本論文は,回顧的研究において計量環境が変化した場合の計量値の調整処理として,「間接校正」と呼ぶ1つの校正法を新しく提案する.間接校正を行うには,まず,計量環境の変化発生時点を含むある一定期間において,健康であった者のレコードを抽出し,処理の基礎となるデータを作成する.次に,Box-Cox変換を用いて計量値の最適変換を探索した上で,計量環境の変化による計量値の変化に関するモデルにおける母数を推定する.最後に,これらの結果をもとに,変化発生時点以降の計量値に対する調整を行う.本論文では,間接校正のための数理モデルを定式化し,モデルに含まれる未知母数の推定法を議論する.実データへの適用例として,あるコホート研究における肝機能データに対する間接校正の方法と結果を紹介する.
【EDN】
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