理論応用力学講演会 講演論文集
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OS1 計算力学におけるマルチメソッド・新手法開拓 (1)
  • 嶋田 宗将, 西口 浩司, 岡澤 重信, 坪倉 誠
    セッションID: OS1-1-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    構造変形に関する数値解析手法の1つとして,オイラー型解法が挙げられる.オイラー型解法は,空間固定の変形しないオイラーメッシュを解析に利用する手法であり,次の3つの利点が存在する.第一に,メッシュ再生成が不要であると同時に,メッシュ破綻が根本的に生じず,大変形や破断を伴う解析に適している.第二に,計算メッシュ生成が高速かつ容易である.第三に,超並列計算機環境で高い並列化効率を得やすい. 一方で,既往のオイラー型解法においては,移流方程式を扱うことによる,固体界面や固体内部変数の数値拡散が避けられないという問題を抱えていた.そこで,著者らは固体界面と固体内部変数の数値拡散を回避するため,固体領域にマーカー粒子を配置したオイラー型構造解析手法を提案し,その有効性を確認した. 本発表においては,著者らが開発した手法をもとに,塑性変形や破断を含む構造の大変形を扱うための手法を提案する.

  • 伊本 咲矢, 篠田 飛勇, 松井 和己
    セッションID: OS1-1-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    本論文は、マルチスケールモデリングにおける微小構造の異方性を、マクロな損傷進展と関連付けて研究する。一般に、FE2シミュレーションで想定される微小構造物(RVE)はマクロ的に異方的な応答を与えるため、延性破壊のマクロ的な強度への影響を評価する必要がある。マクロな応力状態だけでなく、応力軸とミクロな軸のずれを異方性として変化させ、ある応力状態に対するマクロな応答の変化を、従来のFE2シミュレーションで評価する。

  • 松原 成志朗, 星 亮吾, 永島 壮, 奥村 大
    セッションID: OS1-1-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    クリースは圧縮負荷が作用する弾性体の自由表面上で鋭い溝のような変形として発生する.クリースは弾性体の自由表面上で伝播して脳のしわなどに見られる特徴的なパターンを形成する.クリースの伝播は,直前のクリースが形成する不均質な変位場がトリガーとなると予想されるが,詳細なメカニズムはわかっていない.また,各々のクリースには固有間隔が存在し得るものの,これを決める要因についてもわかっていない. 本研究では,V字型欠陥を有するに対して二つの異なるアプローチでクリースの発生と伝播の有限要素解析を実施し,逐次的なクリースの発生機構と固有間隔を規定する要因を明らかにする.

  • 集路 幸正, 三目 直登, 柴沼 一樹, 森田 直樹
    セッションID: OS1-1-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    重合メッシュ法とは、対象の全体領域を粗く解像するグローバルメッシュと、関心領域を詳細に解像するローカルメッシュを重ね合わせて解析を行う手法である。ローカルメッシュを用いた局所的な詳細化により、従来の有限要素法に比べ計算コストを削減できる点で優れ、船舶で発生する亀裂進展解析での適用が検討される。三次元での亀裂進展解析は、湾曲した亀裂前縁形状の詳細な表現のため要素数が増大し、重合メッシュ法を用いてもなお時間を要する大規模問題となる。実用性の観点から並列化が解決策の一つとなるが、重合メッシュ法では一部のメッシュに高精度な数値積分が必要なため計算負荷が均一にならず、並列計算性能が低下する。本研究では、再帰的数値積分を用いた重合メッシュ法に対し、各節点に要する計算時間を領域分割時の重みとして考慮することで、適切な計算負荷の均一化を目指す。提案手法は、三次元球孔を有する弾性問題を用いた性能評価を行う。

OS1 計算力学におけるマルチメソッド・新手法開拓 (2)
OS1 計算力学におけるマルチメソッド・新手法開拓 (3)
  • 金子 栄樹, 吉村 忍
    セッションID: OS1-3-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    本研究は移動境界を有する流体解析のための固有直交分解を用いた次元削減法に関するものである。対象となる解析システムはArbitrary Lagrangian–Eulerian (ALE)法にもとづいている。このシステムでは、移動境界上においてメッシュ速度が流速の基本境界条件として付与される。ゆえに基本境界条件は刻々と変化する。我々はこのような可変の基本境界条件を正確に課すことができるような次元削減手法を提案した。提案手法は古典的な流体剛体連成問題に適用された。結果、精度を保ちつつ自由度数を1%以下に削減することができた。

  • 三目 直登, 常見 隆幸, 大村 浩之
    セッションID: OS1-3-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    本研究は半陰解法ベースの粒子法である Incompressible Smoothed Particle Hydrodynamics (ISPH) のための、高精度 Ghost Cell Boundary (GCB) 壁境界モデルの開発を行う。GCB モデルは、壁を表現するメッシュを粒子法の壁境界計算に直接用いることができるため、メッシュベース法との連成解析に適した手法である。しかし、従来の GCB モデルは、壁に関する境界条件の扱いが厳密ではなく、精度面で問題がある。本研究では、粒子法における精緻な境界表現の一つである fixed ghost particle の考え方を GCB モデルの壁領域の積分計算に応用することにより、境界条件を精緻に取り扱うことを可能とした高精度モデルを提案する。また、静水圧問題による提案手法の検証を行う。

  • 棗田 智香子, 松井 和己, 多々見 純一, 山田 貴博
    セッションID: OS1-3-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    セラミックスの焼成シミュレーションは,変形や応力を予測するために必要である.本研究では,焼成を伝熱-構造の連成問題としてとらえて新たなシミュレーションモデルを提案する.熱による変形と応力による変形を独立なものとして扱い,さらにそれぞれを可逆成分・不可逆成分に分解する枠組みで構成則を定式化する.熱的不可逆成分にはMaster Sintering Curve(MSC)を,機械的不可逆成分にはPericの粘塑性モデルを適用する.MSCにより焼成対象の内部に温度勾配があっても変形挙動は1つのマスターカーブで表現できるので,モデルのパラメータ同定に必要な材料実験はわずかとなる.本モデルを汎用シミュレーションソフトANSYSにユーザーサブルーチン機能(UPF)を用いて導入してシミュレーションを実施する.一軸圧縮下の焼成について,シミュレーション結果と実現象を比較して,本モデルの妥当性を示す.

  • 山田 貴博
    セッションID: OS1-3-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    ゴム等の高分子材料や生体軟組織では,体積剛性がせん断剛性に比べて極めて大きい微圧縮性あるいは体積変形が生じない非圧縮性が観察される.非圧縮性は,微圧縮性において体積弾性係数を無限大とした極限と考えることができる.動的問題の数値計算手法を検討する上では,体積変形の伝播であるP波速度の取り扱いに注意が必要であり,微圧縮性から非圧縮性への漸近挙動を理解することは重要である.しかしながら,このような微圧縮性から非圧縮性への漸近挙動については,不明な点が多い.本研究は,筆者が提案する微圧縮から非圧縮まで適用可能な動的問題に対する有限要素解析手法を用いた数値計算により,微圧縮性の解の非圧縮性の解への漸近挙動を検討するものである.

OS1 計算力学におけるマルチメソッド・新手法開拓 (4)
OS2 建築構造における強非線形問題 (1)
  • 山下 拓三, 藤原 淳, 宮村 倫司
    セッションID: OS2-1-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    大規模詳細FEMによるRC構造物の地震応答解析に適用するためのコンクリート構成則を開発して,立方体形状のモデルで繰返しの軸方向載荷,せん断方向載荷での挙動を確認した.続いて,部材実験の再現解析を実施して,実験との対応を確認した.最後に,開発した材料構成則を用いて実大10層RC実験の解析を実施した.

  • 太田 和揮, 村本 真
    セッションID: OS2-1-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    近年,木造柱の座屈荷重を再評価する研究がいくつか報告され,安全係数や建築基準法上の制限値の根拠を調べている.圧縮荷重についての報告はあるものの,木造柱の圧縮実験における静的つりあい経路を予測するための構成則モデルは十分には確立されていない.そこで,本研究では,木造柱の圧縮荷重を求め,つりあい経路を追跡するための新しい解析モデルを提案した.このモデルは剛体柱と鉛直方向の弾塑性ばねからなる単純柱モデルに木材の異方性を考慮した水平ばねを加えたモデルである.水平ばねがない従来の単純柱もでるの場合には,鋼柱の座屈荷重を正しく予測できるが,木材柱の場合には必ずしも良好な予測とならない.木材柱の中心圧縮実験と偏心圧縮実験の数値解析を通して,この新しいモデルが従来の単純柱モデルより木材の座屈荷重を正しく予測することを示した.

  • 堀 昭夫, 江島 ありさ
    セッションID: OS2-1-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    著者らは,剛性マトリクスの固有値操作を昨年に提案している。固有値操作は,負固有値をもつ固有ベクトル方向に不釣合力を拡大することができる。もし1次の釣合式の意味するものが不安定釣合点であったならば,固有値操作を行い,1次の釣合式から離脱させるのは1つの対処法になる。

     本報では,①固有値操作を提案した背景について述べ,②最も単純に近い倒立棒のモデルにおいて1次の釣合式が不安定釣合点を目指してしまう場合があることを述べる。また,4つのバイリニアばねを持つ片持柱モデルの塑性座屈の解析例を示して,①複数の負固有値があったが固有値操作が有効に機能したこと,②固有値操作しない場合には荷重不整と逆方向に座屈して不安定釣合経路に入ったこと,などを述べる。

OS2 建築構造における強非線形問題 (2)
  • 大塚 貴弘, 元結 正次郎
    セッションID: OS2-2-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    鋼構造骨組の崩壊挙動を追跡する場合、部材の局部座屈挙動を精度良く評価することが不可欠である。著者らは局部座屈の影響を軟化特性として評価した合理的な梁要素モデルを提案したが、塑性進展に伴うひずみ硬化の影響は無視したものであった。そこで、本研究ではこれまでに提案したモデルに対してひずみ硬化を考慮するように拡張し、定式化を行う。まず、自由エネルギーから熱力学に基づき塑性流れ則や接戦剛性を導く。次に材料レベルの硬化則から部材レベルの降伏関数および硬化則を求める。最後にひずみ硬化を考慮した場合の局部座屈による軟化則を求める。

  • 伊藤 拓海, 仁科 槙太朗
    セッションID: OS2-2-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    圧縮材は、曲げ座屈による不安定現象が生じ、座屈後は耐力と剛性が急激に低下し、塑性変形が進行した後、座屈後安定耐力に達する。本研究は、座屈後の大変形領域における塑性耐荷機構や復元力特性に関して、実験結果に基づいて塑性ヒンジによる簡易な解析モデルを提案し、その有効性と適用性を検討している。さらに、座屈後挙動の力と変形の関係式に対して、座屈後の安定耐力と細長比の関係を定式化している。MSばねによる弾塑性増分解析と実験結果の比較より、解析モデルの適用性と妥当性を示している。また、曲げー軸力と細長比の関係を示し、塑性ヒンジ部の耐力を考察している。提案手法による座屈後安定耐力と、各種設計指針等の設計式と比較し、その有効性を示している。

  • 熊谷 知彦, 中野 雄介
    セッションID: OS2-2-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    空間構造物へのTMDの適用に関して,TMDの応答低減効果は対象構造物の自由振動特性の影響を受けることが明らかとなっている。一方で,大地震時に制御対象構造物の部材が降伏した場合においては,その固有周期が伸び,モード形状が変化することで,TMDによる応答低減効果が低下する可能性が考えられる。そこで本研究では,多重TMDにより地震応答を制御する際に,構造物が弾塑性応答を呈する際の応答低減効果について検討している。対象とするのは,スパン36mの屋根型円筒ラチスシェルである。TMDは,変位応答の卓越する上位3モードを制御対象として,最適条件式に基づいて設計する。その結果,地震動強さλEによらず最大鉛直応答を低減可能であり,初期降伏を発生する地震動強さλEyは大きくなること,λEの増大に伴って非制振時に発生する非対称変形は,TMDを設置することで抑えられること等が得られた。

  • 前田 貴仁, 西本 篤史, 荒木 慶一, 福田 伊織, 五十子 幸樹
    セッションID: OS2-2-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    本研究では単純な三次元立体骨組みモデルを対象に、頂点節点に準静的繰返し強制変位を与えて増分解析を行うことで、幾何非線形効果の定式化が応答予測に及ぼす影響を評価した。本研究で得られた知見は以下の通りである。 1. 柱軸力の変動を考慮した幾何非線形効果の定式化を行わないと、漸増ねじれ挙動を見逃す危険性がある。つまり、柱軸力の変動に伴う幾何非線形効果の変動が、漸増ねじれ挙動の主たる要因の一つである。 2. 短辺・長辺の両方向の梁が塑性化する入力方向の場合のみ、漸増ねじれ挙動が観察された。このことより、短辺・長辺の両方向の梁の塑性化が、漸増ねじれ挙動の主たる要因の一つである。

OS2 建築構造における強非線形問題 (3)
  • 原田 勇志, 嶋川 雄平, 徳永 大地, 村田 賢, 元結 正次郎
    セッションID: OS2-3-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    鋼製下地在来工法天井において用いられる吊りボルトを対象として、鉛直加振実験および水平加振実験が行われ、吊ボルトがもつ非線形性による動的不安定挙動が観測された。本報では吊りボルトの動的不安定挙動を再現するための数値解析モデルを提示し、実験結果との比較から、解析モデルの妥当性を示す。実験では、はじめに自由振動実験を行い、試験体の固有振動数を求めてから、スイープ波による鉛直・水平加振を行った。数値解析モデルは吊材を梁要素で表現している。吊材質量を分布質量とし、天井面質量を集中質量として与えている。なお、水平加振実験においては圧縮側に現れた高周波成分を表限するため、偏心を有するハンガー要素を与えている。これにより、実験結果を成分ごとに精度よく再現できていた。このことから、本報の数値解析モデルは吊ボルトがもつ非線形性による動的不安定挙動を精度よく再現できることを示した。

  • LI MINHUI, 元結 正次郎
    セッションID: OS2-3-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    中国式天井については独自に研究しなければならない。このような背景のもと、同済大学と東京工業大学は2019年に共同で振動台実験を企画・実施している。試験体は平面形状を持つ中国式グリッドシステム天井であり、天井の周囲には壁を想定した鉄骨梁を配置し実状に近い境界条件を再現したものとなっている。この実験では天井と周囲の鉄骨梁間の耐震クリップ部においてすべり・衝突など基本的な挙動が確認されているものの、実験での限られた計測点における結果のみでは天井の動的挙動の実態を明らかにすることは困難である。 そこで本研究では、当該実験を高精度で再現しうる数値解析モデルを構築することを目的としている。

  • 笹原 大樹, 櫻庭 記彦, 元結 正次郎
    セッションID: OS2-3-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    石こうボードのモーメント曲率関係に、鋼材でみられる降伏によく似た挙動が現れたと指摘する既往研究があるが、そのメカニズムについては不明である。本研究では、石こうボードの石膏と原紙が、RC部材のコンクリートと鉄筋の関係に類似している点に着目し、RC部材の非線形な曲げ剛性挙動を評価する方法として、しばしば用いられるファイバーモデルを、石こうボードの断面解析に適用した。石膏と原紙の材料特性は、石こうボードの引張および圧縮試験から得る。石こうボードの断面解析結果が、実験で得られた面外曲げモーメントと曲率の関係を高精度に再現できることから、ファイバーモデルによる石こうボードの断面解析の有用性が示された。

  • 水野 翔太, 櫻庭 記彦, 元結 正次郎
    セッションID: OS2-3-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    本報では、部分的にボードが張られていないLGS壁を対象として実施した実験を高精度で再現するための数値解析モデルを提示し、その妥当性を実験結果との比較を通して明らかにする。

    数値解析モデルはLGS壁における鋼製下地材のスタッド材をシェル要素で、ボードおよびビスを梁要素で表現し、さらに接触・離間現象を再現するダミー要素(梁要素)をスタッド・ボード間に配したものとなっている。また、実験結果と直接的な比較をするために計測のための変位計ワイヤーもトラス要素にてモデル化している。

    荷重変位関係のみならず巻尺式変位計のワイヤー伸縮量についても同一の考え方に基づく数値解析モデルを用いることで、条件の異なる複数の実験結果を精度よく再現可能であることを示した。このことは、本数値解析モデルが曲げ捩り変形を伴うスタッドの横倒れ挙動を高精度で追跡可能であることを示すものであり本数値解析モデルの妥当性を示すものである。

OS3 レジリエンス構造設計(1)
  • 明橋 弘樹, 竹脇 出
    セッションID: OS3-1-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    長周期長時間地震動を模擬した擬似マルチインパルス(擬似MI)を用いて、弾塑性高層建物の長周期長時間地震動に対するレジリエンス評価を行う。擬似MIを用いると繰り返しなしでインパルス極限的タイミング(共振周期に相当)を取得できるため、弾塑性共振応答の導出に優れた方法である。1, 2次モードに共振する場合で、構造体及び設備要素の被害傾向は異なる。またダンパーによる付加減衰はレジリエンス性能の改善に大きく寄与し、復旧作業人員数の不確実性が復旧時間に及ぼす影響を低減する。さらに設備システムに冗長性を持たせることは建物のレジリエンス性能の向上に一定程度有効である。

  • 中西 海斗, 小島 紘太郎
    セッションID: OS3-1-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    断層近傍で観測されるフリングステップパルスをダブルインパルスで近似し,入力エネルギーを最大にする極限的ダブルインパルスに対する球面すべり支承を有する中間層免震建物の免震層最大変形と地震動の振幅を表すインパルス速度振幅の関係を求める.極限的ダブルインパルスに対する免震層最大変形に上部構造と下部構造の質量比,剛性および免震層周期が及ぼす影響について考察する.また,フリングステップパルスの実地震動に対する応答との比較から,ダブルインパルスを用いた解析手法の妥当性を検証する.免震層の機能損失による脆弱性を防ぎ,免震建物のレジリエンスを向上させるためには,大振幅かつ最も危険性の高いパルス周期の地震動に対して,免震層が限界変形を超えないように設計する必要がある.極限的ダブルインパルスに対する免震層最大変形とインパルス速度振幅の関係は,対象免震建物が機能を維持できる地震動レベルを効率的に評価可能である.

  • 鈴木 琢也
    セッションID: OS3-1-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    超高層建物には,免震構造や制振構造など,耐震要素のエネルギー吸収が耐震性の重要な指標となる構造形式においては,繰返し回数や制振要素の吸収エネルギーなど,地震動によって建物に入力されるエネルギーが設計上重要となる。しかし,現行の告示スペクトルによる方法によって作成された地震動がどの程度の入力エネルギーが担保されているかについては不明な点が多い。本研究においては,告示スペクトルに適合する地震動のエネルギースペクトルがどの程度変化しうるかを解析的に確認した。その結果,加速度応答スペクトルによる規程のみでは,エネルギースペクトルの小さな設計用地震動が作成できる場合があり,設計者の想定よりも低いエネルギースペクトルとなっている可能性があることが確認された。

OS3 レジリエンス構造設計(2)
  • 渡井 一樹, 曽根 孝行
    セッションID: OS3-2-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    免震構造は、免震層に生じる大きな変形を利用することで、免震層に設置する減衰装置だけで比較的容易に高い減衰性能を得ることが可能である。しかし、免震構造を高減衰化すると、免震層が動き難くなることから地震力が上部構造に伝わりやすくなり、加速度応答の増大を招いてしまう。昨今懸念されている極大地震に対しては、これまで以上に高減衰化することで免震層変位を設計クリアランス以内に制御することが有用であるものの、上記の問題を如何に克服するかが課題とされている。そこで、本論文では、免震層変位への影響が大きい1次モードを高減衰化しながら、上部構造の応答加速度を増大させる要因となる2次モードの減衰定数の増加を抑制する高減衰免震構造を提案する。

  • 谷 翼
    セッションID: OS3-2-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    水害に対するレジリエンスを高めた建物として、浮力により浮上する建物の提案が行われている。地球温暖化に伴う降水量の増加に対し、対応可能な浸水深を容易に調整できる有用なシステムと言える。しかし、浮上している状態は安定しているとは言い難く、真にレジリエントな建物とするには、周囲の水が建物に及ぼす種々の影響を考慮する必要がある。水流や水圧等による水平方向の外乱に対する検討が重要であることは容易に想像ができるものの、それ以外の状況に対しても慎重に検討を重ねなくてはならない。

    そこで本稿では、段波によって水面に生じる不陸が浮上している建物に与える影響について検討を行う。段波の進行に合わせて建物に浮力を与え、鉛直方向の変形が一様でなくなった場合を模擬した解析を行い、建物に生じる力や変形について考察している。水平方向への検討だけでは十分な安全性を確保できないことを示す。

  • 中島 朗人, 朝川 剛, 原澤 浩穀
    セッションID: OS3-2-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    本研究の目的は、木造軸組構法住宅の構造判定システムを開発することである.

    取り付けた加速度計から得た地震時計測データを基に,固有周期,層間変位,層間変形角を求め,それらを長期的なスパンで比較していくことで,住宅の地震後の損傷と経年による構造的老朽化を判定するシステムを提案する.

    これらは、住宅の耐震性や持続可能性を確保するのに役に立つと考えられる.

    また同システムの開発により既存住宅における構造的老朽

    化の判定を明確にし,中古住宅を流通する際の構造的不安を解消することで,今後の需要増加が見込める中古住宅の流通を促進し空き家問題の解決,そして経済規模の拡大に貢献することも目的としている.

OS4 地盤力学における数値解析 (1)
  • 藤澤 和謙, 小西 亜実, 福元 豊, 村上 章
    セッションID: OS4-1-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    砂の表面に作用する浸透力の評価は、土砂輸送や土の侵食を力学的な観点から考える上で重要となる。ここでは、格子ボルツマン法を利用し、砂の粒子で構成される間隙を流れる浸透流をシミュレートすることで、砂(砂塊)の内部と表面の浸透力を数値的に計算する。その結果は,均一な粒形を持つ砂を想定した場合、表面の浸透力は内部のそれよりも小さくなることを示した。

  • ニン ウショウ, 西村 伸一, 柴田 俊文, 珠玖 隆行
    セッションID: OS4-1-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    本研究はデータ同化方法を用いて広範囲で地盤の硬さを空間的に評価する方法を提案する。従来の地盤調査方法は不確かさを評価することが困難であるが、アンサンブルデータ同化はモンテカルロ法に基づいてモデルのパラメータの確率分布を近似的計算するため、定量的に不確かさを評価が可能である。本研究は表面波の初動を観測データとしてため池ダムの弾性係数の空間分布を推定する。精度を上昇するために条件付きシミュレーションを用いてより適切な初期状態を与える方法を提案した。数値実験ではこの方法による弾性係数の空間分布と観測データの再現性を検証した。アンサンブルアジャストメントカルマンフィルタでは観測データの分散, 即ち観測機器の精度が重要なパラメータとされるけれども、多数の調査方法では確定しにくい。このパラメータの影響についても検討した。

  • 山栗 祐樹, 小林 俊一, 熊 曦
    セッションID: OS4-1-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    一般に,地盤材料はせん断破壊することが知られている.支持力問題や斜面の安定問題など,古典的な地盤の安定問題はせん断による破壊のみが生じると仮定して解かれる.しかし岩盤や改良土の場合,せん断破壊以外にも引張破壊が生じる.また地盤材料の引張強度は圧縮強度よりもかなり小さいため,地盤の引張強度特性や引張破壊の影響を把握することは重要である.本研究では,著者らが提案した引張強度特性を考慮できる破壊規準を用いた混合型剛塑性有限要素解析を実施し,引張破壊が直立壁の安定性に及ぼす影響を調査した.その結果,地盤の引張破壊が生じることで直立壁の安定性が低下することや,従来の安定計算で用いられてきた円弧すべりとは異なる破壊メカニズムが得られることが分かった.

  • 山田 正太郎, 岡部 開, 京谷 孝史
    セッションID: OS4-1-05
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    本研究では,凝着による静止摩擦係数の時間的増大と動摩擦係数のすべり速度依存性を考慮した古典的な摩擦則を用いてスティック・スリップ運動の数値シミュレーションを行った.1自由度のバネ-マス系によって対象を理想化した.動的解析手法に1段2次の陰的Runge-Kutta法を採用し,stick/slip判定を含む接触力更新アルゴリズムを構築した.小型模型実験結果と数値シミュレーションの結果を比較することにより,以下のことを明らかにした.1) 構築したアルゴリズムを用いてスティック・スリップ運動の数値シミュレーションが安定的に行える.2) 凝着の発展を考慮することによって,垂直抗力,バネ剛性,ドライバの牽引速度がスティック・スリップ運動に与える影響を表現できる.3) 動摩擦係数が速度強化する場合に,不安定すべりから安定すべりへの遷移が生じ得る.

OS4 地盤力学における数値解析 (2)
  • 山野井 悠翔, 松尾 豊史, 山口 和英, 島村 真介
    セッションID: OS4-2-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    想定外事象である断層変位に対する損傷評価手法の確立を目的として,逆断層変位を受ける立坑を有するRCダクトを対象とした3次元非線形FEMによる損傷評価を実施した.構造物と地盤,及びその界面の破壊の相互作用を考慮するために,全て三次元ソリッド要素でモデル化し,ひび割れたコンクリートとせん断帯を含む地盤の非線形性を考慮した.遠心模型実験によりせん断帯が形成される地盤に対する構成モデルの妥当性を検証した後に,断層線とダクト軸の交差角が異なる4ケースの損傷モードを比較した.その結果,逆断層変位が与える水平圧縮とせん断に対して,屈曲部の曲げ損傷と断層交差ブロック端面の構造ジョイントのずれが支配的となることが明らかとなった.部材降伏以前であれば二次元モデルによる簡易化も可能であるが,構造全体系の終局状態を評価するには三次元実規模モデルが有効であることが示された.

  • 須藤 敦史, 五十嵐 隆浩
    セッションID: OS4-2-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    本研究は,宅地地盤における正確な被害確率算定

    のために,阪神大震災における水道管の地震損傷データ ,

    および 2011 年 3 月 11 日の東北地方太平洋沖地震,さらに

    2018 年 9 月 6 日に発生した北海道胆振東部地震における宅

    地被害の調査に基づいた考察および被害確率の試算を行っ

    ている.

  • 飛彈野 壮真, 山口 裕矢, 高瀬 慎介, 森口 周二, 金子 賢治, 寺田 賢二郎
    セッションID: OS4-2-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    MPMは斜面崩壊などの大変形を扱う解析手法として注目されている.斜面崩壊の誘因として雨水の浸透を対象とした場合,不飽和土の力学特性を考慮する必要がある.しかし,MPMなどの粒子法で不飽和土を対象とする場合,陽解法を採用しながら水の疑似圧縮性を仮定する場合が多い.この仮定により,非常に大きな水の体積弾性率を用いて間隙水圧を計算するため,その求解が不安定となる.また,CFL条件に水の体積弾性率が加わるため時間刻み幅が制約を受けるなどの不都合も生じる.これらの問題に対し,間隙水の非圧縮性を仮定してfractional-step法を用いる半陰的MPMが提案されており,計算コストの抑制や,間隙水圧の安定化も図れるといった効果が確認されている.しかしながら,不飽和土を対象としたMPMに関する研究は報告されていない.そこで,不飽和土を対象とする半陰的MPMを開発し,その性能を検証することを目的とする.

  • 外里 健太, 森口 周二, 寺田 賢二郎
    セッションID: OS4-2-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    事前に実施した数値シミュレーション結果を活用して,豪雨に広域土砂災害の即時予測を可能にする枠組みについて提案する.本研究では,浸透解析,地表流解析,3次元極限平衡法を用いた斜面安定解析を実施することで土砂災害危険度の評価を行う.降雨の条件を複数変化させて事前に計算を行い,浸潤面深さの空間分布と安全率の空間分布についてデータベースを構築する.それらのデータベースに対して,固有直交分解とKrigingを適用することで,安全率の空間分布を低計算コストで表現可能な代理モデルを構築する.本研究では,実地形データに対して提案手法の適用を行い,その妥当性を検証した.得られた結果から,提案手法が,広域斜面災害の即時的なリスク評価に対して,有効な手法になりうることを確認した.

OS4 地盤力学における数値解析 (3)
  • 松田 達也, 田村 謙太郎, 上田 竜也, 内藤 直人
    セッションID: OS4-3-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    本研究では,津波による防波堤の破壊メカニズムを解明するため,大変形問題に適用可能である個別要素法を用いた高精度シミュレータの開発を目的とし,縮尺模型実験の再現解析を通して,解析精度を検討するとともに,捨石マウンドの形状を変化させて,ケーソン-捨石構造の破壊メカニズムを分析した.その結果,捨石マウンドの肩幅が狭い場合はケーソンが滑動限界に達したのち,即時に水平荷重の低下が見られた.一方で,肩幅が広い場合は,ケーソンが滑動限界に到達した後も,水平荷重を一定に保つように荷重-変位関係が推移することがわかった.また,水平荷重が低下する際は,ケーソン後趾後方の捨石マウンドにおいて発生したすべり塊が一体となって変状する状態を示している可能性が示唆された.

  • 高坂 晏志, 内藤 直人, 松田 達也, 木村 絢, 前田 健一, 難波 正和
    セッションID: OS4-3-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
    会議録・要旨集 フリー

    降雨等により斜面表層土が飽和状態に至る前の不飽和状態で小規模な崩壊が発生することがあり,その土砂流入を防ぐために 斜面法尻に待受け対策工が設置される場合がある.対策工を経済的に設計,維持管理するために土砂の流下挙動や衝撃力の発生メカニズムを解明することが求められている. 本研究では,不飽和土の粘着力を考慮した崩土の斜面流下挙動を数値解析で再現することを目的に,粒子間の付着・再付着が可能な接触モデルを導入した個別要素法(以下 DEM)を提案し,実規模で行われた土砂流下実験の再現解析を実施し、異なる付着影響半径を与えたときの最終堆積形状について比較・検討を行った.

  • 坂本 寛汰, 山川 優樹
    セッションID: OS4-3-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
    会議録・要旨集 フリー

    地盤材料の構成モデルとして幅広く用いられているCam-clay モデルを有限変形に拡張する際,変形勾配テンソルの乗算分解に基づいて新たな局所中間配置を導入することにより,合理的に非線形回転硬化をモデルに組み込み,地盤材料の誘導異方性を適切に表現することができる.さらに,下負荷面の概念を組み合わせることで,体積収縮/膨張応答を伴う複雑な硬化/軟化を再現することができる.本研究では,繰返し負荷における有限変形・回転硬化下負荷面Cam-clayモデルの基本的な特性について,とくに回転硬化の挙動に着目して回転硬化に関する係数の変化によるモデル挙動の変動の傾向を確認した.解析の結果,サイクリックモビリティを表現することができたが,改善点もみられた.

  • 上田 晃義, 山川 優樹
    セッションID: OS4-3-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
    会議録・要旨集 フリー

    超弾性構成則は,有限ひずみ理論に基づく弾性構成則において,合理的な表現や数値計算の簡便性といった観点で有用な構成則である.地盤材料に特徴的な弾性特性である,体積弾性係数やせん断弾性係数の圧力依存性を考慮した超弾性モデルが既往研究で提案されている.このうち代表的ないくつかのモデルを有限ひずみおよび引張応力に対応するように再定式化した上で,弾性接線係数の圧力依存性に特に焦点を当てたパラメトリックスタディを行い,超弾性モデルの応答を網羅的に比較した.この結果,モデルの種類によって応答が大きく異なることがわかり,特に一部のモデルでは,側圧一定三軸圧縮の過程で軸方向圧縮応力が減少する不合理な応答が確認された.そこで各モデルに対して様々な入力変形に対する網羅的な解析を実施した.最後に弾性接線係数テンソルの最小固有値の正負を確認することで,一部のモデルにおける応力低下の原因を明らかにした.

OS4 地盤力学における数値解析 (4)
  • 江城 静順, 肥後 陽介
    セッションID: OS4-4-01
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    水分特性曲線(SWCC)は土のサクション―含水量関係を示し,不飽和土の強度特性に関わる重要な指標である.土の保水メカニズムからSWCCを構築する理論的モデルは,粒度分布等から簡便にSWCCを推測できるとして近年盛んに開発されている.理論的モデルの内,特に土粒子構造に規則充填を仮定する規則充填モデルは構造が簡潔で計算が容易である.規則充填モデルでは,間隙の空気侵入値(PAEV)という飽和した間隙に空気が侵入するサクションの値を定式化し,SWCCを構築する.しかし従来開発されてきた規則充填モデルには,それぞれ異なるPAEVモデルが用いられており,各PAEVモデルがSWCCにどう影響するかは未だ明らかではない.よって本研究では,規則充填モデルに4つのPAEVモデルを導入し,SWCC推定結果を比較した.その結果,PAEVモデルは全体の空気侵入値に加え,SWCCの傾きにも影響を及ぼすことが分かった.

  • 木元 小百合, 由井 洋和, 岡 二三生
    セッションID: OS4-4-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
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    河川堤防などの盛土構造物の地震時変形予測については,有限要素法による動的解析手法が種々提案されている。特に液状化を伴う地震時挙動については,実務においても有効応力に基づく二相系の動的解析手法の導入が進んでいる。本研究では,固体-液体-気体三相系の動的連成解析手法を用いて、不飽和堤防盛土の基礎地盤液状化時の動的解析を行った。定式化はu-p法を採用し,有限変形理論に基づきupdated Lagrangian 法を用いている。構成式には不飽和土の繰返し弾塑性構成式および水分特性曲線を用いる。従来の微小変形理論に基づく動的解析法(LIQCA)を用いた解析も実施し,応答加速度や変形・沈下量について比較した。

  • 宇野 浩樹, 船原 英樹
    セッションID: OS4-4-03
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
    会議録・要旨集 フリー

    水で飽和した地盤の挙動は,固相と液相からなる飽和多孔質体でモデル化され,固相の変位u,液相の変位U,液相の固相に対する平均相対変位w,間隙水圧pによって記述される.定式化にはいくつかの形式があるが,透水性の高い地盤や高周波数成分を含む地震動に対しては,間隙水の慣性が無視できないため,液相の変位Uあるいは平均相対変位wを考慮する必要があると言われている.

    一方,有限要素法による飽和地盤のモデル化では,地層の種類や密度の違い等によって要素間の間隙率の変化が不連続となる場合がある.このような場合にu-U定式化を適用すると,要素間の隣接面上の流量と間隙水圧に連続性が成り立たないという課題がある.

    本研究では,隣接面上の流量と間隙水圧の連続性を改良したu-U定式化に基づく有限要素解析を提案するとともに,適用事例として透水係数と周波数をパラメトリックに変化させた1次元飽和互層地盤の感度解析について示す.

  • 豊田 智大, 野田 利弘
    セッションID: OS4-4-04
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/17
    会議録・要旨集 フリー

    混合体理論に基づく飽和地盤の水~土連成解析の多くはu-p formulation(間隙水の静的浸透を仮定する定式化手法)を採用しているが,間隙水が動的にも浸透しうる高透水性土に対しては計算が破綻することが知られている.そこで著者らは,間隙水の動的浸透を考慮したu-w-p formulationに基づく解析手法を開発してきた.本稿では,離散化したu-pおよびu-w-pの支配方程式より連立漸化式を構築し,その数値安定性をスペクトル半径を用いて評価した.一連の解析を通して,1) u-p発散域でもu-w-pであれば安定して計算継続可能であること,2) 高透水/非圧縮領域において「γθ1基準」の例外が出現すること,3) u-pで安定して解ける場合でも,その解が必ずしもu-w-p解と一致するとは限らない点を指摘した.

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