応用統計学
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15 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 熊澤 蕃, 大橋 靖雄
    1986 年 15 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    混成対数正規分布とは,正値確率変数Xに対して,パラメータρを含む変換1nρX+pX後の変数が正規分布N(μ,σ2)に従う分布のことである.本分布は放射線に被曝する作業に従事する作業者の線量分布が,被曝低減管理の影響を受けて,管理の弱い場合は対数正規分布側へ,また管理の強い場合は正規分布側へ近づくことをモデル化したものである.本論文では,混成対数正規分布の性質と発生機構を述べ,線量分布および他の種類の分布へのあてはめ例を示す.加えて,それらの分布の背後にある現象と分布形との対応に対して可能な解釈を示す.本分布はその極限分布として一方に対数正規分布を持ち,他方に正規分布を持つ新しい形式の分布システムを構成する.
  • 藤野 和建
    1986 年 15 巻 1 号 p. 15-28
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    ベータ2項分布または負の超幾何分布は,ベータ分布による2項分布の混合をはじめとするいくつかの確率モデルのもとで導かれ,データ解析に用いられることも多い.ベータ2項分布の確率計算は,母数の値が大きいときは手間がかかるので,近似を行うことが有用になる.ここではいくつかの近似式を述べてその精度の数値的な検討を行うが,それはベータ2項分布の各種の漸近分布への収束の数値的側面を理解するうえでも興味深い.取り上げた近似式は比較的簡単なものが主体であり,一部より高精度のものが含まれているとはいえ,最大絶対誤差にして0.005程度を達成することが当面の目的である.
  • 竹内 啓
    1986 年 15 巻 1 号 p. 29-45
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2009/12/02
    ジャーナル フリー
    因子分析モデルに最尤法のくり返えし計算の手続きを適用すると,しばしばいわゆる不適解が生じたり,また初期値によって異なる解に収束したりするという現象が生ずることが知られている.
    この論文では,特異性は非負という条件の下に,最尤解の存在を証明し,かつ尤度関数の局所最尤解の性質を論じて,最尤解において特異性が一部0になる場合,或いは最尤解が複数存在する場合等の条件を具体的に論ずる.
    またくり返して計算の一つの方法を提案し,くり返えし計算がどのような形で収束するかを論じ,また二,三の場合についてそれがどのような動きをするかを示して,いろいろな形の「矛盾」が生ずる場合のあつかい方について示唆する.
  • 横田 達也, 松本 幸雄
    1986 年 15 巻 1 号 p. 47-60
    発行日: 1986/09/20
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    大気環境の測定データには強い系列相関があることを利用して,有効データ(測定されたデータ)の条件付経験分布に基づいた量から欠測値を区間として推定する(従来の確率論的に信頼率が評価されるような区間推定とは異なる)手法を提案した.欠測値を区間として推定するのは,平均値が欠測によって事実上どの程度変化するかを評価するためである.
    本手法の最大の特徴は,誤差に関する分布の型や等分散性などを仮定する通常のパラメトリックな方法と異なり,データ全体がどのような分布を示したか,実際にいかなる値がこのような割合で実現したかという,経験分布に基づいた量を用いている点である.
    環境測定データのなかには値が高くなるほどバラツキが大きくなるものもあれば,正規分布で近似できるようなものもある.本手法は,このようないずれのデータに対しても適用が可能である.
    ここでは大気中の二酸化窒素の測定データを例にして,本手法により欠測値を経験分布における順序統計量を用いて推定し,欠測による日平均値の偏りや変動の程度についての評価を行った.
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