar Tayfun, 宮川 和芳, 斎藤 純夫, 磯野 美帆, 能見 基彦, 打田 博, ...
    セッションID: OS08-02-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    汚水ポンプでは、流れてきたタオルやおむつなどの異物が内部で回転する羽に絡まる
    場合があり、故障の原因となる。本研究では羽まわりの流体および異物の数値解析を行
    うことで物が後流に通過する指標を考案し、ポンプ開発の設計支援を行うことを目的と
    する。
    基礎検討として、空気管路内に設けた障害物と紐との接触時に発生する摩擦力の大き
    さを求めるための実験を行う。また、実験より摩擦モデルを構築し、その諸係数を測定
    する。最後に本モデルを用い、数値解析により紐の運動を計算し、実験との比較するこ
    とでモデルの確からしさを検証する。
OS09 構造最適化の理論と応用
  • 山本 憲司
    セッションID: OS09-01-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    単層ラチスシェルの座屈荷重と曲面形状の関係は必ずしも十分明らかになっていない。ライズが高いほど座屈荷重が大きくなるという傾向は良く知られているが、曲面の微妙な曲率の変化が座屈荷重に及ぼす傾向などは分かっていない。そのため座屈挙動は与えられた形状を解析する事で理解されるが、その結果が構造形状にフィードバックされることは少ない。一方で、最適設計法や感度解析法を適用することで座屈荷重を上昇させるような形状修正を行うことができる。しかし、一般的な構造解析ソフトにそのような機能を持っているものは少ない。 本研究は、単層ラチスシェルの線形座屈荷重を増加させるための形状修正の分布を座屈モードのみから簡便に作成する方法を提案する。単層ラチスシェルの線形座屈荷重の節点座標に関する感度解析を行い、感度係数の分布を調査した。その結果、座屈モードのz方向成分の絶対値の分布が、感度係数の分布と良く似ていることが分かった。この傾向を利用して、簡単に線形座屈荷重を上昇させることができることを示す。
  • 吉田 史郎, クイン ゲイリー
    セッションID: OS09-01-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    形状最適化の究極の目標は,与えられた境界条件,荷重条件の下,応力分布の標準偏差がゼロになる(全ての部材で同じレベルの応力が発生する)事である.
    通常,設計者は標準的な設計基準に基づいて,各部の応力が許容レベルを超えないように設定する事により,形状を最適化したものとして作図する.
    しかしこの過程で全ての選択肢を比較対照している訳ではなく,厳密な意味で最適化しているという保証はない.
    そこでこの目標に向かって位相・形状最適化ソフトが開発され,着実に普及しているが,従来部品と較べて飛躍がある形状が出力される.
    ここでは,最適化出力を解析解との比較, 3D-Printerによる視覚化によりベテラン設計技術者の共感が得られた事例を報告する.
  • 岩月 脩, 大崎 純, 江口 範高, 渡邊 秀和
    セッションID: OS09-01-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    骨組構造の地震応答を低減する新しい構造システムである,ロッキング機構を有する柔軟な支持構造のためのトポロジー最適化手法を提案する。まず,支持構造の全部材外径および節点座標を設計変数として,応答スペクトル法を用いて表される屋根最大変位を目的関数とした非線形計画問題を解く。さらに,屋根変位制約のもとで,全部材体積を最小化して,少ない部材で構成される基礎構造を求める。その際,自重による変位,固有周期に加えて,基礎が建物と逆方向にロッキング振動する2次固有モードが卓越するように,刺激係数に関する制約を与えることが有効である。応答スペクトルに適合する複数の地震動を入力した時刻歴応答解析により,最適解は,ロッキング機構としての機能を有することと,屋根変位および加速度の応答低減効果を確認する。また,許容応力度計算を行い,支持構造部材が十分な耐力を有することを確認した。
  • 福島 功太郎, 大崎 純, 見上 知広
    セッションID: OS09-01-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    建築骨組の耐震補強において,FRPブロックを利用すると,工場で生産して容易に既存骨組に取り付けることができるので,工期とコストを短縮することができる。しかし,現状では,補強の際に必ずしも周辺の既存骨組への影響が十分に考慮されていない。本研究では,FRPブロックの設置による既存骨組部材への影響を低減するための形状最適化手法を提案する。既存骨組の梁,柱およびブロックの部材を梁・柱要素でモデル化し,軽量性,剛性,既存骨組との接触力,ブロック間の接触力などを考慮した最適形状を,非線形計画問題を解いて求める。さらに,最適化後のモデルと典型的な形状のデルを比較することで、最適化の効果を考察する。その結果,最適化によって,ブロックの特性を改善でき,さまざまな形状とトポロジーを有するブロックを創出することが可能であることを示す。
  • 澤田 樹一郎
    セッションID: OS09-02-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、剛な板のトポロジー最適化問題にフーリエ逆変換と実数コードGAを適用することにより、チェッカーボードパターンやメッシュ依存性の解決だけでなく、トポロジーの複雑さも制御可能な方法を提案するものである。本稿では、平面応力状態を仮定した2次元板の総体積制約下での荷重点変位最小化問題を対象とする。最適化手法にはヒューリスティック交叉による実数コードGAを用いる。フーリエ逆変換関数の最小波長を変化させた計算例を示し、これがトポロジーの複雑さの制御に与える影響を考察する。また、要素分割数の異なる計算例も示し、メッシュ依存性についても考察する。
  • 山下 翼, 澤田 樹一郎
    セッションID: OS09-02-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    2次元連続体のトポロジー最適化問題に関する多くの方法において、最適化手法に遺伝的アルゴリズムを用いる場合、各要素の存在の有無を0と1(バイナリコード)で設計解表示することがよく行われる。しかし、この方法では特別な工夫をしない限り、解がチェッカーボード状になることが既往の研究により示されている。これに対して、本論では、設計解の逆フーリエ変換表示を用いる方法を提案し、その有効性を数値計算により確認する。2次元板を対象とし、柔な板を得る降伏変位最大化問題を取り上げる。最適化手法として、ヒューリスティック交叉を用いた実数コード遺伝的アルゴリズムが用いられる。
  • 陳 沛山
    セッションID: OS09-02-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本論は,単層スペースフレームの最大座屈荷重を目的とする最適化手法を紹介する.また,連続体シェルの最適形態(最大座屈荷重形態)はその初期不整に敏感するため座屈荷重が低下することが指摘された.ことに対して,本論は,ラチスシェルの最大座屈荷重形態はその初期不整に敏感しない可能性についての研究課題を提起する.さらに,数値解析例を用いて,単層スペースフレームの最大座屈荷重形態はその初期不正に敏感しないことを証明する.
  • 田畑 正幸, 二瓶 光希, 山川 誠, 立花 正彦, 深澤 協三, 中村 拓造, 山内 泰之
    セッションID: OS09-02-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    地震時の中低層建物の建物応答低減のために、ばね鋼と低降伏点鋼を用いた新たな形式の弾塑性ダンパーを提案する。本ダンパーの主な特徴は1)引張側と圧縮側で非対称挙動を示すこと、2)引張側変形の増大によりハードニング効果が見られることにある。本ダンパーでは、ばね鋼が弾性範囲内に留まることで一定の剛性を保持し、低降伏点鋼を塑性変形させることで履歴減衰が得られる。新たな形式のダンパーでは、復元力特性のモデル化、有効な配置量・配置方法が明らかではないことが問題となる。このような問題に対し本研究では、最適化手法適用の有効性を調べる。1) Ozdemirモデルとして知られる塑性論に基づく復元力特性モデルを拡張し、必要となるモデルパラメータを最適化手法により決定し、2) 最適化手法に基づき構造物の地震時応答低減に有効な配置量・配置方法を見出す方法を提案する。
OS10 CAE を利用した建築設計・生産の合理化
  • 水島 靖典, 伊藤 拓海, 木下 拓也, 鈴木 琢也, 鈴木 比呂子, 西村 康志郎, 藤田 皓平, 前 稔文, 山川 誠, 渡邊 秀和
    セッションID: OS10-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    従来、構造力学の理解を手助けするものの多くは、書籍によるか、実験をはじめとする実体験であった。またこれらのほかにコンピューターによる構造解析(シミュレーション)も挙げられる。しかしながら、このコンピューターによる構造解析では、複雑な入力システムを経て解析が実行され、その結果の出力は専門知識を持っていなければ直感的に理解しがたいものであった。ところで、近年ではスマートフォンを中心とした高性能な携帯型情報端末が普及してきている。これらの機器はタッチパネルなどの直感的なインターフェースを有しており、人とコンピューターの関わり方に大きな変化をもたらす可能性がある。そこで本報告ではこれらの携帯型端末の構造解析利用を念頭に置き、建築構造を学習する学生に対してアンケート調査を行い、その結果を基に今後の構造解析インターフェイスの方向性について検討を行う。
  • 藤田 皓平, 山川 誠, 鈴木 琢也
    セッションID: OS10-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    コンピューターの演算能力が著しく向上した現代においては,プロセッサの小型化に伴い高性能な携帯型情報端末(スマートフォン,タブレットなど)が広く普及してきている。このような携帯型情報端末は,タッチパネルによる直感的なインターフェースや,種々のセンサーを有していることが特徴であり,人と計算機としてのコンピューターの関わりが変化してきている。建築分野においても,専門技術者である意匠設計者や構造解析者の相互コミュニケーションや,技術者と建築物のエンドユーザーである一般の人々を結びつけるためにこれらのデバイスや先進的な情報技術(IT)リソースの活用法が模索されている。本稿では,構造性能や耐震安全性といった専門性の高い情報を,より広く一般の人々に周知することを目的として,携帯型情報端末の特徴を生かした建築構造解析アプリケーションを開発し,その適用性について検討する。
  • 有限要素法解析による最適補修法の選定
    宗村 大翔, 松本 健, 森 健士郎, 佐藤 華子, 伊藤 拓海, 崔 彰訓
    セッションID: OS10-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    近年,被災建物に対する修復性の議論が始まっており,修復性を志向した設計法の確立と整備が進められている。鋼部材を対象とした先行研究において,既往の補修方法の一つである箱型補修法を用いた場合,耐力は向上するが,亀裂や破断で決まる終局限界耐力を上回ることを確認している。さらに,局部座屈でフランジが面外変形した場合,補強プレートとフランジ板の間に隙間が生じると,箱型補修法では溶接施工が困難になることがある。そこで,補強プレートとフランジ板の溶接を,連続溶接ではなく,部分溶接による方法を提案し,実験・施工計画を立案する。本稿では,試験体の設計と修復施工計画のための予備解析を目的として,有限要素法解析による検討を行う。先行研究で観察された局部座屈性状に基づいて解析モデルを設定し,部分溶接における溶接長さ,間隔を解析変数とし,補修後の剛性・耐力を制御するための溶接条件を求めた。
  • 木下 拓也, 水島 靖典, 玉井 勝士, 平 将次郎
    セッションID: OS10-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    最適化アルゴリズムを利用した建築施工プロセスの合理化手法について検討を行う。一般的なRC造建物の床スラブ構築時には、コンクリート強度が十分発現するまで支保工(サポート部材)を長期間残置させる必要がある。このような支保工残置位置は、これまでは簡易な構造的検討に基づいて定められてきたため、比較的大きな安全率を見込まなければならなかった。本提案では、3次元有限要素解析により、スラブに生じる曲げモーメント等の応答を詳細に評価する。さらに、多目的遺伝的アルゴリズムを用いて、各施工ステップにおいてたわみとひび割れモーメントを許容値以下としながら、かつ残置支保工の数を最小とするような配置パターンを求め、施工プロセス合理化を図る。
  • 新治 若奈, 山川 誠, 吉中 進
    セッションID: OS10-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    空間構造の振動制御におけるTuned Mass Damper(TMD)の設計では、装置特性と空間的配置の両方を決定しなくてはならない。このようなシステムの最適設計は、混合整数計画問題として定式化され、大域的最適解を求めることは一般的に困難である。ただし、大域的最適解は実務的には必ずしも必要とされず、性質の良い局所解が求まれば十分なことが多い。本論では、停止規則に順序統計量を利用したPure Random Search(PRS)と、局所探索法を組み合わせることにより、事前に割り当てられた精度を満たすことが確率的に保証された最適化手法を提案する。アーチフレームモデルを対象とし、周波数応答解析におけるピーク応答値を低減するようなTMD設計を数値例として扱う。定点理論に基づく既往の方法と比較し、提案法の有効性を調べる。さらに、空間構造の振動モード制御において、有効なTMD配置の特徴を考慮する。
  • 黒川 雄太, 鈴木 琢也, 木下 拓也
    セッションID: OS10-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    鋼管トラス構造の継手耐力については,様々な形状の継手耐力の算定式が「鋼管トラス構造設計施工指針・同解説」にまとめられている.  このうち,立体分岐継手に分類されるKK継手の適用条件は,構面に対して対称とされており,構面について非対称の継手は適用範囲外となっている.一方で,意匠的な観点から,大屋根の縁の軽快さを強調したい場合など,非対称KK継手となることが多い.しかし,現状の指針の適用範囲外となるため,実験や解析的な検討が必要となり,容易には実施設計に用いることができないのが現状といえる.そこで,本報においては,有限要素法解析により非対称KK継手の接合部耐力を解析的に検討し,非対称性が継手耐力に与える影響を把握することを目的とする.非対称KK継手の耐力評価を行い,対称継手の耐力との比較を通して,非対称性の影響を確認する.さらに,非対称KK継手の設計を行う場合の評価方法について提案を行う.
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