応用統計学
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28 巻, 3 号
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  • 井元 清哉, 小西 貞則
    1999 年 28 巻 3 号 p. 137-150
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    複雑な非線形構造を有するデータからの情報抽出を,B-スプラインに基づく非線形回帰モデルを通して行うとき,モデルのパラメータ推定は罰則付き対数尤度法に基づいて行われる.その際,平滑化パラメータと節点の個数の選択が,曲線推定において本質的である.従来は,その選択規準として,交差検証法と一般化交差検証法が主に用いられてきた.本論文では,平滑化パラメータと節点の個数の選択を情報量の観点から行い,曲線を推定する方法を提案する.また,実際のデータの分析および数値実験を通して提案する方法と従来の手法とを比較し,その特徴と有効性を検証する.
  • 宮川 雅巳, 黒木 学
    1999 年 28 巻 3 号 p. 151-162
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    因果ダイアグラムを用いた統計的因果分析において,要因変量Xを外的操作によってある値に固定したことによる反応変量Yへの因果的効果を介入効果と呼び,これを推定する問題を扱う.介入効果を推定するために,XとYとともに観測する共変量を選択する問題を共変量選択という.介入効果を識別する共変量選択の一つの十分条件として,バックドア基準が知られている.一般に,バックドア基準を満たす共変量は一意でなく,介入効果の推定値は共変量に依存する.本論文では,線形構造方程式モデルの枠組みにおいて,介入効果の推定精度の観点から,バックドア基準を満たす共変量の中での新たな選択基準を与える.この基準は,因果ダイアグラムのグラフ構造で記述される.
  • Dempsterの近似検定における有効次元推定法
    武田 純, 後藤 昌司
    1999 年 28 巻 3 号 p. 163-177
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    多変量2標本問題において,変数の数が,個体の数に比して相対的に大きい場合,十分な誤差の自由度が確保されないため,HotellingのT2統計量による検定を行うことはできない.Dempster(1958)の近似検定は,このような状況に対処するための手法である.近似検定は,F統計量に基づく検定であり,その自由度は,推定により得られた有効次元により決められる.よって有効次元の推定は,近似検定において極めて重要である.有効次元は,多変量球状正規分布の次元の(理論的ではなく)概念的な拡張であり,その推定法の挙動を解析的に求めることは困難である.本報告では,有効次元の推定法の概念を正準形式に基礎を置いて多変量分散分析の枠組みの中でまとめた後,4種のモーメント法および2種の最尤法による有効次元推定法をいくつかの状況のもとでシミュレーションにより,比較検討を行った.その結果,有効次元を理論的に定義できるときには,角度および長さと角度に基づく有効次元の推定法が良好な性能を示すこと,さらに有効次元を1次と2次のモーメントで近似的に定義した場合には,分布の球状から乖離が大きい場合,いずれの推定法も有効次元を過大評価しがちであること,長さと角度に基づく有効次元の推定法は,正準形式の任意性の影響をあまり受けないことが示された.
  • 濱崎 俊光, 磯村 達也, 大瀧 慈, 後藤 昌司
    1999 年 28 巻 3 号 p. 179-190
    発行日: 1999/03/31
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    本稿では,Box & Cox(1964)が提案したベキ変換について,これまでに提案されている諸種のベキ変換の変型を概観した.また,正確に恒等変換(無変換)を含むように変換公式を修正したベキ変換の性質を,無構造データと有構造データの場合にわけて尤度関数とパラメータの推定値について修正を施さない通常の変換と比較し検討した.ベキ変換パラメータに依存したシフトは,無構造データの場合に平均のみに影響を及ぼし,有構造データの場合では変換後に想定されるモデルに定数項を含めることでモデルに固有のパラメータへの影響を回避できた.
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