k個の母数Θ
1,…,Θ
kについて,それぞれ独立な測定値X
i,…,X
kがあり,各X
iが平均Θ
i,分散1の正規分布に従うとき,“自然な”推定量Θ
i=X
iは平均2乗誤差に関して許容性を持たないこと,すなわちk≧3ならば
Θi
*=(1-K-2/ΣX1
2)
とおくと
r
*=ΣE(Θ
i*-Θ
i)
2<ΣE(X
i-Θ
i)
2=k
であり,かつr
*はkよりかなり小さくなり得ることをsteinは証明した.Stein推定量は最初主として理論家の興味をひいたが,しかし実は応用上にも重要な意味を持つもあであることが,次第に理解されつつある.ここではこのような推定量を導く考え方,またr
*<kとなることの意味を明らかにするような数学的論理についてのべ,またそのいくつかの拡張について説明する。そうしてそれが特殊な“奇異な”現象と見なすべきものではないことを明らかにする.
またこのような推定方式の応用に当っての意味づけ,および注意点についてのべる,このような推定方式が,少くとも応用上のいくつの場面では重要な役割を果す可能性があることを示すのがこの論文の目的である.
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