本研究は,慢性期統合失調症患者が頓用薬を要求する場面において,対応する看護師が行う頓用薬与薬の判断とケアのプロセスと,そのプロセスに影響を与える要因を明らかにすることを目的とした.研究対象者は5年以上の精神科経験を有する看護師10名であり,半構造化面接を行い,帰納的に分析した.
その結果,看護師は頓用薬の要求に対して,《普段との違いを観察》《過去の経験とのつきあわせ》を含む【切迫感の程度の見極め】の相,《話を聞くことによる判断材料の模索》《与薬の適切性の査定》を含む【頓用薬の必要性の査定】の相を経て,頓用薬使用の【判断】と【ケア】を行っていた.その後は《継続的に観察》をし,【患者の状態を評価】していた.
このプロセスには《看護師の価値観・信念》《患者との関係性》《看護師の情緒状態》といった『看護師側の要因』と,《その時の病棟状況》《病棟文化》《チーム内のコンセンサス》といった『環境要因』が複合的に影響を与えていた.
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