応用統計学
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39 巻, 2_3 号
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研究論文
  • 松本 章邦, 原 尚幸, 野村 和史, 縄田 和満
    2010 年 39 巻 2_3 号 p. 41-58
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル オープンアクセス
    天候デリバティブとは気象条件を支払い額決定に用いるデリバティブであり, 自然現象の変動による収益の変動を避けるために用いられる. 本論文では, 降水量を支払い額決定の条件に用いる天候デリバティブ商品の評価と, 降水リスク計測を目的として, 日降水量を Tobit 型モデルで予測する手法を提案し, その有効性について検証する. 日降水量は観測値が非負で, かつゼロの観測値を多く持つという著しい特徴を持つ. Tobit モデルはそうしたデータに適したモデルである. さらに提案手法を用いて, 実際に契約された降水デリバティブ商品の価格の評価, ペイオフ関数の構築法についての考察も行う.
  • 冨田 哲治, 佐藤 健一, 柳原 宏和
    2010 年 39 巻 2_3 号 p. 59-70
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル オープンアクセス
    経時測定データにおける回帰モデルにおいて,時間とともに変化する説明変数の効果は変化係数として評価される.一方,空間データに対しては,説明変数の効果は空間上の位置に依存した曲面として評価され,地理分布を視覚的に理解するのに有用である.このような曲面としての回帰係数(以下,変化係数曲面)は,固定された位置周辺の近傍データに対してカーネル平滑化の要領で局所的な回帰を繰り返すことで推定される.しかしながら,空間上の位置についての連続性がないために空間全体を通した曲面としての信頼区間の構成および有意性の検定が困難であった.本稿では,変化係数曲面の構造が基底と未知パラメータの一次結合で表現されるものに限定し,説明変数と基底の交互作用として表現することで変化係数曲面を推定し,Satoh and Yanagihara (2010), 佐藤・柳原・加茂 (2009)で提案された経時測定データに対する変化係数に関する推測方法を,変化係数曲面の推測に適用することを試みる.提案手法は,交互作用モデルで記述された変化係数曲面であれば,より複雑な回帰モデルにおいても適用可能である.また,位置情報は空間座標に限らず,時間や測定条件などの変数を位置情報の代わりに用いることも可能である.解析例では,空間データと, 時間と年齢を位置情報とみなした生存時間データに対する変化係数曲面の推定を紹介する.
  • 青木 敏, 大津 起夫, 竹村 彰通, 沼田 泰英
    2010 年 39 巻 2_3 号 p. 71-100
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では, 2006年の大学入試センター試験受験者の科目選択行動に関する統計解析を行う. 大学入試センター試験においては, 受験者は志望大学や学部に応じて多様な科目選択を行っているが, 世界史未履修問題にも見られるように, 科目選択のパターンは様々な要因によって規定されており, 特に地域性や性別の影響などが見られる. これらの要因の分析は大学入試や高等学校の教育の検討にとっても重要である. 本稿では, 個別セル効果を含む対数線形モデルを用いることにより地域効果に対応し, また性別効果の検証のためには条件付き尤度法を用いて背景要因の調整を行う. さらに要因効果の有意性の検定のために漸近理論に加えてマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いる.
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