1979年にB.Efronによって紹介されたブートストラップ法は,特定の母集団確率分布を想定することなく,種々の推定量の誤差を数値的に評価することができるということで注目を集めた.このコソピュータの利用を前提とした統計的数値計算法は、その理論研究と共に様々な分野への適用が計られてきた.判別分析に於いては,その一つの重要な問題である誤判別率推定への応用が試みられ,ブートストラップ法の有用性と共に問題点も指摘されてきた.
本稿は,判別分析に於ける誤判別率推定へのブートストラップ法の応用に焦点をあて,その基本的な考え方と方法論をでぎるだけ統一的な理論体系のもとで整理,検討し,併せて関連研究の紹介を行うことを目的とする.これによって,漸近理論に基づく解析的アプローチとブートストラップ法による数値的アプローチとの関係を明らかにし,統計的数値計算法の有効性について考察する.また,多変量:正規性のもとで導かれた従来の結果を,ブートストラップ法の枠組みの中で再検討する.さらに,モソテカルロ実験によって誤判別率の種々の推定法を比較し,各手法の特徴を評価検討する.最後に,医療における鑑別診断データへの適用を通して,線形判別分析の誤判別率推定を試みる,
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