大気環境の測定データには強い系列相関があることを利用して,有効データ(測定されたデータ)の条件付経験分布に基づいた量から欠測値を区間として推定する(従来の確率論的に信頼率が評価されるような区間推定とは異なる)手法を提案した.欠測値を区間として推定するのは,平均値が欠測によって事実上どの程度変化するかを評価するためである.
本手法の最大の特徴は,誤差に関する分布の型や等分散性などを仮定する通常のパラメトリックな方法と異なり,データ全体がどのような分布を示したか,実際にいかなる値がこのような割合で実現したかという,経験分布に基づいた量を用いている点である.
環境測定データのなかには値が高くなるほどバラツキが大きくなるものもあれば,正規分布で近似できるようなものもある.本手法は,このようないずれのデータに対しても適用が可能である.
ここでは大気中の二酸化窒素の測定データを例にして,本手法により欠測値を経験分布における順序統計量を用いて推定し,欠測による日平均値の偏りや変動の程度についての評価を行った.
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