応用統計学
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43 巻, 1-3 号
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研究論文
  • 白石 高章
    原稿種別: 研究論文
    2014 年 43 巻 1-3 号 p. 1-22
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/16
    ジャーナル オープンアクセス
    多群比率モデルにおいて,片側の順序制約がある場合での母比率の間の相違に関しての多重比較検定について論じる.分散が同一で平均に片側の順序制約がある場合に,多群正規モデルでの平均相違に関するシングルステップの多重比較法がHayter (1990)とLee and Spurrier (1995)によって提案されている.彼らの手法と類似の比率の相違に関するシングルステップの多重比較法を,逆正弦変換により提案することができる.さらに,このシングルステップの多重比較法を超える閉検定手順を論述する.順序制約のない場合の比率モデルの多重比較検定法は,白石 (2011a)によって論述されているが,本論文で提案する多重比較法は,順序制約がある場合には,白石(2011a)の手法よりも一様に良い.
  • 下川 敏雄, 辻 光宏, 後藤 昌司
    原稿種別: 研究論文
    2014 年 43 巻 1-3 号 p. 23-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/16
    ジャーナル オープンアクセス
    がん臨床研究において,予後に影響を及ぼす要因(予後因子)を探索することは重要である.このような要件のなかで諸種の生存時間CART法が提案されており,多くの実践事例が報告されている.ただし,生存時間CART法は初期分岐に依存しており,また,高次の交互作用をモデル内に含む惧れがある.本研究では,Tibshirani and LeBranc (1992)によって提案されたABLE(Automatic Binary Logistic Estimation)法を生存時間研究に拡張した方法,すなわち生存時間ABLE法を提案した.生存時間ABLE法は,生存時間CART法と同様に,交互作用をプロダクション・ルールで解釈できるだけでなく,主効果の影響を解釈できる.また,生存時間CART法では終結ふしの解釈がKaplan-Meier曲線の省察に終始するが,生存時間ABLE法ではハザード比により,主効果あるいは交互作用を評価できるため,予後への影響の強さを数値的に評価できる.生存時間ABLE法の適用は文献事例により評価した.また,性能の評価は数値検証を通して,LeBlanc and Crowley (1992)によって提案された生存時間CART法と比較した.その結果,生存時間ABLE法は主効果を適切に捉えることで生存時間CART法に比べて適合性能に優れていることが確認できた.
研究ノート
  • 猪俣 考史, 鎌倉 稔成, 後藤 順哉
    原稿種別: 研究ノート
    2014 年 43 巻 1-3 号 p. 45-57
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/16
    ジャーナル オープンアクセス
    生産性や品質の向上を課題とする製造現場においては,工程の状態を精度よく把握したいという要求がある.本研究で取り扱うヒートシール工程は,金属の伝熱を利用した工程であり,制御の応答速度が遅いという特徴を持つ.この様な応答速度の遅い工程を観測すると,稼働開始直後など状態変化が発生した際,観測値は振動を伴って安定状態に移行していくことが見られる.本研究は,振動を伴う状態変化過程をモデル化し,これを適用することで,安定状態を精度良く推定することを目的としている.
    まず時間遅れを有する微分方程式をベースとして,観測データを表す非線形振動モデルを構成した.このモデルを利用して,安定状態の定義を行い,振動が任意の許容差に収まる時刻の信頼区間を求める手順を構成した.モデルのパラメータの推定は非線形最小二乗法として定式化したが,これは複数の局所的最適解を有する非凸関数の最小化問題となる.大域的最適解を目指すために,局所的探索のアルゴリズムの選択とモデルの特徴を利用した初期値の設定法を提示し,これをシミュレーションデータを用いて評価した.そして,実際の工程の観測データに適用し,状態変化過程のモデル利用を通じて,安定状態を精度よく推定するための一連の手法を提示する.
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