応用統計学
Online ISSN : 1883-8081
Print ISSN : 0285-0370
ISSN-L : 0285-0370
34 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 中村 永友, 上野 玄太, 樋口 知之, 小西 貞則
    2005 年 34 巻 2 号 p. 57-73
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    データ観測領域において何らかの事情により,ある領域でデータが観測できない状況がある.本論文は,まずデータの欠損数が未知と既知の2つの状況を2種類の統計モデルで提示し,これらが同値なモデルであることを示す.また複数の母集団分布が仮定される欠損領域を含む観測データがあり,意味のある成分分布に分ける必要がある.この目的のために,欠損状況を考慮した欠損混合分布モデルを提案し,パラメータの推定方法や欠損領域で観測されたと思われるデータ数を推定する方法を提案する.提案する統計モデルの有効性を数値実験を通して検証するとともに,プラズマ速度データへの適用を行う.
  • 宮崎 浩一
    2005 年 34 巻 2 号 p. 75-97
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2009/12/02
    ジャーナル フリー
    時系列分析の定石であるBox-Cox変換は,金融工学の分野ではあまり知られていない.金融工学において盛んに利用されているオプション評価モデルのBlack-Scholesモデルでは,株価が幾何ブラウン運動に従うことが仮定されており,この仮定は,言い換えると,対数変換後リターンが一般化ウイナープロセスに従う仮定に同じである.実は,対数変換は,Box-Cox変換の特殊なケースとして含まれる.そこで,本研究では,Black-Scholesモデルにおける仮定の一つである対数変換部分をBox-Cox変換に拡張したオプション評価法を与えることを目的とする.
    実証分析においては,まず,最適なパラメータを用いたBox-Cox変換に基づく株価プロセスモデルが対数変換に基づくものからどの程度乖離したモデルであるかに関して,株式相場の局面毎にAICに基づき検証する.分析結果は,概して株価上昇局面においては,最適なパラメータを用いたBox-Cox変換は対数変換に近いものとなるが,株価下落局面においてはそうとはならないことがわかった.また,AICに基づく株価プロセスモデルの検証結果がオプション価格に反映されることも確認でき,株価プロセスモデルにおけるAICは,オプション価格に関するモデル間の乖離をある程度正確な水準で捉えることがわかった.
    実務的なインプリケーションとしては,本株価プロセスモデルを利用することで,株式オプション市場で観測されるボラテイリテイーのスキュー現象を捉えることが可能であることがわかった.
  • 竹本 康彦, 有薗 育生
    2005 年 34 巻 2 号 p. 99-120
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2009/12/02
    ジャーナル フリー
    通常工程の状態は当初管理状態にあり,それが何らかの要因により管理状態から逸脱し,管理外れ状態に移行するものと考えられる.現工程の状態を判定する場合,現工程から得られたサンプル・データと併せて,これ以前に得られていたサンプル・データを十分に活用して現工程の状態を判定することは有意義な方法であるといえる.ここに,連続するサンプリングにおけるサンプル・データを活用し,工程状態を解析する方法として,CUSUM管理図やEWMA管理図といった時系列管理図法が存在する.ただし,従来の時系列管理図の検出特性の評価においては,時系列管理図の適用にあたって,適用当初から工程が管理外れ状態であった場合の検出特性が取り上げられている.これに対して,既述のように初期状態において管理状態にあった工程が何らかの要因によりある時点から管理外れ状態に移行する状況が一般的であると考えられる.そこで本研究では,まず工程の品質特性の管理状態の分布からの乖離の程度をKullback-Leibler情報量に基づき定量化し,これを打点統計量としそ工程の状態判定を行う(x,s)同時管理図をもとに,CUSUM管理図およびEWMA管理図といったいくつかの時系列管理図を設計する.さらに,管理図の適用当初から管理外れ状態にある状況のもとでの検出特性を評価する従来の研究とは別に,管理状態のままでいくらかの時間を経過した後に管理外れ状態に移行する状況を想定し,このもとでの管理外れ状態に対する検出特性を評価することを考える.くわえて,管理外れ状態を検出するばかりでなく,工程の管理状態からの逸脱期を特定することは品質管理・工程管理において重要な課題である.このことに鑑み,工程を時系列的に解析する上述の管理図をもとに,情報量規準に関する概念を応用し,どの時点において管理状態からの逸脱が生じたのかを解析的に識別する方法を提案する.
  • 渋谷 政昭
    2005 年 34 巻 2 号 p. 121-138
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    正規性を前提とする標本相関係数による独立性検定(ピアソン検定)を,非正規分布族に適用するために,正規スコアを使いたくなる.しかし周辺分布が正規であり,従属性が強くても,ピアソン検定の検出力が非常に小さい場合があることを簡単な例で示す.したがって正規スコアを用いるピアソン検定では独立性を主張できない.
feedback
Top