日本精神保健看護学会誌
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原著
  • 高橋 葉子, 田中 美恵子, 阿部 幹佳, 山内 典子, 内野 小百合, 異儀田 はづき, 澤口 利絵, 小松 容子, 小山 達也, 濱田 ...
    原稿種別: 原著
    2020 年 29 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
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    本研究の目的は,東日本大震災における津波被災地域の精神科看護師の体験を明らかにすることである.5施設17名の看護師に半構造化面接を行い,テーマ的ナラティブ分析を行った.病院の被災度により看護師の体験には差異があったが,共通する体験の構造は,《使命感・責任感で患者を守る》《看護の原点に回帰する》《人と人とのつながりで支えあう》《無我夢中の後にくる心身の反応と葛藤》のテーマだった.看護師達は体験を《震災経験が残した看護師自身の心の傷》と《震災経験からプラスの部分を認識し学びに変える》の両面から意味づけを行い《未来への教訓》を導き出していた.東日本大震災において精神科看護師は,資源に限りがあっても看護の工夫で乗り越え,日常を取り戻す配慮をし,何もなくても精神科看護はできるという原点に回帰していた.また,職業や障害を越えた人間同士の支えあいや患者理解の促進がなされた一方で,惨事ストレスによる心の傷も残った.さらに,精神科病院における防災対策への示唆として患者搬送の難しさと,ネットワークの重要性が見出された.

  • 玉田 聡史, 松下 年子, 片山 典子
    原稿種別: 原著
    2020 年 29 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
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    本研究は,情報伝達手段の多様化した昨今において,思春期にひきこもった当事者が,支援機関に通所するまでのプロセス明らかにすることを目的とした.研究対象者7名にインタビューを行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにて分析した.また,分析の過程でスマートフォンやSNSなど,近年の情報伝達手段の多様化に伴う対人関係の変化を加味した.その結果,コアカテゴリである《同年代から受ける刺激に向き合う》をはじめ,12のカテゴリと30の概念が抽出された.当事者は《同年代から受ける刺激に向き合う》プロセスでひきこもり,その要因には,思春期という発達段階から生じる要因と,日本の社会文化的な要因が関連していた.また,看護への示唆は,当事者のひきこもる間の行動の意味を家族で共有すること.家族へ支援に関連する情報提供を行い,時期を見て当事者へ情報伝達できる体制を作ること,等が上げられた.

研究報告
  • 小瀬古 伸幸, 長谷川 雅美, 田中 浩二, 進 あすか, 木下 将太郎
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 29 巻 1 号 p. 23-32
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
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    【目的】WRAPの視点を反映した看護計画を用いた精神科訪問看護の効果を明らかにすることである.

    【方法】本研究では1群事前事後テストデザインを用いた.2015年1月~9月に精神科訪問看護を受けている15名を対象にWellness Recovery Action Plan(WRAP)の視点を反映させた看護計画を用いた介入を6か月間行い,介入前と6か月後で日本語版Profile of Mood States(POMS)短縮版,日本語版Rosenberg Self Esteem Scale(RSES-J),日本語版Rathus Assertiveness Schedule(RAS),Global Assessment of Function(GAF)を測定した.

    【結果・考察】6か月後の中央値で有意に改善したものは,POMSの「不安-緊張」「抑うつ-落ち込み」「活気」「疲労」「混乱」,RASの「目標志向・成功志向・希望」「自信をもつこと」「手助けを求めることをいとわないこと」,GAFであった.WRAPの視点を反映させた看護計画を用いた精神科訪問看護は,リカバリーを促進する有効な方法であると示唆された.

  • 森 貴弘, 國方 弘子, 多田 達史, 和田 晋一
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 29 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
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    本研究の目的は,新人看護師に対して自己効力感向上集団CBT介入を行うことで,介入前後の自己効力感,レジリエンス,認知とストレス反応に変化があるかを検証することである.新人看護師9名を対象に,全4回で構成する介入プログラムを実施した.実施前,実施直後,実施1ヶ月後に,一般性セルフ・エフィカシー尺度,看護師レジリエンス尺度,推論の誤り尺度を用いて自記式質問紙で測定した.プログラム毎回の実施前後に唾液アミラーゼを測定した.統計解析は一元配置線形混合モデルを用い効果量を算出した.結果,新人看護師を対象にした自己効力感向上集団CBT介入は,「行動の積極性」「能力の社会的位置づけ」の自己効力感ならびにレジリエンスを向上させる可能性があると示唆された.また,集団で行うCBT介入は,聴き手に負担がかかる可能性があることから,リラックス効果を得るために,セッション終了後にアイスブレイクを設ける必要性が示唆された.

  • 佐藤 大輔, 安保 寛明
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 29 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
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    目的:本研究の目的は,うつ病等による休職者が休職前に感じた症状や変化を診療録や活動記録より抽出し,休職を予期する警告サインを明らかにすることである.

    方法:職場を休職し,精神科医療機関で復職支援プログラムを受け,復職した方30名を対象とした.対象者の診療録およびプログラム中の活動記録より,休職前に感じた症状や変化に関する語句を収集した.収集した語句は内容分析法により類似した表現を集積し,カテゴリ化を行った.また,最も大きな分類の単位について,全体に対しての割合を算出した.

    結果:911語を内容類似に応じてカテゴライズした結果,休職前に生じた症状や変化としては,【気分・覚醒度への影響】は全体の33.8%(以下同様に全体割合),【身体面への影響】は20.1%,【行動への影響】は12.8%,【業務への影響】は10.5%,【認知への影響】は9.1%,【自己悲嘆による影響】は7.6%,【業務環境による影響】は5.7%,【症状の否認】は0.1%であった.

    結語:うつ病等による休職者の休職前に生じた警告サインが具体的に明らかになった.職場において早期介入に資する視点として活用が可能である.

  • 堂下 陽子, 高比良 祥子
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 29 巻 1 号 p. 51-59
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
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    本研究は,訪問看護師が捉えた精神障がいをもちながら子育てをする母親の成長を明らかにすることを目的とした.9名の訪問看護師を対象に半構造化面接を行い,内容分析を行った.

    訪問看護師は,母親の成長を【病気のある生活と母親役割のバランスの保持】【他者への相談と援助の要請】【子どもへの関わり方の向上】【子どもの生活習慣の確立】【子どもの円滑な学校生活への支援】と捉えていることが明らかとなった.

    訪問看護師は,母親が支援を受けながら病状の安定を意識し,子どもの立場に立つ子育てを行い,社会の一員としての役割を担う成長をしていると認識していると考えられた.そして訪問看護師は,母親の【病気のある生活と母親役割のバランスの保持】【他者への相談と援助の要請】の成長と影響しながら,【子どもへの関わり方の向上】【子どもの生活習慣の確立】【子どもの円滑な学校生活への支援】という育児力の成長を捉えていると考えられた.

  • 岩本 祐一, 藤野 成美
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 29 巻 1 号 p. 60-69
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
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    目的:精神科看護師が経験した慢性期統合失調症患者の予測困難な自殺から,入院中における慢性期統合失調症患者の自殺のリスク判断に必要な視点を明らかにする.

    方法:慢性期統合失調症患者の予測困難な自殺を経験した精神科病棟に勤務する看護師10名を対象に,自殺の経験に関する内容について半構成的面接を行った.また,得られたデータは質的記述的に分析した.

    結果:慢性期統合失調症患者の自殺を経験した精神科看護師が考える慢性期統合失調症患者の自殺のリスク判断に必要な視点は,【潜在化した精神症状】,【精神運動興奮への移行】,【患者の特有な感覚】,【患者-看護師関係の長期化に伴う弊害】であった.

    結論:精神科看護師が,【患者-看護師関係の長期化に伴う弊害】を中核とした慢性期統合失調症患の自殺のリスク判断に必要な視点をもつ事で,慢性期統合失調症患者の自殺の予防や効果的な支援に繋がると考える.

  • 鎌田 ゆき, 藤野 成美, 古野 貴臣, 藤本 裕二
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 29 巻 1 号 p. 70-79
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
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    本研究の目的は,多職種チームにおける精神障がい者アウトリーチ実践自己評価尺度を開発し,その信頼性と妥当性を検討することである.医療・福祉の専門職を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施し,199データを対象として分析を行った.探索的因子分析の結果,【多職種チーム内における支援計画の遂行】【対象者の生活機能の把握】【対象者のリカバリーに向けた支援】の3因子20項目構造となった.本尺度は,検証的因子分析において許容できるモデル適合度であり,基準関連妥当性において有意な相関がみられた.Cronbachのα係数は許容範囲であり,内的整合性を確認した.よって,本尺度における信頼性・妥当性は,統計学的に許容できる尺度であると示唆された.

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