応用統計学
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26 巻, 3 号
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  • BIAN 旗, 坂本 亘, 白旗 慎吾
    1997 年 26 巻 3 号 p. 135-150
    発行日: 1998/03/16
    公開日: 2010/03/03
    ジャーナル フリー
    回帰分析は統計的データ解析の本流を成し,多くの分野で適用されている.回帰関数としては通常単一の滑らかな関数を考えることが多いが,回帰関数がある点を境に折れ曲がっているように見えることがある.そのような場合は,回帰関数として単一の関数を想定するよりも,独立変数に2つの相があり,各相で異なる回帰関数を当てはめる方が自然であろう.本論文では回帰関数として1次式を考え,単純直線回帰を帰無仮説,ある未知の点(変化点)を境にして連続ではあるが折れ曲がった2相直線回帰を対立仮説とした検定問題に対する尤度比検定を考える.この場合,検定統計量の厳密分布を求めることは現実には困難であり,漸近的にも標準の漸近理論の仮定が成立せず,したがって対数尤度比検定統計量にカイ2乗近似を用いることができない.この点に関し多くの研究者により様々な議論が展開されてきたが,現在のところ実用的な結論は得られていない.本論文ではそれらの議論を検証し,尤度比検定統計量の実用に耐える近似帰無分布を導いた.さらに,誤差分散の大きさ,独立変数の配置により帰無分布がどう変わるか,また検出力がどう変わるかを調べ,棄却点が分散の大きさにはあまり依存しないことを示した.また,高い検出力を持つ配置が経験的に得られた.
  • 有薗 育生, 青山 行宏, 渡壁 京子, 勝山 茂
    1997 年 26 巻 3 号 p. 151-160
    発行日: 1998/03/16
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    複数の正規母集団の分散の等質性に関する指定された有意水準のもとでの一般的な棄却検定として尤度比検定が存在する.尤度比検定に関する一般理論において,検定統計量である対数尤度比統計量の帰無仮説のもとでの漸近分布が明らかにされている.さらに,Bartlettはサンプル・サイズが大きくない場合に,漸近分布を用いた検定統計量の近似分布を与える修正法を表している.本研究では,Bartlett修正による近似よりもさらに精度の良い近似を与えることを目的として,まず尤度比検定における対数尤度比統計量の有限サンプル・サイズのもとでのキュムラント母関数を導出する.さらに,これより導かれる正確なキュムラントを利用して,Bart-lettの修正法による近似とは別の近似分布を定義し,この近似分布に基づく検定法を漸近分布やBartlett修正による近似分布を用いた検定法と比較する.
  • 漏洩管理のための基礎事実
    渋谷 政昭
    1997 年 26 巻 3 号 p. 161-170
    発行日: 1998/03/16
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    多項分布において,度数が0のカテゴリーの数,度数が1のカテゴリーの数,の同時確率分布を考える.等確率の場合に知られていることをまとめ,そうでない場合の性質をできるだけ調べる.一般に度数0のカテゴリーの期待数が増せば,度数1のカテゴリーの期待数が減少する,さらに両変数は負の相関をもっている.
    統計表の公開,とくに調査個票を匿名化して公表するときに,調査回答者の秘密を保護するのが漏洩管理である.そのとき,全体のカテゴリー数が多いために度数1のセルの数が多いことが問題で研究されているが,ここでは度数0のセルの数との関連を調べた.
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