日本精神保健看護学会誌
Online ISSN : 2432-101X
Print ISSN : 0918-0621
ISSN-L : 0918-0621
33 巻, 2 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
原著
  • 上之門 竜太郎
    原稿種別: 原著
    2024 年33 巻2 号 p. 1-10
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2024/12/18
    ジャーナル フリー HTML

    本研究の目的は,急性期医療場面における非自発的入院した統合失調症患者の意思を尊重した看護実践を明らかにすることである.精神科救急病棟での臨床経験年数が5年以上ある看護師9名に対して半構造化面接を行い,Berelsonの内容分析を参考に分析を行った.分析の結果,148記録単位,54コード,14サブカテゴリより【精神症状の体験に寄り添う】(29.1%),【入院医療における強制力の認識を軽減する】(28.4%),【個人を尊重する態度を示す】(16.9%),【退院支援における意思形成を促す】(15.5%),【医療チームで連携を図る】(10.1%)の5つのカテゴリが生成された.熟練看護師は,患者の意思を尊重するために統合失調症の急性期の障害特性に配慮した看護実践を重視していた.この理由として,強制的な入院治療が行われることで患者と看護師間の信頼関係の構築を困難にすることから,患者が抱える精神症状の体験に寄り添うことで信頼関係を築こうとするのではないかと考えられた.

  • 松岡 純子, 丸本 典子, 堀川 容岐
    原稿種別: 原著
    2024 年33 巻2 号 p. 11-19
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2024/12/18
    ジャーナル フリー HTML

    目的:精神科訪問看護において,「文化的感受性を備えたリカバリー志向の地域精神看護援助モデル」を4カ月間活用した看護師の体験を明らかにすることである.

    方法:精神科訪問看護師7名に各1名の利用者に4カ月間モデルを活用してもらい,終了後に半構造化インタビューを個別に実施してモデル活用期間の看護師の体験について聞いた.データは質的帰納的に分析し,生成したテーマの関係性を図示した.

    結果:モデルを活用した看護師の体験は,「自己の価値の客観視と転換」,「個別の状況に合わせた意図的なリカバリー志向の実践」,「相互作用によるエンパワメント」という3つのテーマが相互に促進し合う関係性として示された.看護師は,リスクとリカバリーの対立や利用者を支える人との連携の困難も体験していた.

    考察:ポジティブリスクマネジメントの普及や当事者を支える人との連携促進の取り組みが求められる.当事者の講義を組み込んだ共同創造による研修はより効果的と考えられる.

  • 関口 瑛里, 船越 明子, 藤本 浩一, 山岡 由実
    原稿種別: 原著
    2024 年33 巻2 号 p. 20-29
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2024/12/18
    ジャーナル フリー HTML

    本研究は,急性期患者の身体的拘束の早期解除に向けて精神科中堅看護師が感じた困難とその対処,および工夫を質的に記述することを目的とした.精神科急性期治療病棟もしくは精神科救急病棟に所属している中堅看護師7名に対し,個人面接による半構造的インタビューを行った.分析には質的記述的手法を用いた.

    その結果,中堅看護師の困難として【限られた人的資源の中では解除が制限される】【チームメンバーへの暴力リスクは解除をためらわせる】【責任をおいきれない中での拘束解除は推進しづらい】等4カテゴリ,困難への対処,および工夫としての看護実践において【平等に看護師間で意見できる環境をつくる】【拘束解除による事故の予防策を率先してとる】等6カテゴリが明らかとなった.中堅看護師は,多様な困難を感じながらも,チームづくりのほか,患者やチームの状況を捉えた看護実践により対処していることが考えられた.

  • 根田 珠美, 山本 明弘
    原稿種別: 原著
    2024 年33 巻2 号 p. 30-39
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2024/12/18
    ジャーナル フリー HTML

    本研究の目的は,精神科看護職の退院支援と,看護職経験および職業性ストレスの関連を明らかにすることである.A県内の5つの精神科病院の病棟に勤務する看護師・准看護師282名を対象とし,無記名自記式質問紙調査を行った.有効回答は123名から得た(有効回答率43.6%).

    病棟看護師の退院支援における包括的評価指標(以下,退院支援指標)の下位尺度と合計得点をそれぞれ従属変数とし,属性と看護職経験各項目,職業性ストレス簡易調査票の下位尺度項目を独立変数とした,強制投入法による階層的重回帰分析を行った.

    看護職経験では,「精神科急性期治療病棟での勤務経験」が退院支援指標の2つの下位尺度において正の関連があった.職業性ストレスとの関連については,「仕事のコントロール度」「技能の活用度」「家族・友人からのサポート」が,退院支援指標の4つ以上の下位尺度と合計得点において正の関連があった.地域生活の実現を目指す支援の機会,働きやすい職場環境の醸成や周囲のサポートが重要であることが示唆された.

  • 阿部 美香, 上野 恭子
    原稿種別: 原著
    2024 年33 巻2 号 p. 40-49
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2024/12/18
    ジャーナル フリー HTML

    本研究の目的は,救急・集中治療領域の看護師がせん妄患者に対して症状の軽減を目指して関わる際の認知や技術のプロセスを明らかにすることである.

    修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用い,4病院の看護師7名を対象に,半構造化面接を行った.

    分析の結果,7個のカテゴリーと11個の概念を生成した.看護師が患者の症状の軽減を目指して関わる際の認知や技術のプロセスは,患者の身体と安全を守るために興奮を落ち着かせようと試行錯誤する関わりのプロセスであった.

    看護師は,患者の【あやしい兆候を察知】すると,【興奮を落ち着かせたい】という思いが生じ,この思いを基盤に関わりを行っていた.まず【身体由来の苦しみを除去してあげる】ケアをした後に,【誤りを修正して我に返らせようとする】介入をした.これらの【効果は今ひとつ】と評価しつつも繰り返し実践していたが,一部は,【障害された意識を受け止める】関わりに移行していた.これら一連の関わりのプロセスは,看護師が【経験で培った勘】を用いて実践していた.

資料
  • 精神科訪問看護師のインタビューに基づいて
    鎌田 ゆき, 藤野 成美, 古野 貴臣, 藤本 裕二, 岩本 祐一
    原稿種別: 資料
    2024 年33 巻2 号 p. 50-58
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2024/12/18
    ジャーナル フリー HTML

    目的:児童・思春期精神科訪問看護実践における看護師の視点を明確化する.

    方法:児童・思春期精神科訪問看護の経験をもつ看護師7名に半構成的面接によるインタビュー調査を行った.録音データから逐語録を作成し,児童・思春期精神科訪問看護実践における看護師の視点について質的帰納的に分析した.

    結果:7つのカテゴリと19のサブカテゴリが抽出され,カテゴリは【生きづらさがもたらす行動障害の意味】【児の特性をふまえた学校生活・就労活動の状況】【児の生活習慣獲得と成長発達に向けた子育ての状況】【訪問看護師を児に受け入れてもらえる関係づくり】【親の生きづらさにも寄り添う姿勢】【児と親の思いをつなぐ橋渡し】【家庭における症状管理の状況】で構成された.

    結論:児童・思春期精神科訪問看護実践では,こどもの特性を肯定的に受け止め,希望や目標をもって充実した生活を一緒にめざすとともに,親の生きづらさへの介入も重視されていた.さらに,適切な治療の継続とともに,こどもの正常な成長発達や社会適応の促進に着目することが重要である.

  • 小泉 祐貴
    原稿種別: 資料
    2024 年33 巻2 号 p. 59-69
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2024/12/18
    ジャーナル フリー HTML

    本研究は,精神科看護師の患者に対する怒りの認識と対処について明らかにすることを目的とし,精神科看護師8名にインタビューを行った.質的記述的分析の結果,456のコード,88のサブカテゴリー,32のカテゴリーが抽出された.

    精神科看護師が怒りを覚える特徴として,知的障害のある患者や何度説明しても理解が得られない患者に対して怒りを感じやすく,言語的な暴力に対して無防備である可能性が示唆された.また精神科看護師は患者に怒りを覚えることに葛藤しつつも,患者と相互に関わり,患者への理解を深めたり,業務のスケジュールを整えたり,チームで関わることで怒りを対処していた.

    精神科看護師はアンガーマネジメントの重要性を日々の看護実践の中で感じており,周囲の環境調整及び看護師自身の研鑽に関わる支援の充足が重要であることが示唆された.また患者に対する怒りなど一見非倫理的に見える事柄について,看護師自身が振り返り話し合える場の提供や,考えることを重要視した【現場に即した統合的なアンガーマネジメントに関する教育】が重要であると示唆された.

  • ~計量テキスト分析を用いて~
    岡本 響子, 村中 晶
    原稿種別: 資料
    2024 年33 巻2 号 p. 70-78
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2024/12/18
    ジャーナル フリー HTML

    目的:当事者参加型の対話に基づく協働授業での学びについて計量テキスト分析を用いて明らかにする.方法:A看護系大学の対話の協働授業に参加した学生56名のレポートを分析対象とした.KH Corderを使用し,階層的クラスター分析を実施した.結果と考察:階層的クラスター分析により9クラスターに分かれた.各クラスターの内容は,①当事者との対話を通しての学びと自分自身の考えの変化,②偏見への気づきと当事者に対するイメージの変化,③当事者の人生を支える人の存在,④病気や入院生活の体験を通して語られた当事者の語りの受け止め,⑤信頼関係を築くための自身のありかた・姿勢,⑥他のグループの発表を通しての多様性への気づき,⑦授業を通して見えてきた自己の課題と目指す看護師としての態度,⑧今後の自分の行動を律していく決意,⑨話の聴き方,対話をする態度であった.学生は対話的なやりとりを心がけて当事者の話を聞くことで,自身の中で考える機会となり,目指す看護師としての態度が導き出されたと考える.

  • ―態度および実践能力に着目して―
    福嶋 美貴
    原稿種別: 資料
    2024 年33 巻2 号 p. 79-88
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2024/12/18
    ジャーナル フリー HTML

    本研究の目的は,精神科看護師の倫理的ジレンマを抱える看護実践,特に意思決定支援に係わる場面の構成要素を,態度及び能力に着目して明らかにし,対処方略への示唆を得ることである.看護師16名に倫理的ジレンマを抱える場面をビネットで提示し半構造化面接を行い,内容分析の手法を用い質的記述的に分析した.その結果,倫理的ジレンマの看護実践,態度および能力の構成要素として490のコードが抽出され,さらにコードから106のサブカテゴリ,24のカテゴリ,3つのコアカテゴリが生成された.看護実践は【チーム力を結集した倫理的調整】の1コアカテゴリであり,実践の基盤となる態度および能力は【問題解決を志向する積極的なありよう】【積極的な対処を選択せず不確実さの中に留まるありよう】の2コアカテゴリから構成された.倫理的ジレンマを抱える場面に対処する際には,患者と家族双方に対し不寛容にならないことの重要性が示唆された.

第34回日本精神保健看護学会学術集会
大会長講演
特別講演
教育講演
シンポジウム
委員会報告
教育の質向上委員会
  • ~精神看護学における課題整理~
    奥野 裕子, 河野 あゆみ, 大平 幸子, 牧野 耕次, 佐藤 史教, 冨川 順子, 松田 光信, 精神保健看護学会教育の質向上委員会
    原稿種別: 委員会報告 教育の質向上委員会
    2024 年33 巻2 号 p. 133-139
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2024/12/18
    ジャーナル フリー HTML

    本調査は,日本精神保健看護学会の会員が所属する全国の看護基礎教育機関における精神看護学実習の実態と課題を明らかにすることを目的として実施した. 対象者は,日本精神保健看護学会の会員であり看護基礎教育機関において精神看護学を担当する教員とした.調査内容は,1)回答者と教育機関の概要,2)精神看護学実習施設の状況,3)精神看護実習の方法と内容とし,Webアンケートによる無記名自記式調査を行った.本調査の結果より,看護基礎教育機関の精神看護学実習における実習1クール当たりの学生人数,実習を実施する施設,実習を展開する方法,学生が活用する知識と技術の内容,実習期間,単位数,指導教員体制など,精神看護学実習の輪郭が浮かび上がりはじめたといえる.本調査結果は,精神看護学実習に関する更なる内容充実および課題の具体的な改善など,精神看護学の教育の質向上に向けて検討する際の重要な資料になり得るものと考える.

feedback
Top