応用統計学
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33 巻, 3 号
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  • 弘 新太郎, 小宮 由里子, 南 弘征, 水田 正弘
    2004 年 33 巻 3 号 p. 225-241
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    近年, ゲノムデータやPOSデータのような変量の多いデータが増加し, そのような高次元データに対する解析手法の必要性が増している.一般に, データ解析において, データが高次元になるほど, 有益な情報を抽出することは困難になる.そこで, 多変量データ解析では解釈が容易な低次元空間にデータを次元縮小し, 有益な情報を引き出す手法が数多く研究されている.なかでも, 射影追跡法 (Friedman and Tukey, 1974) は, 興味深い構造が現れる低次元空間を探索する有効な次元縮小法である.従来の射影追跡法では興味深さを数値化する射影指標がいくつか提案されているが, その提案のすべてにおいて, 興味深い構造を正規分布から最も離れている分布と定義しているため, 正規分布を基準としないような興味深い構造の探索は難しい.
    これに対して, 解析者が参照とする標本を定義して, その標本の分布から最も離れている分布が現れる射影方向を探索する相対射影追跡法がMizuta (2002) によって提案されており, 用いられる射影指標として, Area射影指標 (弘・小宮・南・水田, 2003) が既に提案されている.しかし, この指標は2次元以上の空間へ射影した場合に興味深さを測ることができない.そこで本論文では, 2次元以上の空間へ射影する場合に対応したArea相対射影指標を作成する.また, 従来の射影追跡法で使用されるHallの射影指標を相対射影追跡法を行うための射影指標に拡張し, 新たなHallType相対射影指標を作成する.この2つの相対射影指標を用いて高次元データを2次元空間へ次元縮小し, 興味深い射影方向空間が得られるかを比較検討する.
  • 荒木 由布子, 小西 貞則
    2004 年 33 巻 3 号 p. 243-256
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/07
    ジャーナル フリー
    関数データ解析は, 各対象に対して経時的に観測・測定されたデータの滑らかな関数への関数化と関数データ集合に基づくモデリングが基本となる.関数化に対しては, 従来, フーリエ級数やB-スプラインが用いられ, 交差検証法によって平滑化の程度を調整する方法が主として適用されてきた.本稿では, 動径基底関数展開によるデータの関数化と正則化法によるモデル推定に伴う平滑化パラメータの選択を, 一般化情報量規準に基づいて行う関数回帰モデリング手法を提案する.提案する手法は, 従来の交差検証法に基づくモデリングと比較し, その有効性を数値実験によって検証する.
  • 滝沢 京子, 白旗 慎吾, 小笹 清司
    2004 年 33 巻 3 号 p. 257-277
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/07
    ジャーナル フリー
    経時測定データの特徴は対象を時間順に繰り返し測定することであり, 必然的に観測値間に相関が生じる.つまり各対象の複数個の測定値間には相関があると考えられるため, 通常の独立性を仮定した手法を用いることは適切ではない.実際, 医薬分野における臨床試験に関しては, 倫理的な問題やメーカーのコストの問題などから同一対象から繰り返し観測値をとるなどして必要最小限の試験規模に抑える必要がある.したがって, 経時測定データの解析法の開発は応用上きわめて重要である.本論文では, 一定の期間において, 複数の対象についての複数の項目を測定する場合の多変量経時測定データに対する解析法を考える.また, 解析の目的は母集団であり各個体の把握ではない点から, 個体に関連した部分を変量とする変量モデルを想定し, 群効果, 相効果, 項目の効果, そして相関の有無等を検定する分散分析法, およびそのパラメータの推定法を与える.
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