本研究は中学校学習指導要領改訂による保健体育科男女必修化に伴うダンス授業の変容について明らかにすることを目的とした。東京都公立中学校保健体育科教員を対象に新学習指導要領告示前の平成19年度,告示後の20年度,先行実施開始の21年度,完全実施の24年度のダンス授業計画について調査した。
その結果,男子の1,2年生必修計画率は平成19年度の10%から平成24年度の60%まで年々増加する見込みであったが,女子の80%に比べて少なく,ダンスの男女必修化の履行計画は十分とは言えなかった。男子の実施に際しては共習クラスと男子クラスが計画されていたが,それらのクラスの単元時数は女子クラスより1~2時間少なかった。また,授業数の増加に伴い指導経験の少ない男性のダンス担当教員が年々増えていた。彼らは男子クラスや共習クラスを担当する割合が高かった。各クラスともに現代的なリズムのダンスが最も多く採択されるようになってきていたが,その内容には混乱が見られた。一方,指導経験のある女性教員が主に担当する女子クラス以外では創作ダンスの採択率は低かった。加えて,教員の指導法研修の受講率は低く,学習の質の低下が危惧された。
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