日本精神保健看護学会誌
Online ISSN : 2432-101X
Print ISSN : 0918-0621
ISSN-L : 0918-0621
27 巻 , 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
総説
原著
  • 松本 陽子, 沖本 克子, 渡邉 久美
    2018 年 27 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,統合失調症患者の受け入れがたい言動に対する精神科熟練看護師の視点取得に至るプロセスを明らかにすることを目的とし,11名の精神科熟練看護師を対象に半構造化面接を行った.修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した結果,28概念,5サブカテゴリー,9カテゴリーが生成された.

    精神科熟練看護師は,統合失調症患者の受け入れがたい言動に対して【交錯する思い】に揺れ動き葛藤を抱きつつも【断ち切れない思い】で患者に関心を向け続け,【関わりの糸口を掴むための試行錯誤】をしながら向き合っていくことで【患者の苦悩を理解】しようとしていた.一方で,《このままではいけないという思い》や【断ち切れない思い】が強すぎたことにより【思いの押しつけによる患者の状態悪化】を招いたことに対して,【自己の言動を内省】することで【患者の苦悩を理解】しようとしていた.【自己の言動を内省】したり【関わりの糸口を掴むための試行錯誤】を後押しするものとして,【ポジティブな職場風土】といった肯定的な要素が職場内にあった.

    本研究により,対応困難な患者への関わり方や組織的支援の重要性が示唆された.

  • 檜山 明子, 定廣 和香子, 守村 洋
    2018 年 27 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,精神科病棟に従事する看護師のための疼痛アセスメント自己評価尺度(a self-evaluation scale in pain assessment for psychiatric ward nurses: SPAPN)を作成し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした.精神看護経験年数5年以上の病棟看護師を対象に質問紙調査を行い,返送された1129部のうち1010部(回収率78.7%,有効回答率89.5%)を分析した.項目分析,探索的因子分析,確証的因子分析の結果から25項目3因子の尺度とした.尺度全体のクロンバックα信頼性係数は0.94であり,内的整合性が高いことを示した.3因子は「疼痛の状態を把握するための方法」,「精神症状と身体症状を識別するための方法」,「多角的かつ多面的に情報を収集する方法」であり,尺度開発の基盤として行った質的研究と類似した構成概念を示した.モデル適合度のCFIは0.87, RMSEAは0.08であり,一定のモデル妥当性を示した.以上からSPAPNは,精神科病棟に従事する看護師が精神疾患患者に対して行っている疼痛アセスメント方法を自己評価するための信頼性と妥当性を確保していることを確認した.

研究報告
  • 塚原 貴子, 山下 亜矢子
    2018 年 27 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,在宅要介護・要支援の方でうつ状態にある対象の精神症状,身体症状の実態およびうつ状態の関連する要因を明らかにする.

    研究対象者はA県内のデイケア,デイサービスに通所している65歳以上の要介護および要支援の認定者で,自分の意思を伝えることのできる111人である.調査内容は,基本属性,Geriatric Depression Scale;GDS-15簡易版,老研式活動能力指標の手段的自立,知的能動性,社会的役割の3つの下位尺度,ソーシャル・サポートのサイズ得点と交流得点,うつ状態の精神症状,身体症状である.

    調査の結果GDS得点の5~9点の軽度のうつ状態は52人(46.8%),10点以上の重度のうつ状態は8人(7.2%)であった.GDSと相関があった項目でGDS得点を従属変数とするロジスティック回帰分析(変数増加法)で検討した結果,うつ状態の危険因子として,身体症状の数(odds ratio; OR=1.272)精神症状の数(OR=2.876)であった.一方うつ状態の改善因子にはソーシャル・サポートのサイズ得点(OR=0.891)であった.うつ状態の身体症状は心気的愁訴の訴えが多く,精神症状は「考えがまとまらない」「集中力が低下」「イライラ」「頭が悪くなったようだ」などであった.

  • 石田 徹
    2018 年 27 巻 1 号 p. 41-51
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,自作の家族支援に関する調査票を用いて,児童精神科病棟における看護師が実践している家族支援の因子構造を探索し,家族支援の現状を明らかにすることを目的とした.全国児童青年精神科医療施設協議会に属する協力が得られた20病棟の384名の看護師を対象に,自記式質問紙を用いて量的調査を実施した.264名から回答が得られ,欠損値がない243名のデータを分析の対象とした.因子分析の結果,「家族への直接支援(11項目)」,「退院支援と多職種連携による家族支援(9項目)」,「疾病と治療の説明と補足(3項目)」の3因子をもつ23項目から構成されていた.それら3因子を一元配置分散分析した結果,児童精神科病棟の家族支援において,「家族への直接支援」,「疾病と治療の説明と補足」,「退院支援と多職種連携による家族支援」の順に,実践されていたことが明らかとなった.今後は,退院支援や多職種連携において,退院前家庭訪問など積極的に家族支援ができるように,具体的に考えていく必要がある.また,家族自身が抱える問題に合わせた個別的な支援ができるように検討していく必要がある.

  • 松岡 純子
    2018 年 27 巻 1 号 p. 52-62
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,精神科訪問看護において利用者が求める看護援助について,利用者の語りから明らかにすることである.

    方法:精神科訪問看護利用者11名に半構成的インタビューを実施した.得られたデータを質的帰納的に分析した.

    結果:分析の結果,【安心して楽しんで対話することができる】,【利用者の考えや可能性を尊重して聴く態度をもっている】,【過去や将来についての語りを聴いてくれる】,【病気や治療の話を聴き,対処や変化を支持してくれる】,【疾患の影響を理解した上で日常生活の困りごとを手伝ってくれる】,【身体的健康の維持に関心を向けてできることを一緒に考えてくれる】という6つのカテゴリーが明らかになった.

    結論:楽しみを目的とした対話と利用者のこれまでの体験や将来の希望についての対話を精神科訪問看護の看護援助と捉えること,利用者との信頼関係をつくるために看護師が自らの価値観や態度を客観視し先入観に気づくこと,利用者の体験を重視して心身の健康と日常生活を支援することの重要性が示唆された.

  • 春日 飛鳥, 清水 惠子
    2018 年 27 巻 1 号 p. 63-74
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    研究目的は地域で生活する統合失調症患者の生活の見通しを立てる体験を明らかにすることで,デイケア通所者8名に対し,半構成的面接法を用いて質的記述的に分析を行った.

    地域で生活する統合失調症患者の生活の見通しの立て方には,〈生活の目標やイメージ〉に向かって,“志向の段階”“試行の段階”“行動の段階”があり,それらの各段階には〈生活の見通しに影響していることがら〉が存在していた.すなわち【精神障害に対する前向きさ】【家族や仲間の支え】【社会資源の活用】が生活の見通しを明るくし,【病気とつきあう困難さ】【厳しい現実の壁】【周囲の人との折り合いの悪さ】【日々の生活における自信のなさ】が見通しを遮り,【一日の充実感の有無】が明るくも暗くもしていた.生活の見通しを立てる支援として,支援者自身がリカバリー志向をもって当事者とともに目標達成の可能性を探り,〈生活の見通しに影響していることがら〉に介入した支援が求められた.

資料
エラータ
feedback
Top