目的:入院中の重大な他害行為を行った精神障害者の前向きさを取り戻したプロセスを解明し,有効な看護支援の示唆を得ること.
方法:M-GTAを用いて,医療観察法入院処遇中の対象者5名に対し,インタビュー調査を行った.
結果:10個の概念と5つのカテゴリーが生成された.【過去の自分から送られる願いの受諾】の意味する,自分の描きたかった人生を,主体的に歩いていく端緒を得るまでに,【邪気のない感情の再生成】《自己支配からの解放》【他者との関係性の中における自己の再構築】の相互作用を経験し,その全過程を,《まるごと受け入れられ体験》が支えていた.
結論:リカバリーの構成要素をプロセスとしてたどることは,対象者に前向きさをもたらしていると思慮された.このようなプロセスの経験は,再他害行為の予防の一助になると考えられ,入院中に経験できることが望まれた.
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