応用統計学
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33 巻, 1 号
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  • 伊藤 雅憲, 後藤 昌司
    2004 年 33 巻 1 号 p. 3-26
    発行日: 2004/08/25
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,理論モデルの適合推測において,両辺ベキ変換方式(Power Transformation Both sides: PTB)の代替としてノンパラメトリック両辺変換接近法(Nonparametric Transformation Both sides: NTB)を導入し,その推定法として,3次スプライン曲線で変換関数を表現する方法を提示した,理論モデルの背後にある(実質科学分野の)現象から観測されたデータが公表され,非線形モデルの推測で諸種の難点が指摘されている2種の文献事例の検討から,対数尺度上でのNTBの適用による平滑化定数ρを動かしたときの残差診断の結果はPTBの妥当性をはかる評価指標となること,またNTBはPTBよりも「外れ値」に対して頑健であることを示唆した.さらに,これらの仮説の検証を目標としてシミュレーションを遂行した.PTBが至適といえるモデルのもとでシミュレーションを行った結果,NTBの平滑化定数の最適値が正の方向に発散し,NTBがPTBの適切性を示唆した,また,真の変換がベキ変換族に含まれない状況でのシミュレーションを行い,小標本でのNTBの有用性を示唆した.さらに,NTBのパラメータの推定値の安定性の評価を意図したシミュレーションでは,PTBと比較してNTBがモデル・パラメータの安定した推定値を与えた.経験モデルの適合推測,応答と説明関数の最適性に注目した2種のノンパラメトリック変換接近法として交替条件つき期待値法ACEと加法型分散均一化変換AVASを導入した.理論モデルを文献事例のデータに即してACEとAVASによる経験モデルの適合結果で吟味し,新たな知見を加えた.
  • 坂本 亘
    2004 年 33 巻 1 号 p. 27-49
    発行日: 2004/08/25
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    ノンパラメトリック回帰モデルでは多くの場合に分散均一性などの要件が暗黙裡に仮定されるため,回帰関数の推定に悪い影響が生じるおそれがある.分散均一性の診断を未知の非線形回帰構造の推定と同時に行うことを目的として,ベキ重み付き平滑化スプライン(PWSS)モデルが提案される.加法回帰モデルの応答にベキ変換を施し,変換後に分散が一定になることが仮定される.罰則付き最尤法により推定関数として平滑化スプラインが得られ,重み可変型の後退あてはめアルゴリズムが構築される.ベキ変換パラメータと関数の滑らかさを制御する平滑化パラメータは平滑化スプラインに対するBayes流接近法に基づき最大周辺尤度法によって推定される.平滑化スプラインが線形混合モデルの最良線形不偏予測量であるという性質を利用して,比較的計算が容易な周辺対数尤度の形が導出される.文献事例のデータ集合に対する検討およびシミュレーション実験により,PWSSモデルによって推定されたべキ変換が非線形の構造を考慮に入れながら分散を均一化しうることが示される.
  • 柳原 宏和, 大瀧 慈
    2004 年 33 巻 1 号 p. 51-69
    発行日: 2004/08/25
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    複雑なトレンドを持つデータに対して平滑化をおこなう場合,B-スプラインノンパラメトリック回帰モデルを用いた手法は,単純でかつ短い計算時間で結果を得ることができるといった利点を持つ.しかしながら,このモデルは本来柔軟なモデルであるため,適切に用いない場合に,柔らか過ぎる適合,過剰な適合を起こす場合がある.本論文では,基底関数の個数と平滑化パラメータを決定するための情報量規準を改良することでこの過剰適合を回避する手法を提案する。
  • 宮田 敏
    2004 年 33 巻 1 号 p. 71-91
    発行日: 2004/08/25
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    ノンパラメトリック回帰分析に用いられるさまざまなモデルにおいては,tuning parameterの最適化によるモデル選択が重要な問題となる.本稿では,広範なモデルの候補から適切なモデルを選択するための,モデル選択基準とその最適化法について考察する。AIC, BIC, Mallows's Cpなどのよく知られたモデル選択基準は,固定されたペナルティーによってモデルの大きさを制御する.これら固定されたペナルティーは,例えば,小さなペナルティーを持つモデル選択基準は,大きなモデルを最適なものとして選択する傾向があり,結果として,小さなペナルティーは真のモデルのサイズが大きい場合に良好に動作し,それ以外の場合には不十分にしか働かない,といったselection biasを持つ.これに対し本稿では,回帰関数と推定量の乖離を測る相対二乗損失の,最良推定量として導出される適応型モデル選択基準を用い,データ適応的なペナルティーを適用することでselection biasを回避することを提案する.また,モデル選択基準の最適化は一般に複雑な非線形問題となるが,従来はgrid searchなどの決定論的方法によりsub optimalな解を得るにとどまっていた.本稿では大域的最適解を与える確率的方法,とくに遺伝的アルゴリズム(EA)を用いたモデル選択基準最適化を考察する.提案された方法論は1)二種類の階層型ニューラルネットワーク,i)シグモイド型動作関数を持つSingle layer feed-forward neural network,ii)動径基底関数ネットワークと,2)Support Vector Machineとに適用され,数値実験を通じてその有効性が検証される.
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