実際のデータ解析を誤りなく行うには,誤りの実例を吟味し,誤りの構造・内容を確かめることが重要である.本稿では,薬剤クロラムフェニコールの副作用についての議論の中で,データ解析が不適切であったと思われる三つの例を紹介する.第一は,薬剤の生産量と死亡率の間に存在する相関関係を,対数グラフを用いたために見逃したものである.第二は,現存患者に対する死亡率を,発病者に対する死亡率と混同して,発生患者数の評価を誤ったものである.第三は,薬剤の服用者の割合について,モデルの設定を誤ったものである.
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