応用統計学
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41 巻, 2 号
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研究論文
  • 野間 久史, 田中 司朗
    原稿種別: 研究論文
    2012 年 41 巻 2 号 p. 79-95
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
    2段階ケースコントロール研究は,疫学研究方法論において,共変量測定のコスト・労力を節減するための有用な研究デザインである.多くの応用では,重要な共変量の情報が1段階目の対象者全員に測定され,その中には2段階目で測定される共変量と相関の強い代替変数の情報が得られることもある.これらの情報を,いかに曝露効果の指標の推定に役立てるかが,重要な統計的問題となる.本稿では,この利用可能なすべての情報を有効に活用する方法として,Multiple Imputation法による解析方法を与える.Multiple Imputation法は,不完全データの解析方法として,医学研究の実践でも広く普及しており,ソフトウェアも充実しているため,疫学研究の実務家にも扱いやすいという利点がある.また,Multiple Imputationによる推定量は,本質的に最尤推定量と同等の漸近有効性を有し,従来のセミパラメトリック有効な推定量に比べ,同等以上の漸近的な精度を持つ.数値実験による評価では,Multiple Imputationによる方法が,実践的な設定のもとで,既存の方法よりも高い推定精度を持つことが示された.事例として,Wilms腫瘍の臨床試験データをもとにした,2段階ケースコントロール研究の解析結果を示す.
研究ノート
  • 竹澤 邦夫
    原稿種別: 研究ノート
    2012 年 41 巻 2 号 p. 97-111
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
    GCVを使って重回帰式の予測変数の選択を行うことで得られる予測変数は,目的変数と線形の関数関係にあると見なすのが普通である.しかし,選択された予測変数の中には,実際には目的変数とは線形の関数関係がないにもかかわらず,偶然によって選択されたものも含まれる可能性がある.そういう可能性を考慮して予測変数の選択を行うために,新たな統計量「GCVf」(fはflexibleを意味する)を提案する.GCVfを使えば,予測変数を選ぶ際の条件の厳しさを調整できる.例えば,全ての予測変数が目的変数と線形の関数関係にないにもかかわらず線形の関数関係があると誤謬する確率が5パーセントになるようなGCVfを作成する.すると,そのGCVfが選択する予測変数が目的変数と線形の関数関係にあることがかなり信頼できる.
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