日本女子体育連盟学術研究
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2008 巻, 24 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 主観的気分・ストレス・免疫機能からのアプローチ
    笹本 重子, 阿部 絢子
    2008 年 2008 巻 24 号 p. 1-10
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    太極拳が高齢者の健康運動として有用であるかについて, 免疫機能の指標として唾液中の分泌型免疫グロブリンA (SIgA), ストレスの指標としてアミラーゼ活性, 主観的気分の変化を気分プロフィール検査 (POMS) の測定により評価した。対象は週に1回太極拳の稽古を行っている男性3名, 女性19名であり, 測定は2005年11月と2007年8月に行った。アミラーゼ活性は太極拳稽古の前後で有意な差は見られなかった。POMSは「活気」項目において稽古後に有意に高い値を示した。安静時唾液分泌速度は2005年に比べ2007年に有意に低い値を示し, 安静時SIgA濃度は2007年に有意に高い値を示した。安静時SIgA分泌速度は2005年に比べ2007年の方が高い傾向を示したが, 有意ではなかった。これらのことから太極拳は, 高齢者の健康運動として有用であると考えられる。
  • 児童と題材との関係を17年前の調査と比較して
    安江 美保, 村田 芳子
    2008 年 2008 巻 24 号 p. 11-25
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究は, 小学校の表現運動領域における「表現」の学習内容について, 「児童と題材との関係」から検討することを目的に, 児童約1, 300名を対象に題材調査を実施し, 17年前の調査結果と比較分析した。
    その結果, 設定した30の題材への関心度は時代の変化を反映していくつか変動しているのに対して, 題材の魅力から抽出された3つのキーワード群「戦い・非現実・躍動的」(全学年), 「具象的・特徴的な動き」(低学年), 「動き・感情の起伏」(高学年) は, 前回とほぼ一致しており, これらが児童と題材をつなぐ普遍的な魅力であり, 題材選定のめやすになることが示唆された。この結果を基に, 「9つの題材群」を選定・配列して題材選定の試案を作成した結果, 児童と題材との関係の発展の様相が明らかになった。
  • 高橋 和子
    2008 年 2008 巻 24 号 p. 27-40
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究は, 短時間に集団で像を創る「群像」の即興表現を, 出会って間もない学生や教員や看護師877名に実践して, 「自己概念の変容」を明らかにするとともに「かかわり創出」のための典型教材としての可能性を探ることを目的にしている。結果として, 「群像」は, 指導経験や対象者に左右されずに, 自己を肯定する度合いが高まる教材, すなわち自己概念が変容する教材であり, この「高まり」は他者との「からだ」(身心) での即興的なコミュニケーションを媒介にして保障されると考えられることから, 「かかわり創出」の典型教材として位置づけられることが示唆できた。またそれを保障するためには, 授業者や受講者の肯定的な態度や言動が重要であるとともに, 「即興性」が豊かに展開される必要があるという知見を得た。
  • 現代舞踊家による即興表現から作品創作への展開を事例として
    細川 江利子, 寺山 由美, 羽岡 佳子
    2008 年 2008 巻 24 号 p. 41-54
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究は, 即興表現を行なっている2名の現代舞踊家, ケイ・タケイ (1939-) と山田せつ子 (1950-) を対象とし, 即興作品創作実験および面接調査を行ない, 彼らの即興から作品創作におけるクリエーション・スキルを明らかにすることから, 表現・創作ダンス授業の指導に役立つ資料を得ることを目的とした。
    その結果, 即興表現から作品創作への過程では, 特に身体イメージ能力の獲得が重要であり, 身体イメージ能力の獲得が, 常に自由に, 新鮮に展開される感覚的創作を実現すること。その上で, コンセプトの設定や動きの選択には, 学習によって身に付けたスキル, すなわち表現的動きを創出する能力が知的に働くことが明らかになった。
  • 高野 牧子, 細川 江利子, 矢沢 みつみ
    2008 年 2008 巻 24 号 p. 55-66
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    子どもたちが楽しく主体的に表現活動が展開できる指導法の開発をめざし, 「ダンス・サーキット」による表現運動の指導法を提案し, 2年間にわたり授業実践を通じて検証してきた。その結果「ダンス・サーキット」は, ビニールテープで描いたイメージ世界と子ども同士での精選した言葉かけによって, 自然に溢れ出る表現を引き出していた。さらに, 即興的に動きにトライし, 何度も繰り返しながら工夫を重ねることによって運動量も確保しつつ, 動きの表現性の理解を深め, 自分の表現を獲得していくことができる指導法であると結論づけられる。またVTR自己評価を組み合わせた学習によって, 即興表現による自分の動きを客観化し, 自分のイメージどおりの表現へと深化する働きがあると考えられる。
  • 八木 ありさ
    2008 年 2008 巻 24 号 p. 67-78
    発行日: 2008/03/01
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ひととひととが共に動く経験や模倣の繰り返しは, 他者の身体への共鳴力を強めるという考えのもと, 自分とは異なる「個」の存在に気づき, また自分も同様に尊厳ある「個」として他者と向き合う契機を提供する教材の条件を探るため, ダンス・セラピスト養成の学習課題を福祉学部大学生対象の援助技術演習授業で用いて, そこで得られる参加者の学びについての検討を行った。その結果, 非言語的もしくは身体表現による自発的で即興的なやりとりの連鎖を体験する, というダンス・セラピスト養成の学習課題の特性が「援助技術の体験的理解」の学びを深め, また福祉援助技術の背景となる他者との関係形成能力への意識を高め, また自己や他者の内的状態と適合した関係のあり方を探る力を涵養することに役立つことが示唆された。
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